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第七話 陰謀は進むよ何処までも?

 調査が進んでいる間にも家督の件は毛利家の重臣会議で進められています。


 執政の志道広良殿を始めとして殆どの重臣は元就パパを推しています。例の坂広秀は元綱殿を推すのかと思いましたが方針転換したようです。彼はこの毛利家を取り巻く状況は厳しくこのままでは滅びかねない、ならばこそ強力な家と繋がりを持つべきだと熱弁したそうです。


 其の家とは?当てがあるのかと聞かれ答えたのがやはり尼子家でした。予想どうりでしたね。


 では具体的にはどうするのかと聞かれ亡くなった幸松丸の姉が居るのですがこの娘に婿を迎え其れが尼子家からというわけです。


 無論志道殿たちは猛反対です、御家を乗っ取られると言う物で当然ですね。


「この事は尼子経久殿が非常に乗り気であり反対すると大変な事になる」


 坂広秀はとうとうそう言い出したそうです、そうなれば下手に断ると尼子ばかりか周りの吉川・高橋も攻めてきかねないという坂広秀達に対し、それなら大内に援けを求めるだけだと井上元兼達が反発し会議が一時中止になったそうです。


「困った物だ、坂達が尼子に通じていると早めに知っていなければ大変な事になっていたよ」


 帰ってきた元就パパがぼやいています。


「ですがもうすぐしたら帰って来ます、そうなれば大丈夫ですよ」


 そう母が言いますが何が帰ってくるんでしょうか?


「こうなるだろうと思って手は打っておいたの、帰って来てのお楽しみね」


 なんかずるいです。


「あら、今日も来てたの、お暇なようね」


 そう言って部屋に入ってきたのは吉川家から嫁入りした現在の奥方様です。去年産まれたばかりの嫡男 少輔太郎たかもとを抱いています。


「ご嫡男の誕生で忙しく、殿がお寂しいでしょうから慰めに来たんですのよ」


「「ほほほほほほ」」


 お互いに笑っていますが後ろに竜虎の背後霊を出すのは止めてもらえますかねぇ。


 元就パパの顔が引き攣ってますよ!



安芸郡山城 評定の間


「こうして話していては埒が明かん! このままでは毛利はこの国での居場所がのうなるぞ」


 強い口調で訴える坂に同調する家臣も現れていた。


「だが、尼子家から養子を貰うというのは筋が違う、元就殿が駄目だというなら元綱殿も居られるのですぞ」


 渡辺綱の末裔であり其の証である一字名を名乗る渡辺勝は元綱と親しく元綱を推していた。


「これでは埒があかんのう……こうなれば決めるのには我々だけでは無理なのかもしれんの」


 執政の志道広良がぼやくと、毛利の重臣筆頭に座る福原弘俊が質問する。


「それでは誰に裁定してもらうというのですか?」


「このような武家の争いごとを納めるのは武家の棟梁が行う事じゃな」


「幕府に? 今の幕府が毛利の事など気にも留めまい……」


「そうでもないようですな」


 坂がそう言うと評定の間の外より声が掛かる。


「そなたは! 粟屋、評定を抜けてどこに行っておったのだ」


「おかしいですな、病気治療の為に有馬温泉に行くと志道殿に伝えていたのですが」


 重臣でこの場に居なかった粟屋元秀が入ってくると不在を咎める者に対してのんびりとした態度で返し、志道の前に座ると頭を下げた。


「志道殿、有馬で病気治療を行い無事治りました、なおその後京に上がり大樹(征夷大将軍)様に伺候し毛利の家督問題を伺ってまいりました」


「ご苦労であった。して大樹様はなんと申されておった?」


「当主直系が絶えた時にはその兄弟の筋より一番近い者が家を継ぐべしとの仰せでした」


「おお、では元就様の家督相続をお認めになったのじゃな!」


「はっ、左様でございます」


 居並ぶ重臣たちはあっけに取られる者、用意周到な志道の策に感心する者、そして坂のように苦虫を噛み締める者と様々であった。


「さらに、この事相違なく執り行えと畏れ多くも大樹様より御教書を下されましてございます」


 そうして粟屋元秀は一通の書類を出し皆に見せた。


「これがあれば近隣の諸侯も納得されよう、家督の相続は元就殿が行う事皆々様相違ございませんな」


 志道のこの言葉に皆頷かずにはおれず、一同の署名入りの連署状が認められ元就の元に使者によって届けられた。そして元就は正式に毛利宗家の家督を継ぎ毛利元就として吉田郡山城に入る事になる。


 だがそれは悲劇の始まりに過ぎなかったのであった。


(このままでは済まさんぞ、必ずやひっくり返してくれるわ……)


 面従腹背、坂広秀は連署に署名しながら逆転を狙う。

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