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誘惑に負けるハーフエルフ

 久々の投稿はこれです。まだ、次の話が練れていないんですよ……(言い訳)

 良くも悪くも何もない町、それが今ウェイルがいるルゥウェの説明なのだ。

 何もないとは少し、言い過ぎな気がするが実際近くに大きな森があることを除けば特に目立つ建造物や狩り場とかもないのだ。ただ、良い点を上げると魔物とかが住んでいる場所が限られているため襲撃などのリスクが無いところだ。

 まぁ、魔物を初めて殺す練習場的な意味で見ればうってつけなのだ。


 そんなルゥウェでの町でのウェイルの立ち位置はと言うと“何でも知っている可愛い狩人”なのだと言う。中性的な見た目がかわいいとつく理由なのだが何でもは知らないのが実際なのだ。

 ある程度は弓の腕も良いし、エルフとしての身体能力を生かして接近戦も得意。そして薬草とかの森の植物に詳しい……と、なればその評価も納得がいく。ウェイル自身にその評価は届かないので特に何もないのだが。


 ハーフエルフ、寿命以外の良いところを絞って吸収した種族なのだが欠点はあるのだ。

 エルフとは森の守護者的な意味合いで生まれてきた、と伝承にあるのだ。その事からエルフには性別が存在せず、ムラムラしてきたときに丁度良い相手を見付けて性行するのだ。

 その性向に関しても入れる側と入れられる側とで多少揉めるし、そのムラムラもタイミング良く複数人出て来ないと子供を作るに至らないのだ。


 それに対してハーフエルフは生まれたときから男、女として生まれてくる。なら、すぐ子供を作れるのでは? と、思ってしまうのだが純血ではない混血の種族は同じ種族同士ではないと子供が生まれないのだ。よって、性行し放題なのだ。

 と、ここまで完全にアッチ系の話になっているので話を変えよう。


 この町には冒険者ギルドなるものが存在する。基本的には作られたばかりの町以外には大抵あるものなのだがその冒険者ギルドの役割とは依頼のランク事の仕分け、依頼の数%を依頼提示量として取るため収入源となる冒険者の基礎的な技術を身に付けさせる、等が主な役割なのだ。

 その他にも同じ冒険者が集まることによっての情報の交換の場所や、魔物であるモンスターを倒すための武器店、身を守るための防具店等が冒険者ギルドを中心として出来上がっていく。


 その為、町の発展には冒険者ギルドが不可欠、とまで言われるほど浸透しているのだ。

 基本的な役割はそれだが一番、利用されている施設、機能は素材の売買だ。今もその為に冒険者ギルドにウェイルは入っている。




「(何度入ってもこの騒がしい感じは慣れないなぁ)」

 怒号にも似た冒険者達の声を流しながら先程討伐し、採取した骨を売るために冒険者ギルドの中に建てられている素材店へと足を進める。

 初めて町に来て、悪戦苦闘しながらモンスターを倒し、夢でもあった冒険者ギルドに入ったときはこの喧騒にも目を輝かせていたウェイルだったのだが慣れてくるとただ純粋に煩いだけなのだ。


 ただそれでもたまに有意義なモンスターの情報とかが聞けるので無粋にはできないってのがいかんせんイヤらしいところだ。


 それにしても何もない町でも冒険者ギルドは結構賑わっているんだ、と考えながら時間を潰す。需要があるため窓口は複数あるのだがそれ以上に需要があるのが素材店なのだ。ウェイルの番までもう少し掛かりそうだ。


