第二十六話 一度はやりたい八八艦隊
※お断り 昨今小説家になろうにて無断転載される事例が発生しております。
其の為此処にてお断りしておきます。
この作品は 私ソルトが書いたもので小説家になろうにのみ投稿しアルファポリス・ツギクルにリンクが張ってある以外は無断転載になります。
以下本文です。
天文17年 豊後 府内 大友館
「義鎮殿、上意である! お覚悟召されい!」
「入田親誠! 傅役のお前が何故!」
「御免!」
大友家嫡男の義鎮が病気の父親を見舞った後、彼の傅役であった入田親誠らに囲まれ討たれた。大友館の二階で行われた凶行は二階崩れの変と呼ばれ、大友は激しい内部抗争に見舞われる事となる。
□
それから約一年が過ぎた頃
「旨くいったようだの、大友義鑑に嫡男である義鎮ではなく弟の塩市丸に家督を継がせようとするならこれしか方法は無い……そう言った気持ちに誘導するとは流石じゃな」
「なに、あなた様が既に大友の重臣たちに楔をいれて居られましたな、其の結果義鎮が討たれた後も家臣たちは二派に分かれて争っております。義鎮の同腹の弟晴英は母が大内家から来ており、逆臣陶が一条の次に当主に考えていた人物、故に彼が当主になれば豊前、筑前奪還へ本腰を入れてくれるとの期待もあります」
「田原・戸次・吉弘・臼杵家主だった所でもこれだけの有力家臣が歯向かうとはな、義鑑は余程人望が無いな」
「全くですな」
調略を進めた二人、尼子経久と毛利元就が組んで仕掛けた謀はそれはもう大友に効いた。今や大友は内部で二派に分かれて内部抗争中であった。
更に元就たちは謀を進める。両者が激しく争っている最中肥後国の菊池氏が義鑑に付き攻め込んできたのだ。
これは元々大友から菊池家に養子に入っていた当主が自分の息子を大友家の次期当主に出来ると言われた口車に乗って侵攻してきたのだった。勿論焚きつけたのは尼子経久で当初は晴英に付くと近づいてだまし討ちにしたのであった。
これで抗争が終わるかと思ったが戸次や吉弘らは亡き主君の敵討ちであると肥後勢を攻め立て名目上の総大将である大友八郎を討ち取った。そこに毛利元就の使者が戸次鑑連(後の立花道雪)に接触する。
「鑑連殿、今更義鑑殿に付くつもりはあるまい、ならばこの場は静観してくれまいか。我らは嘗て豊前・筑前で戦った。だがそれはお互いの家の為。今の大友は貴殿の主家であって主家にあらず。 戸次家がそれに殉じる必要はありますまい」
「……」
「毛利は尼子と盟約を結んだ、それは果てなく続く戦乱の世を終わらせたいからなのじゃ、此度の義鎮殿の悲劇も親兄弟で血で血を洗う戦乱の世が招いた悲劇。その果て無き連鎖を断ち切る為にお力を貸してくだされ」
「相分かった。お仕えするお方は既に亡し、我らは今更義鑑に仕える気もござらん。某にとっての大友家は義鎮様と晴英様で終わりじゃ、名前ばかりの大友家が滅びようと関係はござらん」
こうして戸次家を始めとして元々義鎮派だった家は毛利=尼子連合に味方する事を誓い、大友攻めが始まった。
■
京です、前置きの話が長い? まるで大河なドラマみたいだって?
細かい事を気にすると禿げるよ!
因みに江戸時代の武士は禿げたら格好がつかなくなって隠居するそうだよ、戦国時代も中年過ぎた武将が出家するのはそのせいなのか、とすると武田信玄や上杉謙信は……
うん、細かいことを気にすると禿げそうだから止めとこう。
え?タイトルと中身が乖離してるって?
ちゃんと今から出しますよ!
そう! 三年の歳月が過ぎて遂に完成したのだ! 我が八八艦隊が!
そしてその揃っての初陣が大友領侵攻作戦なのだよ!
