第十七話 伯耆・因幡平定戦
※ 主人公を腐女子にした時点で覚悟していましたが……
京です。公方様から詮久様が伯耆・因幡の守護に任命されたので大義名分が出来たので平定戦の最中です。
後背の大内・毛利は安芸国内の尼子方との戦いに明け暮れています。安芸武田がいい具合に頑張っています。後は山内や三吉・吉川が牽制しています。
伯耆の平定は経久の代から行ってはいますが今度はかなり気合が入っています。
勿論逆らう者たちには容赦の無い鉄槌を食らわせますよ!
「小鴨家が当家に仕えたいと申しております」
「いいわよ、但し禄米支給で良ければ許すと伝えなさい」
岩倉城の小鴨氏も降伏し、あとは羽衣石の南条だけですね、尤も国久率いる新宮党を主力とする部隊に囲まれてますので落城も時間の問題です。これで伯耆もコンプリートですよ!
お次は因幡です。ここは山名の一族が治めていますが隣の但馬の山名氏とは犬猿の仲のようです。非常に都合がいいですね。援軍が来ないうちに叩き潰してしまいましょう。
攻め入って直に武田国信という武将が尼子に降りました。この人安芸武田の親戚である若狭武田の一族のようです。非常に好都合ですね、安芸武田の当主のスペア候補にしましょう。
有力な寄騎である武田が降ったので後の者たちも雪崩を打って追随しました。其の中に私部毛利という家がいました、どうやら私の家の遠い親戚になるようです。
でも、それだけですけどね。裏で繋がっているとは言え今の私は尼子の奥方なのですよ。
「お方様お呼びでしょうか?」
杵築大社の歩き巫女の頭がやって来ました。まあ私が呼んだんですけどね。
「大内への仕掛け進んでいる?」
「勿論でございます、皆競って広めて居ります!」
「そ・そう、くれぐれも尼子が関わっていないように見せてね」
鼻息荒く答える頭に私は少々引き気味で答えます。うーんやはりアレはこの時代の人々には劇薬だったのかしらん。
☆
周防 山口 大内館
「御屋形様! いかがいたしました?」
「興房! いかがではない! これはどういう事だ!」
「! これは……」
「直ちに義隆と隆房を呼べ!」
安芸国から届いた手紙を見た大内義興は重臣の陶興房を呼びつけ激しい剣幕で嫡子で後継ぎの義隆と興房の息子で陶家の後継者である隆房を呼ぶように命じた。
「義隆、貴様が衆道を嗜もうと構わぬ、だがその事で大内の名に傷をつける事は許さん!」
「一体如何なることですか?」
恐る恐る質問する義隆に「読んでみよ!」と薄い本を投げる義興。
「これは! 」
その中身を見た義隆は固まり、横から見ていた陶隆房も顔を引きつらせる。
「絵入りの交合本、そなたたちが戯れ合っているところを書いた物だそうだ」
興房が苦い薬を飲んだかのような表情で切り出す。
「こ・これは何処で手に入れたのです?」
義隆の切れ切れの問いに義興は彼を睨みつけ言葉を絞り出した。
「安芸国の西条守護弘中隆兼からじゃ。安芸国の国人たちの間で広まっていると毛利殿が知らせてくれたそうじゃ、毛利殿は安芸国ならず石見や出雲で調略中であった領主たちが動揺しており非常に危機感を抱いている。尼子は伯耆・因幡を攻め取り勢いづいておる。もし矛先がこちらに来ては守りきれんとな」
「さもありなん、毛利が敗れれば安芸は尼子の物、更に石見も備後も危うくなります」
陶興房も沈痛な表情をして言葉を継ぐ。
「父上……」
隆房も事の深刻さに気が付き泣きそうである。
「御屋形様戻りましてございます!」
そこに重臣の内藤興盛が駆け込んで来る。
「調べました所、周防・長門にもこの本が密かに流通しておりました、それだけではございません、九州の領地から博多を経て九州各国へ……」
「では、大友や島津にもか!」
「それだけではありませぬ、博多より勘合貿易船で明に流れた可能性も!」
「何という事だ、大内の名がこれでは笑いものに! うっ!」
「御屋形様!」 「誰かある!医者を! 早う!」
胸を押さえて崩れ落ちる義興に興房たちは駆け寄った。
その後義興はそのまま床に就き回復することなくこの世を去った。
後の世になってこの{薄い本}の作者が京であったことが判ると三国志演義で諸葛亮孔明が書で敵手を悶死させた故事に匹敵する策であると書かれる事になった。本人としては精々嫌がらせ程度であったのだが今更否定も出来ず、無駄に彼女の名声を高める事になったのであった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
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※この小説はクロスオーバー作品です
早見様の「ゲーム機片手に天下統一!Player1 〜瀬田に我が武田の旗を立てよ〜」
霧島ナガツキさんの「ゲーム機片手に天下統一!Player2 ~我、長宗我部ニテ立チ上ガラントス~」
天樹院樹理さんの「ゲーム機片手に天下統一!Player3〜諌死なんてしてやらん、天寿を全うしてやる!!〜(仮)」
4番目になる作品です