 もう、この場で弓の手入れをした方が有意義な時間だったんじゃないか? と、思ってしまうような長い時間が流れ、やっとウェイルの番が来た。


「素材の買い取りですか? 売却ぅ……って、ウェイルちゃんじゃないですか。並ばなくても職員送ったんですけど……」

「何ですかそのVIP対応。それが嫌だから普通に並んでいるんですよ。って、初めて聞きましたけどその話」

「えっと、数日前ぐらいにギルマスが伝えといてって言ってたんですけど忘れちゃいまして……」

「えぇ……まぁ、今日でこの町を出る予定だったので関係ない話ですけど」

 頬を膨らませ怒った仕草をするがこの年でそれは恥ずかしいなと思い赤くなった顔を隠しながら骨が入った袋をカウンターに出す。


「え、もう出ていくんですか? まだ一週間も経ってないですよ……っと、この重さだと買い取り額はこれくらいですね」

 カウンターの奥で中身を確認し、重さを計り終わったのかサラサラーと、紙に金額を書き、目の前に出される。


「一週間は経ってないですけどそこまで留まる意味は無いですけどね……これ、もう少し高く出来ませんか? 久しぶりに弓で戦ったせいか骨の痛みも少ないんですけど」

「あら、分かってたんですか。まぁ、最後って事で……この位でどうですか?」


 もう一度出された金額で納得がいったので頷き、列をズレる。もう少し粘っていたいってのが本音なのだが流石にこれ以上粘ると後ろの列の人に迷惑が掛かると思ったのだ。金額的にこれ以上上がらなそうだったし。

 この受付は買い取りの金額を提示するだけなのだ。お金を受け取るのは違う受付でしなくては行けないのだ時間的に辛いところなのだが幸い冒険者ギルドは無駄に広いのだ。その分色々な店が並んでいる。建物の中に建物を作るって発想は今年一番の驚きなのだ。


 と、受付の人に呼ばれても聞こえる範囲でいないと後回しにされるため割りと近場で時間を潰さないといけないため依頼が貼り付けてあるボードを冷やかし的な意味で見て回る。誰を冷やかすのかはウェイルが一番理解できてないところなのだが。


「ゴブリン、ゴブリン、ゴブリン、護衛の依頼……ああ、ここって初心者用のボードだっけ」

 妙に並んでいるものの報酬金が少ないなと思っていたのだがボードを見ている人の装備の質でやっと気が付いた。

 この一週間弱でウェイルは依頼を受けたことがないのだ。殆どが何時でもお金になる需要が高いモンスターや薬草などを集めていた。そんな理由もあってか依頼のボードを見るのは実は初めてのことなのだ。

 まぁ、こんな放浪染みたことをし始めたのは一年前、十四才の時だったからそんな前でもないのだが。

 と、ドキドキとした初恋にも似た胸のトキメキを感じながらボードを流し読みしているとトン、と肩を叩かれた。

 もう買い取りのお金を用意できたのかな? と、思いながら振り向くと如何にも兄貴的な筋肉が凄い人が立っていたのだ。


「えっと、僕邪魔でした?」

 エルフと言う種族的に力で押す戦いより弓やナイフを使った技術を用いる戦いをする種族なだけあって筋肉は最低限、自分の武器が扱える位の華奢な体しかないのだ。何か使い方を間違えているような気もするが自身の低身長と相まって後ろの人に迷惑は掛からないと思っていたのだがそんな事はなかったのかとバツが悪そうにボードから離れる。怖い人と筋肉には近付かない方が良いと古来から伝わっているのだ。勝手な思い込みだけど。

 そう、考えボードからズレたのだが考えたことが間違っていたのか筋肉兄さんは「違うから! ちげぇから取り合えず話を聞いてくれねぇか!?」と、言ってきたのだ。

 何の事だろうか。借金はした覚えがないのだが……聞いてみる越したことはないと思った。


「借金はした覚えないんですけど……」

「それもないから! 話ってのは俺の息子のパーティーに入ってくれないかって言う勧誘だよ」

「勧誘ですか……」

 古今東西、勧誘と言う言葉に良い意味は無い気がするウェイルだったのだがパーティーと言う言葉に合わせて指を指した方向には筋肉兄さんの息子と思われる少年とその腕を取るようにして鎮座する少女二人の姿があった。

 冒険は男女の仲を深めるためのもンじゃねぇぞ、と勧誘の言葉と相まって拒否しようと口を回す。


「パーティーならお兄さんが入れば良いんじゃないですか? あ、お父さんでしたか」

「そうしたいのは山々なんだけどな……ほら、年頃だもんな」

「えぇ」

 話し合いと言うより言葉の投げ合いのような微妙に会話が成り立っていない現状に苛つき始めたウェイルだったのだが


「君に話しかけたってのはうちの息子にレンジャーな職業が欲しいってのが一番の理由なんだが……報酬はその分上乗せするから」

 と、受ける依頼の紙を見せられ金額に驚き、その次に上乗せの言葉に引かれ請け負うことに決定したのだ。

 金には弱いハーフエルフであった。多分、種族の一番の特徴である長い耳は髪で隠れていたので知られていない。まぁ、種族が知られていたなら知られていたで嫌なのだが。

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