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さて、何から始めれば良いんでしょうか?

「それで、ディアナ様。大切な人たちを探すためにこの国を知ろうといっても、これからどうやって学んで、知って、2人を探していきましょうか??」そう首をコテンとするリリィちゃん。やっぱり癒しですね。

「ええ、そうよね。気持ちだけは急いているけれど、何から手をつけるのが正解か、どうしたら見つけられるかはわからないのよね。。。」そう彼女に、返します。「だけど、リリィちゃんの大切な人は、あの溜まり場にいらっしゃるのよね??」「確証はないんですが、連絡の途絶える前に貰った手紙から推察すると、そうなのかなって。。。」「そうなの?それでは、一度ちゃんと、その場所を私たちで探してみるのも一つの手だわ。」


「ディアナ様」「お嬢様」『なりません。』ビックリです。2人が同時に止めてきました。

「どうして?危険な場所といっても、犯罪集団ということではないのよね?それに、住んでいるのはこの国の民よね??何かしらの先触れをして、そこにいるかいないか、確認するくらい出来ないの??」これなら、リリィちゃんの問題は、解決しやすいのではないかと思ったんですが。その場所を知ることもできますし、大事なこの国を直に学べます。

「お嬢様、先程申し上げたとおり、あの場所は王家であっても相応の準備なくして踏み入れられない場所となっております。あの方々は、この国の在り方自体を不要と考える人々が、組織として徒党を組んでいる状態なんです。武装もしている方たちですので、兵を従えて話し合いを設けなければ、踏み入れることも難しい状況です。」それは、組織として大きくなる前にどうにか出来なかったんですかね??それに、武装って、どうやって出来るんですか?貴族の私兵や国の兵士以外で武装する方法、この国にありましたかね??

「ディアナ様、王族の方も手をこまねいているのは、あの方々は王政の否定はしていないんです。ただ、国の運営方針としてその在り方を変えたいと、この国を良くするために、()()()()()の立ち位置の明確な区別と、領主制度の円滑な運営のための改革の推奨の必要性を訴えている人たちだったんです。そのために組織立った抗議活動をしていた団体でしかなかった。だから、反乱軍としても認定できず、国も表立った対応が出来ないのです。王族の否定や国の存続に対しては、何も口出しをしていない。だから、その理念のみで集まった知識人たちが徒党を組んでしまった。結果的に大仰な組織になってしまったけど、本当に武装までをしているという確証も得られない状態なんです。だけど踏み入れた者は怯えとともに戻ってくる。けれど口をつぐんでしまうから何もわからない。だから、ただ住んでいるだけの方たちのままでしかなくて。確証のある犯罪行為を見つけられないから、国も突入して暴くこともできない。だって、彼らは証拠のある犯罪は一つも犯していないんですから。」


逆にここまで言われるのなら、やはりきな臭い組織なんですかね?

「お嬢様、彼らの理念、「民の元に国はあり、国の元に王がある。」この意味はお分かりですか??」

「え?…ごめんなさい。どちらもそのままの意味にしか思えないわ。」だって、民がいるなら国ができるし、王もいるだろうし、どちらもないと国は成り立たないですよね。あ、人の元に国ができる、ってことなら、民は民衆。市民のことですかね??貴族や市民の身分ではなくて、民と一括りにしているっていうのは、身分制度の廃止を訴えているのかしら?

「王政の否定はせず、貴族も民の一つとして数えて、その貴族を支えるのが役人、そのための市民と貴族の在り方を主張しています。」「え?かなり国の制度に口出す様な理念よね。それなら、貴族制度の廃止なんて、国政に影響が出そうな反乱罪にはならないの?」「いえ、貴族制度の廃止は訴えていないんです。その貴族制度を利用して、ちゃんと統治を貴族と市民の両分を分けて行うという言い分です。貴族は王に仕えるもの、市民は貴族に仕えるもの、だから、どちらも王なくしては国を保てない。貴族と市民の身分は、両分を区別するものでしかない、という言い分です。だから、制度の廃止や今ある制度を壊したいということは言っていないから、大手を振って手を出せないんです。それに手を出したら、言論の統制になってしまいかねない。すると、悪政が始まったと他の国民たちに思われかねない。だから出来ることもなく、手をこまねいているんです。」

「な、なるほど。そんな状態なのね。それなら、その場所に行くのは、貴族である私が行くにはだいぶリスクがあるんですね。。。でも、それならリリィちゃんも私も、大切な人を見つけたい、と同盟を組んだ時点で手詰まり状態ということなのね。」


ふむ、どうしたものか。

「今の状態だと、私たちに出来ることって、何もないんです。それが余計にもがきたくなる、学んで、力をつけたくなる。そういう気持ちだけが強くなるんです。」そう、シュンとした姿をみせるリリィちゃん。私もここまで来ると何もできないことがもどかしい。そう思っているたらリリィちゃんたら。

