仲良くしたいだけなのに、どうしてそっとしてくれないの
仲良くしたいだけなのに。どうして、私の自由にさせてくれないの??この学園で初めて出来たお友だちなのに。貴方たちに、何かを、言われる迷惑なんて、かけてないじゃない。。。
だけど私が、選り好みしたから。貴方たちを排除して、私は一つを選んだから。責められるのは私だけ。
「リリィさん、今日はこの後、どちらの教室に行くのかしら??」先週のことをもう忘れて、早速リリィちゃんのところに駆け寄る私。節操がない気もしますが、仕方ないじゃないですか、そこに可愛いあの子がいるんだから、声を掛けずしてどうします??えっへん、と心の中で威張ります。
「私は魔法理論をとってますので、講義棟ですね。」
「あらそうなの。私は近代政治学をとりましたので同じ場所ですわね。そちらまでご一緒してもいいかしら?」
「ええ、こちらこそ、お供させていただけますか??」
ふふふ、リリィちゃんともう少し一緒に話せるとは、楽しいですね。
必須の科目以外は、自身の興味がある授業を選べる選択制のこの学園。そして、授業に応じて講義棟と実習棟に分かれています。普通に大学みたいですよね。まぁ、必須の科目といっても、マナーと魔法の応用、と言う名の基本知識のちょっと先、実践編ってところですから。ですので、専門的に気になる内容があれば、自身で講師を選んでその方の授業を皆んな受けに行きます。人気が高いのはやはり権威のある魔法学の講師の授業とかに偏りがちですね。気に入られるとその後は出世コースですから。ありきたり過ぎます、、、
そんなこんなで、話していたら講義棟まで着いてしまいました。仕方ない、ここからは別行動です。「それではリリィさん、また後で。」と声を掛けて行きます。「はい、お気をつけてディアナ様。」私の心配をするリリィちゃん、ヒロイン力のレベルがドンドン上がっていますね。やはり優しい子です。。。そして、微笑む笑顔は天使のよう。あの笑顔を見るだけで心臓が跳ね上がる私は可笑しいかもしれません…はぁ、今日も午前から癒しだわ、、、
「失礼いたします、ディアナ様。同じ講義を取っているとは光栄ですわ。」そう、ニコリと微笑む淑女。うん、確か、同じクラスのあの人ですね、あの人、、、「ディアナ様、私はマリー・アスターですわ。」私が直ぐに名前を出さないのを察してもう一度自己紹介してくれました。受動的で申し訳ないですが、助かりました。お父様も言っていたから、ここで話して、少しは交流しますか。狡くて酷いですね、わたし。
「ええ、そうでしたわね。申し訳ございません。まだクラスの皆様のお名前とお姿が一致できていなくて、、、」顔は知ってるけど名前はわからんかっただけよ、と言い訳をかまします。まあ、バレてるでしょうかね。
「いえ、ディアナ様は今年から学園に特待生として入学されています。ですので、致し方ないことと思いますわ。」何やら優雅に微笑む姿が妙にハマっている人ですね。金に光る髪を大胆にも巻き付けている姿、まさに堂々として、ザ令嬢の中の令嬢、と言う感じがします。斯くいうこの方、アスター家でしたよね。保守派筆頭の侯爵家ではないですか。やばいです、まさかの別勢力の方に話しかけられていますが、昔ながらの旧家なので、そこまで突っかかってはこないでしょうかね。見る限りは賢い方だと思いますし。気になるのは、後ろの取り巻きの皆さんですかね。いや、典型的な取り巻きを従えるご令嬢って、存在するんですね、、、
「マリー様は、こちらの講義を取られているのですね。」いや、他意はないんですが、同じ時間帯に魔法理論や魔法史黎明編、ダンス応用などをやってる中で近代政治学とか、由緒ある侯爵家に必要かなって。それに元々、実家の太いパイプがある方は取らない講義で、まぁ、なんといいますか、不人気な講義ですよ?だって、自身の家柄の力関係、外から解説されるんですから、羞恥心や居た堪れない気持ちにしかならないじゃないですか。なんなら、苛立つ方もいるとか。これはもうマニアックな嗜好があるか、唯の物好きか、形勢逆転を狙う貴族位か、なんて方が取っているくらいの講義なんです。しかも近代ですからね、現代のことはやらないので、ほぼ少し前の歴史を紐解くだけですよ。場合によっては、まだご家族が存命の可能性だってあるんですからね。このためなんの特になるのか、伝統的な高い爵位がある生徒ほど取らない講義です。外から自分の家ってこう見られているんだ、って悶えたくなっちゃいません??え、なにこれどんな羞恥プレイ?状態ですよ?