謀聖と謀神のコンビで内部をガタガタにされた大友家は豊前から侵攻する毛利軍3万を防ぐ事が出来ず総崩れになっている。筑前からも同じで毛利方に寝返る国人たちが続出してどうにもならなくなっている。
府内に攻め込まれるのは時間の問題なのだが義鑑にはまだ逃げ場がある。
それが{丹生島城}である。前世の歴史で島津の侵攻を阻んだ3方が海に囲まれた天然の要害なのだ。
ここに逃げ込んで一条とかに援軍を頼もうとするのだろうけど今回はそうは行かないよ。其の為の八八艦隊なのだし。
さあ! 全艦抜錨よ!
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豊後国 菡萏湾{後の別府湾}
能島村上家の当主である武吉は圧倒されていた。
それは一言で言えば海に浮かぶ漆黒の城砦、見た事のない形状の船であった。
「武吉殿、どうかな? 毛利水軍が誇る八八艦隊は」
「これほどとは……宗勝殿、毛利はなんと言うものを作ったのだ? 儂には理解できぬ」
「これからの時代は鉄砲や大砲等の南蛮渡りの武器が幅を利かすというのが我らが殿の見立てでな、今までの小早や関船・安宅船に代わる新たな船が必要と判断してあの艦隊を作ったのだ。勿論焙烙火矢なども通用せぬよ」
「なんと! だが帆は? どうやって動くのだ?」
「それはな、船の真ん中にある黒い煙を吐く大きな筒があろう、あれは船の中で火を起こしているのだ。どうやってかは儂にも判らぬが其処から船を動かす力を得ていると聞いておる。故に風を受ける帆が無いのだと」
「信じられん、風も無いのに動くのだ、我ら村上一族を集めたのはそれを見せる為か」
大友攻めに当たって毛利・尼子連合軍は村上一族に声を掛けた。
戦の合力と思って参加してみれば兵糧米の輸送の護衛である。
馬鹿にしているのかと思って毛利家の取り次ぎ役で小早川家の重臣である乃美宗勝に文句を言えば八八艦隊という物を見せられた。
それを見た武吉は理解した。此れは我々の理解を超えている。とてもではないが毛利水軍には勝てる気がしない。
武吉は毛利家に味方して良かったと心から思った。
□
艦隊旗艦出雲から陸地を眺める。
其の向こうには 丹生島城が見えている。だが其の姿は断末魔の様相を呈していた。櫓は破壊され門に穴が開き、まるで廃墟の様であり今尚大友兵がどうにかできる状態ではない。八八艦隊が間断なく砲撃をおこなっているからね。
八八艦隊は戦艦八隻、 長門・周防・安芸・石見・出雲・伯耆・豊前・筑前という名前が付けられた。そう、毛利=尼子の領国である。それと戦艦よりも小型で遥かに早く動ける巡洋艦八隻で構成されている。名前は大山・三瓶・比婆・古鷹・寂地・羅漢・英彦である。全て毛利・尼子の領域内から取った。
あまり聞いたこと無いって? 私だって愛宕や赤城なんて付けたかったよ、でも皆が微妙な顔するから……これは早く全国を統一しろって言ってるのかしら?
大友方の水軍は八八艦隊の前に木っ端微塵にされた。そりゃそうだね、向こうの攻撃は全然効かないし此方からの砲撃で一方的に叩かれたんだからね。
そして府内には揚陸船から上陸した尼子の部隊が攻め寄せた筈だ。
そして府内を脱出した義鑑が逃げ込む先のこの丹生島城も落城寸前である。
「揚陸部隊に信号を、{上陸し、城を落とせ}と、別働隊は府内までの道筋に展開、府内から逃げ出した者たちを捕らえよと命を出しなさい」
「はっ!」
これで義鑑が逃げ出しても捕まえられるだろう、もっとも府内から逃げられるかどうか。
「これで豊後は片付いた、後は筑後・肥前・肥後か……」
これで天下に又一つ近づいたかな?
いつも読んでいただきありがとうございます。
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※この小説はクロスオーバー作品です
早見様の「ゲーム機片手に天下統一!Player1 〜瀬田に我が武田の旗を立てよ〜」
霧島ナガツキさんの「ゲーム機片手に天下統一!Player2 ~我、長宗我部ニテ立チ上ガラントス~」
天樹院樹理さんの「ゲーム機片手に天下統一!Player3〜諌死なんてしてやらん、天寿を全うしてやる!!〜(仮)」
4番目になる作品です