「ですので、私はこの国の役人となる道を選ぼうと思っていました。そして公平で平等な仕事をしていたらきっといつか、上級官僚になって国政に携われることもあるかもしれません。そうしたら、デイジーのいる場所に行くこともできて、また会えるかなって、思っていたんです。」そう教えてくれますが、それは、とても気の長い、いつになるのか、わからないような難しいお話ですね。だって、幹部クラスの役人にならないと国の運営なんてものに携われないんですよ。将来的にも、リリィちゃんがどこまでのエリート役人として働けるかわからないですが、特待生が、その。。。上級官僚になれても、大臣クラスにまでなることができないのがこの国の現実です。貴族位がないと、流石に難しい。男爵位の方にも大臣はいません。最低でも子爵位があって始めてなれるものです。それに、子爵位の方だと、史料編纂室などを担当する大臣や軍務を担当する大臣になってしまい、直接国防や国政に携わる方だと、伯爵位クラスになってしまいます。そんな方たちに仕えるのが上級官僚。だから、その方々に仕えられる能力がないと、這い上がることができません。それは、コネであったり、飛び抜けた能力であったり。


確かにリリィちゃんの魔法の才能は飛び抜けていますが、それは、国防に関して。国政までのし上がるものとは言えないんです。だけど、リリィちゃんのこの親鳥を見つめる様な潤んだお目々を見てしまった私には、否定することも、反対することもできない。だから、私は「それは、私に出来ることがあれば協力するわ。勉強を頑張りたいというなら、そのお手伝いだって惜しまないわ。けれど、リリィちゃんの得意分野は魔法よね。それも、光属性。私は苦手な分野だから、頼れる大人を探しましょう??」こうなれば、とりあえず大人に頼ることにします。リリィちゃんが望むなら、その能力を伸ばしたいというなら、私は私の出来ることでもがきます。もうこれからは、なりふり構わないです。私たちの願いを叶えるのなら、なんだっていい。もう後悔しないために、助けを請う。それが、甘えだとしても、私は縋ることにします。なのでこういう時の最適解を、ルルから貰おうと思って見つめました。

「……それが、お嬢様の願いだというのなら、私はお応えしますが、リリィさんの願いというなら、私は応えられません。お嬢様、()()()()()()は、なんでしょうか。」そう、ルルが厳しい視線を私に送ります。そうでしょう、私たちはこれからもっと上を見なければならない。生半可な想いでは進めない。

「同盟といっても、私たち2人で考えるのに限界なの。だから、どうやったらこの気持ちの整理をつけて、大切な人を探せるのかしら。そのヒントが欲しいわ。」ふう、というため息をつきながらルルは。

「お嬢様のお母様、クロエ様のご実家であるアッシュフィールド家、貴女様のひいお祖母様であるアイリス様。彼の方であれば、どうにか出来るやもしれません。」「え?ひいお祖母様が??なぜ?」「お嬢様、貴女様のひいお祖母様は、王家に連なる方というだけではありません。魔道具の発展や魔法理論の構築、その基礎を築いた方です。それに、お嬢様の魔道具もアイリス様の発明品です。一度、クロエ様にお話しして、リリィさんを連れて行くのも一つかと存じます。」「えっ?!アッシュフィールド家って、()()辺境伯領ですか??!わ、私が訪れていい場所でしょうか!?」あれ?さっきまでのシリアスが嘘の様にリリィちゃんがワタワタしてます。この切り替えも可愛いですね。私の顔も崩れそうになったからルルがちょっぴりプンプン顔です。

「お嬢様、お嬢様がどうされたいか、お決めください。」おぉ、リリィちゃんに主導権、一切渡さないつもりですね、ルル。ちょっと気になってたんですが、ルルはリリィちゃん、苦手なんですかね??だけど私の願いだから叶えてくれる……けれどそれを聞いちゃうと、ルルの従者としての仕事を私が難癖つけたみたいですからね。聞きませんよ。それに、そんな気持ちを出さずに私のために動いてくれるから。ホントにルルは、私の優しいお姉さんです。



この後、リリィちゃんと別れて家に帰って。ルルの言うとおり、直接お母様に、少しの嘘と理由をつけて、リリィちゃんとひいお祖母様に会いたいって相談して、、、

そしたら今度の長期休みに訪れられる様、お話しをしてくれるって、お母様のお許しが出て。とっても前進できたのかな。それがとても嬉しくて、お母様の全部を聞かない優しさが有り難かった。だけど交換条件。今まで以上にこの国を知るために学んで、社交を頑張りなさいって、そう諭された。





本当に、今の私は全ての環境に恵まれている。私がダメなことをすると嗜めてくれて、真剣に怒ってくれる。それだけじゃなくて、何かあれば何も聞かずに頼らせてくれる。両親と兄、そしてルルや使用人のみんな、学園で出来たお友だち、私の周りは優しくて、良い人が多い。

この世界での私は本当に幸せで贅沢な環境が沢山与えられていて、これ以上ないというのに、自分のこの、あの子に会いたいというだけの、どうしようもない焦燥が悩ましくて嫌になる。。。

これが全てを壊さないかずっとずっと、こわい。こわくて、夜は怖くて、泣き喚きたくなることもあるんだけど、そんな時はルルや皆んなが近くにいてくれる。だから、まだ頑張っていられる。



こんな簡単なことなのに、今まで私は気づくのが遅かったけれど、この世界を今からちゃんと知っていく。そう、決めたから。それがあの子に繋がると信じて。

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