久しぶりに、皆んなと一緒に寛ぎます
「ねぇ、ルル。」
「はい、何でしょう?お嬢様。」
「ルルも折角だから座ったらどうかしら??」
「…お嬢様。私は従者ですよ?主人と同じ席に着くなど、あり得ません。」
「昔は一緒に座ってお茶していたじゃない。今更なのだから、私と座って?貴女も長旅で疲れたでしょう??」そう、ルルを労うのですけど、やっぱりこの子は意固地ですね。
「いえいえ、昔は昔。今は今。ベテラン従者となった私は、簡単に折れませんよ??」ちょっと茶目っ気をのせて言ってきます。いや、でも、多分折れると思いますよ?
「いいじゃないか。こうディアナ様も言っているんだから、一緒に座ってあげれば。」ズズズっと音を立てながら紅茶を飲むジョシュア。いや、貴方はむしろ、自由過ぎますよ。お兄様も、呆れた顔して、こっち見てますよ?
「ジョシュア、むしろお前は自由過ぎだ。。。」
「いやいや、リアム様。少しばかり、相好を崩しても自室でならバレませんて。それに、他に人もいないんだから、いいじゃないですか。外では大分、カッチリしてるんだからさ。」
「いやまぁ、そうだが。。。流石に主人としての面目が潰れるのだが、、、ディーも、クルクル表情が動いているほどだぞ?」
「いえ、お兄様。むしろ、羨ましい限りですわ。昔からルルは、思った以上に堅物なのでこうと決めたらテコでも動かないんですの。仕方ないので、命令するしかなくなるんですわ?」そう、冗談混じりにチラッとこの子を見上げます。
「ルル、ルルもジョシュアと一緒にそちらに座りなさい?」ちょっと主人っぽく言ってみます。
「いえ、流石にジョシュアのようにダラけられませんよ??私は従者ですからね?」
「わかっているわ。ジョシュア並みに相好を崩してまでは言いません。ちょっとそこに腰掛けて一緒にお茶をして過ごすだけでいいのですわ。貴女も、疲れているのだから。」首を傾げながら、彼女に命令します。やっぱり、自宅だからですかね??別宅の時と違って、ルルの表情もわかりやすくなっている気がします。だから、昔のように表情を読めて気づいてあげられたんです。良かった。
「お嬢様、、、もう、仕方ないですね。一緒に、お話致しましょう??」ちょっと不服そうですが、私をしっかりみて、お話してくれます。やった。
この空気感も、懐かしくて、楽しい。
「ふふ。良かったわ。ルルも、疲れが溜まっているのだから、無理をしてはダメよ??」そう、釘を刺します。
「心得ております。ですが、私はそんなに無理をしてはいないので、お気になさらないでください。」
フイと顔を背けながら、紅茶を飲み干す彼女。やっぱりこの子、所作が洗練されていて、綺麗ですね。私と一緒に小さい頃から練習していたから、まるで何処かの令嬢みたいな美しさがあります。
まぁ、それほど生まれも育ちもいいところですから。我がシルヴァン家からの古くからの家系。一族的にも、裕福な家庭みたいなので、それくらいはお茶の子さいさいなんでしょうね。
ルルと一緒に同じテーブルを囲むのは、別宅ではなかったことだから、今はただ、この懐かしい時間を楽しむことにします。
「そういえば。お兄様、キャシー様とはまた遊ぶ約束を取り付けておいでですか??長期休暇は2ヶ月もございますから、寂しいのではないですか?」
「ブフッ!ゴホッゴホッ……。」あ、お兄様、咽せてしまってます、、、
「だ、大丈夫ですか?お兄様。紅茶を吹き出すなんて、はしたないですわよ?急にどうされました??」
「いや、ディーが、寂しいとか、聞いてくるから、、驚いて咽せてしまったじゃないか。。。」え?でも。
「え?ですがお兄様、2ヶ月会わなかったこと、最近はないですわよね??キャシー様に変な虫がつかないよう、たくさん会わなくてよろしくて??」なんて、気づいた私はお兄様を、揶揄いだします。
「……。ディー、僕を心配するフリをして、楽しんでるね??何だか性格が悪くなったのかな?まるで、ジョシュアみたいだよ?」ジト目で私を見つめるお兄様。いや、私もジョシュアみたいなのは勘弁して欲しいですね。
「まあ、なんてこと言うのですか?ジョシュアみたいな万年揶揄い屋さんと一緒にしないで下さいまし。私、本当に心配してお聞きしましたのに。」なんて、ちょっと悲しそうな表情をしてみせます。
