表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/32

第一話 こんなはずではなかったのに!

 神(?)の導きで戦国時代の大名の姫に転生したきょうといいます。


 京という名前はもちろん転生した先でつけられた名前ですよ!前世のその辺は奇麗さっぱり無くなってしまっています。由来ですか?父親の元就の就の字から取ったんだそうです。


 うらやましいって?そう思うのは今の境遇を聞いてもらってからにして貰えますか?


 私は転生した時2歳くらいになってました。いきなりの赤ちゃんプレイは気の毒だと神様が配慮してくださったんだろうなとその時は感謝しました。ですがどうも様子がおかしいんです。


 まず、屋敷には母とその傍仕えしかいないんです。


 元就ちちおやは、忙しいんだろう、戦続きなんだろうなと勝手に思っておりました。貰った神器(ゲーム機)の操作法等を調べていたんですよ。このゲーム機にしか見えない物はどうやら私にしか見えず触れない物のようです。ですから人前で使っていると私が何も無い方に向いて笑ったりしているように見えた為に随分気味悪がられた物です。最近はこっそり使うようにしてます。最もまだ子供のせいなのか使えるコマンドが殆どありません、全部伏字になって選択できないんです。見えるのは私のステータス位です。


名前  毛利 京


父親  毛利元就


母親  高橋 楓


年齢  6歳


レベル 1


生命力 100/100


体力  15


知力  75


行動力 10/100


技 中世言語(戦国時代) 観察眼 秘伝書作成(極小)


 これも伏字で読めないところが多々あり読めるところがこれだけである。何というか本当に{徳川家康の野心}というスーパーなゲーム機のソフトの武将ステータスその物である。やり込みまくり最弱ステータスを誇る小田天庵で全国統一をした私が言うのだから間違いない!でもこんな細かいことまで知ってて元の名前が思い出せないのは非常に悔しい。


 残念なことにコマンドを使うのに必要な行動力が少なすぎるのが問題です。行動力が溜まらないと内政コマンドも人材発掘コマンドも使えませんし何よりも秘伝書が作れないんです。


 秘伝書は内政・外交・武勇・商才・鉱山・細工などの分野に分かれておりその分野の才能を身に着けるアイテムです。これにより元々のステータスの不足を補ったり、家臣の能力アップをさせて仕事をしてもらい国を富ませるシステムですね。これが使えるようになるにはレベルを上げて行動力を増やして行動力を対価に秘伝書を作るのです。


 それよりも!


 このステータスを見て気が付きました。


 母親 高橋 楓  ……!


 ナンジャコリャー! も・元就の妻は吉川家から輿入れした妙玖だったはず。妙玖は死後付けられた戒名だから本名は別にあるはずだけど高橋ってどういうこと?


 あわてて母親に尋ねました。


「母様、母様は高橋家がご実家なのですか?」


「そうよ、といっても養女として高橋家の娘として元就様に嫁いだのですけどね」


「そうなのですか?」


「ええ、因みに今いるここはその高橋家の屋敷なのですよ」


 なんだそうか、焦った……ええ!


「それはそうとして何故に高橋家の屋敷に居るのですか? 父様は?」


「御領地の多治比に居られるわよ、領主なんだから当然よね、私たちがここにいる理由はね、貴方が高橋家の人質になっているからよ、私はそのお供というわけね」


 今、すごく大事なことをサラッと言いやがりましたね我が母は。確かに元就には名前も伝わっていない長女が居り幼くして高橋家へ人質にされたという事をどこかで読んだことがあります。歴女歴20云年を舐めんなよ!


 でもそうだとしたらまだ腑に落ちない事がある。


「でも私が人質なら母様は来なくてもよかったのでは?」


「あら、中々鋭いわね。それはね此れには裏があるのよ、覚えて置きなさいね、物事には表があれば裏が必ずあるの、この裏はね随分と深い理由があったのよ」


 そして話してくれた事は私を打ちのめした、流石戦国時代、修羅の住まう国とはよく言ったものである。


「じゃあそろそろ事情も知ったし始めるとしましょうか?」


「はぃ?」


「そう、私たちの裏の顔よ」


 そうして今現在の私に繋がって来るのです。


 私は多治比の領主毛利元就の姫です。


 領地が300貫しかなくても領主の娘で姫と呼ばれる存在なのです。


 なのに……


「どうして背負子に重い石を乗せて山中を駆けなければならないのだ? 解せぬ」


 私はそう独り言を呟きながら人里離れた山中を進みます。昼なお暗い森にはシカやイノシシ・サル、果てはクマや狼まで出ます。その中を駆ける事は危険が大変なのです……言葉がおかしいですね。少し取り乱しているのかもしれません。


 この自衛隊のレンジャー訓練みたいなお勤め以外にも武芸やら野外で生活する訓練だとかしています。お蔭でステータスは現在はこうなっています。



名前  毛利 京


父親  毛利元就


母親  高橋 楓


年齢  8歳


レベル 20


生命力 650/900


体力  90


知力  88


行動力 200/1000


技 中世言語(戦国時代) 観察眼 秘伝書作成(小) 苦痛耐性 空腹耐性 病気耐性 身体強化(小) 敏捷(小) 頑健(小) 回復(小) 交渉術(小) 隠蔽(小) 蔵(小)



 体を鍛えたことで耐性が付いたりしたけど大きかったのはレベルが上がり秘伝書が作れるようになったのが大きい。お蔭で何とかこのお勤めも果たすことが出来るのです。


 私は一息ついて手のひらを見ながら念じます。その手に竹で出来た水筒が現れ私はそれを飲み干します。汲んだばかりの清水の冷たさが心地良いです。小さい物しか収められませんがこのような{蔵}というスキルがあればこのような事も可能になるわけです。



 「けどやはり納得いかないな、なんでこんな事をしなきゃいけないのか?やはり確認しなくちゃね」


 こうして屋敷に戻るのでしたがまさかこの後あんなことになるなんて思いもしませんでした。

感想等ありましたらよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