私みたいに公爵位だけど転生者だから、客観的にちょっと外からの解釈を知りたいから取っているパターンもありますけど、余程ですよね。え、実はマリー様も転生者…??って思いましたが、こちらの方、多分違いますね。何故なら保守派は、転生者であることは自領の発展になると昔からの伝統として信じている方々でもありますから、一族の誉れとして生まれた時から大々的に周知して、大切に囲うそうですからね。そんな方なら予備知識としてお父様たちが教えてくれています。なので、恐らくこの方はマニアックな方と決めつけることにしました。
「ディアナ様、、、何だかこう言うのも申し訳ないですが、今失礼なことをお考えではありませんか??」少しジト目でコチラを窺うマリー様。決してそんなことはないです!!はっ!声にしないと伝わらなかった、、、
「い、いえ、決してそういったことは考えておりませんわ!!」ピクっとマリー様の眉が動くが時すでに遅し!じ、自白をほとんどしてしまった、、、
「い、いえ、この講義をとる方自体が少ないのはご存知の通りと思いますが、私と同じ様な物好きがいらっしゃるのだな、と思いまして…」
ほら、この講義室も1番奥の少人数用の部屋なのに、ちらほらと、10人前後しか座ってませんよ??なんですか、この少なさ具合。他の講義に取られすぎてません??最初からこの時間に当てるからこうなっているのでは?というか、もう開き直って、棚上げしながら【物好き】と断言してしまいました。。。
「私の祖先が歴史的に見るとどの様な解釈をされて現代に繋がる領地運営に導いたのか、学ぶことに可笑しいところがございますか??」うっ!トゲトゲと刺しながら、正論をおっしゃる。この方は真面目で賢い方ですね。そして、後ろの取り巻きーズ、深く頷いてますね。名前、全くわからないです、ごめんなさい。とりあえず、取り巻きAとBと心で仮に呼んでおこう。と思ったら、後ろでルルが、、、「お嬢様、マリー様の右にいる方がアンナ・ベッカー様、左の方がヴィルマ・マイヤー様です。」と、いつものように、教えてくれました。いや、大変いつもの様に助かるし有り難くて、文句を言う立場にもないんですが、マリー様の時にも助けて欲しかったです、、、
「いえいえ、そんなことございません。私も我が家の今日の発展を支えた方々の周りからの評価を確認したく取りましたもの。」と言ったからですかね。マリー様のお顔がだいぶ綻んで、「そうですか、ディアナ様も私と同じ様に、自領の発展を、願っておいでですのね。」と相貌を崩してくれました。
驚いた、この講義、本当に基礎から始めてくれる。それに、王家の周りからの評価、それは市民からの評価まで含んで、きちんと咀嚼された上で解説されている。これは、本当にタメになる講義です。正直、あまり期待したものとは思っていませんでしたが、想像以上で私はただいま大変な満足しております。むふん、と鼻を鳴らしそうです。
カーン…カーン…カーン
鐘の音が鳴りましたね。本日の講義はここで終了ですか。「ディアナ様、今お時間よろしいでしょうか?」講義終わりと同時にマリー様が私のところに来ました。なんですかね??私、この後出てくるリリィちゃんをつかまえて、お昼前にお話、したかったんですけどね。残念、恐らくもう1人で特待生側のテラスに行ってしまったでしょうね。
「はい、大丈夫です。いかが致しました??」
「もしディアナ様がよろしければ、この後お昼をご一緒出来ればとお誘いしたく思いまして。」なんと、お昼のお誘いですか。そうですか、私もリリィちゃんを誘いたいと思ってるくらいですからね。同じ特待生で公爵家ですから、一応、社交辞令に誘ってくれたんですかね。私に他に友だち作れっていう、お兄様たちの助言もありますから、乗っかりますか。。。
「まぁ、本当によろしいんですか?もし、差し支えなければ、私もご一緒させてください。」ちょっと、嫌なら断って、って気持ちを込めてみたけれど、、、「そんなことありませんわ。私たち、ずっとディアナ様とお話したかったので、お誘いにご承諾いただいて大変嬉しいですわ。」華やかな微笑みとともに、綺麗な社交辞令を言うマリー様、やはり、令嬢中の、令嬢。プロですね。
「ディアナ様、折角ですので、カフェの方で食事を致しませんか??」そう誘われて、利用回数を減らそうと画策していたのに、初っ端から出鼻を挫かれた感じはありますが、致し方ないですね。まだまだ知らない方々ですから、否定をするのも難しいです。「えぇ、それで構いません。」そう、返しました。
「ディアナ様、コチラのメニュー、実は我が家のシェフがよく作るものですの。それを、このカフェで再現してもらったんですの。その分、別対応をしていますのよ。」ほほほって。要は、同じ料理作ってもらうのに別料金、払ってるってことですね。あ、違うか、このために、寄付を別で割り増ししたってことですね。すごい、中々の特権階級の所業です。
「そうなんですか、私、最近までこのカフェの利用方法自体もよく存じ上げておりませんでしたの。それに、中等部は初等部と異なって、独自のルールが多くて戸惑っておりますの。」なんて、ちょっとトゲを仕込んで、私はよく知りませんって、言っときます。まあ、そこまでのことは言ってないですけど。案の定、気づかないと言うか、むしろ、貴族として心配なのだろうか、中々の忠告をしてきました。「そうなんですの?そうですわよね、ディアナ様は特待生と言っても公爵令嬢。それに本来は初等部で過ごす方。それなら、致し方ないですわね。」ふむ、と納得する様な仕草をしながら、私にとっての爆弾を放り込みました、、、
「それならば、特待生であるディアナ様に、本来の先輩として、ご忠告をしておきますわね。」え、改まって何を?と首を傾げていると。「本来特待生は、‘平民’から選ばれた、将来的にも王城に仕官する可能性がある優秀な人材ではありますが、やはりそうは言っても、結局は‘平民’です。これは覆りませんわ。ディアナ様が、リリィさんをどれだけ友人と思っていたとしても、2人の間には、どうしようもない、大きな壁があります。そのことを、キチンと理解した上で、友好を結ぶことをお勧めしますわ。それに、特待生は、5人おります。このことも、どれ程の影響になるか、よくお考えくださいな。」そう、マリー様は、私に、忠告を、いえ、爆弾を投げていきました。。。
名前、間違えてました、、、




