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第二十一話 大寧寺の変と毛利侵攻

※お断り 昨今小説家になろうにて無断転載される事例が発生しております。



其の為此処にてお断りしておきます。



この作品は 私ソルトが書いたもので小説家になろうにのみ投稿しアルファポリス・ツギクルにリンクが張ってある以外は無断転載になります。



以下本文です。






 其の頃、陶と並ぶ重臣内藤興盛は苦悩していた。


「我が内藤家は先代様に大層な恩義がある。このまま陶殿に組して御屋形様を討つのは忍びない」


 彼の元には陶隆房を中心に家臣たちが集まり義隆を討たんと兵を集めていると知らせが入っていた。今の所陶に組していないのは内藤家以外には陶家と対立しており先ごろ闇討ちにあった杉重矩の家と九州の家臣たち、そして石見の吉見家位で其の中で積極的に義隆を助けようとしているのは吉見家位であった。


「さりとて吉見に組しても勝ち目はあるまい、吉見と石見で争う益田が陶に味方しておるからの」


 石見の有力な国人領主である益田は陶と親しくしており吉見を牽制している。


 興盛が悶々としていると家人が来客が来た事を告げた。


「毛利家から? 我家に直接とは珍しい」


 纏まりの付かない思考をほぐす為というのも兼ねて興盛は毛利の使者に会う事にした。



「お初にお目にかかります、某毛利元就の弟で北の地を預かります就勝と申す。兄元就より書状を預かってまいりました」


 元就の弟という男は僅かに片足を引き摺るようにして歩く男であった。聞くと足が不自由故に仏門に入っていたが兄であり当主である元就の頼みによって還俗したのだと紹介した。


「これは、ご丁寧に、内藤興盛にござる、元就殿から書状は良く受け取りますが態々使者を遣わされるとは珍しい」


「兄が書状に書いていると思いますが重大な事が起きて居るのです」


「なんと……早速読ませていただきます」


 そうして書状を開いた興盛であったが、中に書かれている事に驚く事になる。


「尼子が攻めて来る! 就勝殿、これは間違いないのですか?」


「残念ながら、尼子は伯耆、美作、因幡を平らげ向かう所敵なし、ついに石見、安芸、備後を攻めるようになったのです」


「防ぎきれましょうや?」


「拠れゆえに兄は内藤様に書状を出したのです。大内の後詰なくば尼子を防ぐことは困難です、いえ無理でしょう、ですが大内の内情が良くない、三か国では色々な噂が流れております、今は大内方の領主たちの去就が定まらないのです」


「元就殿のお力でもですか?」


「正直に申し上げて我らに味方しそうなのは両小早川くらいですな、武田も勢力を盛り返して来つつありますし、吉川は尼子に通じています、元々尼子経久の正室は吉川から出ているのですから」


「うむむ、どうした物か」


「西条守護の弘中殿にも訴えているのですが、どうも山口こちらでの政変が気になるようで備えが進んでいないのが現状です」


「毛利殿のお考えは如何ですか?」


「このまま行けば毛利は尼子に潰されまする、せめて吉川だけでもなんとかしなくては難しいと兄はもうしております」


「いかようにすればよろしいか?」


「現当主の興経が尼子に接近するように主張しており分家の経世や家老らは大内に付くように説得いたしましたが受け入れず自分の寵臣を優遇しております、その為我が毛利家より養子を貰って大内に忠誠を尽くしたいと申して来ました」


「成程、元就殿の御子息を入れれば吉川はあてになる、そうすれば何とかなるな」


「問題は石見と備後ですな、石見銀山は真っ先に尼子に狙われます、既に小笠原は尼子に組しているとの事、時間の問題ですな」


「益田に救援させたいが吉見がおるからな」


「そこですな、陶殿は本当に御屋形様を討つおつもりか? そうなれば御屋形様に付く者と陶殿に着く側で戦になるのは必然、そこを尼子に突かれますぞ」


「陶殿は自分に味方する者が多いため問題ないと申しておりますが……」


「内藤殿はそれを信じておいでなのですな?」


「……」


「我が毛利も陶殿に御味方いたすと先日ご返事いたしましたがそれはあくまでもその事が大内の為になりそれがひいては毛利の為になるからです。ですがそうならぬ場合には我家も生き残りを図らねば成りませぬ」


「では、尼子に降られると言うのか?」


「家臣の中にはそのような考えを持つものも出かねぬということでござる。当主は其の為に家中の引き締めも行わねばならぬとのお考えにございます。吉川の件とその事を行えば毛利は大内の旗の下尼子を撃退して見せましょう、内藤殿も大内家中の事お願いいたしますぞ」