「ああ、いや。ディーを悲しませるつもりなんてなかったんだ。ただ、君が、昔の様に笑っているのが分かるから、少し、嬉しくなったんだ、、、」そう、目を細めながら私を優しく見つめてくれます。最近は、お兄様に心配ばかりをかけていたから、こんなに話せるのが嬉しかったみたいです。
「その節は、ご心配をおかけしましたわ。それに、ジュリアン様との件、お兄様には、大変ご迷惑をおかけしました。。。」今更、なんてこともありますが、タイミングを掴めずにいた私は、今この時、ゆるり流れる時間の中で、やっと言葉にできました。
「いいんだ。僕は分かってたから。事前に用意もできたし、君のためなら、どんな苦難も問題にならない。僕は、君のただ1人の兄だからね。」そう、片目を瞑りながら、私に嬉しいことを言ってくれるお兄様。やっぱり、お兄様は優しくて頼りになる、私のただ1人のお兄様。他の人には、あげられないです。
強いて言うなら、キャシー様がお義姉様になることは許容範囲ですよ。ずっと、望んでますからね。2人が一緒の時は優しい時間が流れてます。
「……キャシーは、ディーがアッシュフィールドに行く頃にこちらに遊びに来てくれるから、心配しなくていいよ。というか、君とも会いたがっていたから、ディーが王都に戻る少し前にここに到着する予定だよ。」
おお、予定まで立てていただいてたとは。それに、そんなに気を遣ってくださってたとは。。。
だって、キャシー様のご実家からこちらの領土は10日は見込む必要がある距離です。
だから、昔は2ヶ月に一回でしか来ることが出来なかった。王都の別宅に移るまで、頻繁に会えなかった理由です。なのに、私の出発前に合わせて、なんて。
一度モートン家に帰って少ししてからこちらに向かってくる計算になりますよ。なんなら、もう少ししたら、あちらを出発するくらいです。
いつも来てもらって申し訳ないと思っていたんです。こちらから、向かって行くことも出来たのに。なんて、申し訳ないんでしょう。などと考えていたのが顔に出てたんですかね。お兄様ったら。
「キャシーは将来、ここに住むことになるからね。ここの土地をちゃんと知りたいと思ってくれている。それに、ディー、君と遊ぶことも楽しみにしてくれているんだ。感謝の心で迎えてあげよう??」
「はい、分かりましたわ。キャシー様を盛大にお迎えしますわ。」
…………。???………。?!?!えっっっ!!なんか、爆弾発言ありませんでしたか??!
「お、お兄様、、、、??」
「なんだい?ディー?」
「あ、あの、、、、キャシー様、ここに、住むのですか、、、??」
「あ。。。」フイと、顔を背けるお兄様。え、確かに、画策してると昔に聞きましたが、え、いつの間に??お、驚きですよ??
「ふ、ふはははは!!リアム!どんだけ、抜けてるんだよ!ちゃんと決まってから話すっつってたのに、自分で暴露してんじゃないか?!」ヒーっって、大爆笑のジョシュアです。というか、昔みたいに呼び捨てに戻ってますよ。ジョシュアも、何だか懐かしいこの空気に絆されてますね、、、、そ、それより。。。
「お、お父様たちには、、、」
「父上も、母上にも事前に説明済みだよ。。。内々で彼女の家とは話し済みだ。あとは、来年僕が卒業する時に正式に婚約を発表して、ジュリアン様の側近として一人前になる頃に、、、って話していたんだよ…」
ふぅ、とため息を吐いているお兄様。というか、私にも言って下さいよ!
「いや、ディー。君は思った以上に顔に出やすいからね。正式に言う前に、漏れ出てしまうだろう?」なんて、言ってくれますが、お兄様だって、私に漏らしてますよ??ジト目で見つめていると。
「わ、わかってるよ。。。僕も迂闊だったし。久しぶりの実家で、やっぱり僕も気が抜けていた。長旅で疲れていたのもあっただろうけど、大分やられているね。。」そう、やるせない表情をしています。
「もう、ジョシュア、笑いすぎですよ。リアム様とお嬢様に失礼です。」少し厳しい顔でルルがジョシュアを叱ってます。
どちらが年上か、ほんと分からない2人ですね、、、、




