第二十話 大内家の変事
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以下本文です。
京です。大内の混乱は益々進んでいます、思惑通りと言ったところでしょうか。
目の前で元就が少輔太郎からの文を読んでいます。
「太郎は元服し義隆様から偏諱をいただき隆元と名乗りを上げたそうだ。しかしその場に陶隆房殿は病気と称して来なかったと書いてある」
どうやら大内義隆と陶隆房との仲を裂く事には成功しているようですね。
「京の狙い通りになったという事か、済まんな本来ならば其方がこの元服を受けるところであったと言うのに」
「いえ、私ではこのような事は出来なかったでしょう」
元就と京の間にいる弟の太郎が少しほっとした顔で答えています。
そう、山口に居るのは太郎の陰武者なのです。世鬼の里の者で房中術に長けた者を送り込んでいたのです。
勿論私が秘伝書で力を底上げしているので超優秀です。
「だが、これでは太郎はずっと日陰の身、どうにかしなくてはいかんな」
「それについてはいい案があるわ、勿論山口の情勢次第だけど」
「何か妙案があるのか?」
「以前に使った手よ、元就に今更一人位子供が増えても問題ないよね」
そう言って私は北就勝、いえ元網叔父様の顔を見ます。
「まさか?」
「そう、そのまさかよ」
■
山口 大内館
「元就殿の次男が元服とな」
「はい、次男松寿丸の元服を執り行うと」
「そうか、どの様な弟御なのか?」
「兄の私が言うのも何なのですが篤実忠良少々野暮ったく御屋形様から見れば田舎者に見えましょう」
「そう卑下した者でも有るまい篤実なればそなたを支える良い武将になろう、そうじゃな偏諱を与えよう」
「その様な事まで……ありがとうございます」
「なに、そなたと儂の仲ではないか」
こうして松寿丸こと本当の太郎は元就の就と義隆の隆の名を貰い就隆と名乗る事となった。
其れを聞いた京は(本当は隆元の孫が付ける名前なんだけどな~)と思ったが口にはしなかったと言う。
其れよりも大変な事が山口の大内館で起こっていた。
■
「隆元よ、大変なことになった」
「どうされました、御屋形様?」
「武任が孕んだのじゃ」
「なんと! おめでとうございます、もし男の子が生まれれば大内家は万々歳でございますな」
「じゃが、武任は男として近侍しておるのじゃぞ、其れが孕んだとなれば外見が……」
「御屋形様、某にお任せくだされ、大内家に良いようにさせていただきます」
「そうか、では任せたぞ!」
「ははっ!」
やがて相良武任は山口より姿を消した。人々は御屋形様の寵を奪ったのを恨んだ陶隆房を恐れて故郷肥後国の相良へ逃げたとも暗殺され密かに始末されたのだと噂し、其れを聞いた陶を始めとする重臣達の心が益々義隆から離れる事となった。
■
それから約一年が経った。
「隆元は知恵者じゃのう、男として扱うので不味い事になる訳で女子に戻せば問題は無いのう」
「恐縮です」
隆元が取った手は実は簡単な事であった、武任の男装を止めて侍女の格好をさせ身元を京の下級貴族の養女として経歴ロンダリングを行い義隆付きの侍女にしてから懐妊を発表。側室になったのであった。大内家の金と権威の力で無双した結果である。そしてその後側室おさいの方と呼ばれるようになった彼女は男の子を産み義隆を喜ばせた。
「目出度い事だ、大内の未来は明るいのう」
「ただ、陶殿がいささか気分を害しておる様子なのが気がかりで」
隆元は武任が逐電した原因に隆房が挙げられて居るのが面白くないと隆房が病気と称して山口に出仕していないのを気にしていた。
「なんと、隆房も大人気ないことよの」
この話が隆房に伝わったから堪らない。
「御屋形様は完全に儂の事を見限ったようじゃならば其れで良し! 予てよりの手筈通り一条家に使いを出し御次男をお迎えする」
隆房は屋敷に同志を集め決起を募る。
「儂は陶殿に同心いたす!」 「某も!」
右田・野上・問田・江良等が同意の声を挙げる。
こうして悪屋形義隆を討てという檄文が領国内を駆け巡り、大内は動乱の中に叩き込まれるのであった。
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※この小説はクロスオーバー作品です
早見様の「ゲーム機片手に天下統一!Player1 〜瀬田に我が武田の旗を立てよ〜」
霧島ナガツキさんの「ゲーム機片手に天下統一!Player2 ~我、長宗我部ニテ立チ上ガラントス~」
天樹院樹理さんの「ゲーム機片手に天下統一!Player3〜諌死なんてしてやらん、天寿を全うしてやる!!〜(仮)」
4番目になる作品です