 興盛はこの会談の後直ちに動き大内家としてこの件を承諾させた。


「尼子の事は元就に任せておけば大丈夫じゃ、隆元も良い父をもったのう」


 義隆は無邪気にこの申し出を喜び、隆房は毛利が自分の企てに賛成するならばと意見が一致したからであった。



 大内からの内諾を得た元就は直ちに動いた。


 吉川家の当主興経を捕らえ尼子に通じた者として大内からの上意として討ち、賛成した吉川家の重臣達からの懇願として自身の次男である次郎を次期当主として送り込んだ。


 さらに毛利家の家中の引き締めであるが……


「毛利家中でありながら数々の専横と作事などへの非協力は許しがたし、井上元兼を討つ!」


 北就勝を先鋒にして井上の本拠に攻め込む毛利勢は井上一党に防戦の機会を与える前に元兼を始めとする井上一党を討って行った。


「元兼! 覚悟いたせ、北就勝、いや毛利元綱が引導を渡してくれる」


「やはり、元綱であったか、これも因果応報というものか?」


 元兼も討ち取られ毛利家中から井上一党の力を削いで家中の引き締めに成功するのであった。




「流石に毛利殿は素早い、これで決行の時を迎えられる」


 陶隆房はこの報を聞いてたいそう機嫌よくなったそうである。


 京です、え? 今日は登場が遅い? 私も忙しいんですよ!(激オコ)


 尼子家と毛利家の両方の面倒を見なくてはいけないんですよ! 勿論日頃の細々とした事は詮久殿や元就パパに丸投げしてますけどね。いやー二人とも優秀なので助かりますよ。


 やっと目の上の瘤である井上元兼たちを排除しましたよ。元々忠誠心が薄いのは鑑定で知ってましたからね、旨い事に内藤殿が立ち回ってくれたので大内の公認も取れましたしね。


 これで就勝(元綱)叔父の溜飲も下がったでしょう。ついでに山内に亡命していた渡辺勝殿の息子である通も帰参させて井上討伐の先鋒に加えました。父の敵を取れてもう忠誠心がうなぎ登りですよ。彼にも秘伝書を与えて強化ブーストせねば。


 さて大内の内紛ももう少しでフィニッシュですね。仕上げには十分に手をかけなくてはね!



 安芸国での粛清劇が起こって二月が過ぎた頃には陶隆房は領地に篭り山口に出仕しなくなっていた。この事を危惧する声が義隆側近たちから上がっていたが義隆は問題ないと笑っていた。


 だが事態は急変する。


 尼子が軍を発し石見へ侵攻を開始したのである。石見銀山の近くの領主小笠原氏や福屋氏がそれに呼応した為石見西部の益田氏や吉見氏が兵の動員をかけ安芸国毛利も国境に兵を送ることとなった。


 大内でも兵を派遣すべきと内藤興盛が主張し、義隆もこれを認めるが誰を主将にして派遣するかとなった。興盛は義隆自らの出馬を願ったが軍事を倦んでいた義隆は陶隆房を指名する。これには側近の達が反対したがそれを押し切った。


 命を受けた隆房は兵を動員すると自分の若山城で蜂起を宣言し、山口への侵攻を開始する。


 それに近隣の領主たちは次々と陶に呼応し兵数は1万を越えた。


 此処に来て義隆は遅まきながら危機を悟り、内藤や杉らに陶討伐を命じると共に毛利へも援軍を頼もうとした。だが毛利へ使いを送ろうとしたときに内藤と杉が出陣を拒否した事を家臣が慌てて注進してきた。


「いかがすればよかろうか? 隆元よ」


 うろたえた義隆は隆元に尋ねる。


「御屋形様、父は今石見に出陣し援軍は送れますまい、此処にいたってはこの山口を守るのは困難です。吉見殿の三本松城に向かいましょう。必ずや御味方してくれます。そして我が父たち安芸勢と吉見・九州の杉とで逆賊を討つのです」


 其の献策を入れた義隆は山口を脱出し長門の仙崎を目指した。だが陶勢の追撃によって追い詰められ長門深川の大寧寺に逃げ込んだ。


「隆元が居らぬ、どうしたのか?」


「隆元殿は逃げ遅れて……討ち死にしたものと思います」


「もはやこれまでか……」


 既に寺の周りは数千の兵馬に囲まれていた。


 義隆は最後を悟り自害し、ここに大内氏は滅亡する事になるのであった。


 ☆


  陶隆房は義隆自害を聞いて直ちに一条家からの養子を擁立しようとしたが其処に驚くべき事が使いによって知らされた。


 毛利家が尼子家と和睦、逆賊陶を打つべしと兵を向けたのであった。





いつも読んでいただきありがとうございます。



感想・評価等大歓迎です!



※この小説はクロスオーバー作品です



早見様の「ゲーム機片手に天下統一!Player1 〜瀬田に我が武田の旗を立てよ〜」


霧島ナガツキさんの「ゲーム機片手に天下統一!Player2 ~我、長宗我部ニテ立チ上ガラントス~」


天樹院樹理さんの「ゲーム機片手に天下統一!Player3〜諌死なんてしてやらん、天寿を全うしてやる!!〜(仮)」



 4番目になる作品です


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