表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/32

第五話  元就(パパ)の家督相続

 領地が無いので世鬼の里のレベルアップをこっそりしている京です。


 現在安芸の国は大内VS尼子の代理戦争真っ只中です。


 毛利家は周りの情勢から尼子方に属しているのですが流石に大内と言うべきでしょうか、抵抗も半端無いですね。現在は西条(現在の東広島)で安芸の領主たち連合軍が大内方の重要拠点である鏡山城を攻めています。尼子経久の尼子本隊も到着して攻めています。この城そんなに山城ってほど険しい山に無いんですけど城方の守りが堅くてなかなか落ちないんですよね。


 なんて実況ぽい事をしてますが、実はこっそり世鬼の忍び衆と一緒に来ていたりします。勿論母と一緒です。母と二人で元就パパの所に行き「来ちゃった♪」と言ったときの顔は必見でした。この時代にいんすたが無いのが残念です。


 城が中々落ちないので尼子方から領主たちに「早く落とせ」なんて言われていると聞き、時代が違っても下請けに厳しいのは変わらないなって思いましたよ。


 元就パパは「こうなっては力攻めで無く調略で落とすしか無かろう」と言う意見で私も同意ですね。


 攻城兵器があれば良いんですけどまだ作れないしね。という事で狙いを定めたのは城将の叔父で二の丸を守る蔵田直信です。勿論我々世鬼の出番ですよ! 


「京は此処でお留守番です」


 母に言われてしまいました。そんな~と言うと「今回は戦を見せる為に来たのよ、判りますね」と怖ーい笑顔で言われてしまいました。思わず「Yes! マム!」と返事しそうになりましたよ。


 元就パパの見立て通り蔵田直信は乗ってきましたよ、やはり当主にしてやるって誘いは魅力的なんですね。といっても何の保障もしてないので履行されるかどうか怪しいんですけどね。一応、元就パパに話したら、尼子の重臣かめいを通じて尼子経久に上申してもらって許可は貰ったそうなんですけどね、口約束だからどうなんでしょうね?


 ☆


 再度鏡山城に攻め寄せる尼子・安芸領主連合軍に対して果敢に防戦する城主蔵田房信だったが其処に部下が注進してきた。


「大変です! 二の丸が返り忠! 敵兵を招き入れています!」


「何! 直信め裏切ったか、兵を本丸に集めよ!」


 蔵田房信は優れた武将で直ちに体制を立て直したが、本丸のみでは籠城も難しく追い詰められた形になった。この頃大内軍は北九州に出兵しており援軍もままならず、尼子方の降伏勧告を受けて開城する事となった。開城条件は城主房信の切腹で房信の家族と城兵の助命が保障された。


 尼子本陣では届けられた蔵田房信の首実検が行われていた。


「こうも簡単に落ちるとは、内応する者が居ればどんな堅城でも危ういな、我等も心せねばなるまい」


「確かに、月山富田城の守り国に帰りましたら見直したく思います」


 経久の言葉に腹心の亀井秀綱が答えるが経久は険しい顔を崩さず言った。


「さても、毛利の分家は中々やりおる、我が姪が不憫ゆえに策を弄して娶わせたが思ったより拾い物であったやも知れぬな」


「毛利本家の当主はまだ幼く病弱であるとか、此度の戦にも名代としてその分家の元就が代理として来て居る位ですからな、いっそ当主を元就にされては? その方が尼子家にとっても吉川にとっても利のある話ではありますまいか?」


「そう一筋縄ではいかんな、寧ろ幼君を囲んで高橋や他の庶家等と揉めてくれれば丁度良いとは思わぬか?元就が追われた所に手を差し伸べ直臣と出来ればこれに勝る物無し、我が右腕となって尼子の勢力伸張に働いてもらおう」


「仰せのままに、すぐに手を打ちまする」


 二人は顔を見合わせて笑い今後の事を話し合う、この場は尼子家の忍び衆である鉢屋一族が固めており、会話を盗み聞きすることは不可能であった。



「蔵田直信は主家である大内に対しての不忠、本家である房信への裏切りは卑劣であると経久殿はお怒りになって処刑を命じられた、毛利家に対してはお褒めの言葉を戴き後日恩賞を下さるとのお言葉で有ったが、約束を反故にされて面目は丸つぶれだ」


 元就パパの顔が浮かないのは当然ですね、やはりと言うか予想通りに手の平返しをしてきたよ。謀られた蔵田直信は散々元就パパを非難したそうだけどその場にいた他の武将たちの反応は騙された方が悪いと言う意見が大半だったそうだ。まあこの時代朝倉宗滴が{武士は犬とも言え~}で書かれているように勝てば何やっても良いという風潮があったんだね。


「こうなったら、流言を流して元就パパは約束を守ろうとしたけど尼子経久が反故にしたって言うのを広めましょう。そうしたら悪いのは皆尼子のせいにできるよ」


 それを指摘したら元就パパは驚いていたけど母は大乗り気でしたね。


「その辺りは世鬼の得意分野よ、うちの座頭衆にやらせるわ」


 七方出で座頭に化けて各地で演奏会ライブをやってそのときに吹聴するんですね。怖いですね~この時代はマスコミが無いからこういう座頭とか歩き巫女とか行商人なんかがもたらす情報は貴重ですからね。特に安芸の各地で広めれば今後は元就パパは信義を守る良い人という宣伝が出来ますからね。世鬼の衆の変装スキルは私が上げているから絶対にばれないしね。


 こうして帰ってきた訳ですが其処では大変な事が起きていました。


 毛利の当主で先代の一人息子の幸松丸が亡くなっていたのですよ!他家に知られないように緘口令をしていたのでこちらにも知らせなかった様ですけどね。


 毛利元就がこうして毛利本家の家督を継ぐ事になるんだよね、まあ素直に行きそうにはないんですけどね。



感想等ありましたらよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