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ハリガネベイスボウラーズファイブ!  作者: 椎家 友妻
第七話 決戦!劉庵寺!後半戦
94/100

17 伝念のひと振り

そして碇は俺のサインに頷き、渾身の第一球を、投げた!

外のストレート!

それを伝念は鋭いスイングで叩いたが、球の勢いに押され、

三塁側のバックネットへと打球は飛んでファールとなった。

恐らくストレートに的を絞って手を出したのやろうけど、

この辺りは碇のストレートが勝っているという所か。

これなら下手にかわすより、グイグイストレートで押していく方がええな。

そう判断した俺は、次もストレートを要求し、

碇は第二球目もストレートを投げ込んだ!

 キィン!

 さっきよりも澄んだ打球音が響き、

伝念の打球は真後ろのバックネットへ直撃した。

う~む、まだ碇の球威が押している印象やけど、タイミングは合ってきている。

完全にストレート狙い。

それなら少々のボールゾーンでも手を出して来るんやないか?

そう判断した俺は、伝念の顔の高さ位にミットを構え、ストレートを要求する。

この高さでも、碇のストレートを狙っているのなら手を出すはず。

さあ、三球勝負や!

そして碇は第三球目を投げた!

 ズゴォン!

 ひと際えげつない衝撃音と共に、碇のストレートが俺のミットに突き刺さる。

コースも高さも俺の要求通り。

そして球威は今日一番。

スピードガンで測れば、百五十キロくらい出てるんとちゃうか?

そやけど、しかし、伝念はその球に手を打さへんかった。

 「ボール!」

 球審のおっちゃんがそうコールし、

カウントはワンボールツーストライクとなった。

手が出ぇへんかったんか?

そやけどバットは一瞬反応した。

という事は、コースを見極めて振るのをやめたんか?

そうやとすれば球がよく見えてるっちゅう事やな。

三球ストレートを続けたから、目が慣れてきたのもあるやろう。

なので俺は次にカーブのサインを出し、

ストライクゾーンよりも外寄りにミットを構えた。

 パシン!

「ボォル!」

 伝念はこれも見送り、カウントはツーボールツーストライクに。

この球には一切反応無しやったな。

やっぱり狙いはストレートか?

今のがストライクゾーンに来てたら見逃し三振を取れたかも知れんけど、

その時はバットを出して来たかも知らん。

さて、次でいよいよ仕留めたい所やけど、勝負球はどうするか?

高めのストレート。

は、空振りを取れるかもしれんけど、

当てられると外野まで飛ばされて犠牲フライになるリスクもある。

ここは真ん中低目にフォークを落として、

内野ゴロを打たせるか三振に仕留めたい。

今の高めの一球が目に焼きついたはずやから、

低目の球にはそう簡単に対応でけへんやろう。

さあ、もういっちょ勝負球!

 そして碇は俺のサインに頷き、第五球目を投げた!

 真ん中低目のフォークボール!

が、少し落ちる幅が小さいか?

と、思った次の瞬間。

 カキィン。

 伝念はその球をすくい上げ、打球はセンターに向かって高々と上がった。

浅いセンターフライ。

これなら俊足の三塁ランナーの珍念でも、

タッチアップでホームに帰るのは難しいか?

と思っていると、打球はなかなか落ちて来ないまま、

センターの扇多先輩が少しずつポジションを下げて行く。

落ちて来ない。

まだ落ちて来ない。

扇多先輩はどんどん下がって行く。

背後にフェンスが近づいて来る。

まだ落ちてこんのか?

どこまで伸びるんや?

まさかそのままスタンドインなんて事はないよな?

おいおいマジか?

とか思いながらハラハラしていると、打球はようやく落ちて来て、

扇多先輩がフェンスギリギリまで下がった所でキャッチ。

そして三塁ランナーの珍念は余裕でホームに生還し、

劉庵寺に勝ち越しの一点が入った。

これでスコアは三対四。

いや、しかしここは、ホームランにされへんかった事を喜ぶべきなんか?

セカンドベース後方への浅いセンターフライやと思った打球が、

まさかフェンスギリギリまで飛ばされるとは。

ホンマに、伝念っちゅうバッターは恐ろしい相手やで。

まぁ、それでも取られたのは一点だけ。

それにさっき一塁ランナーの毛観念も、タッチアップで二塁を狙ったけども、

セカンドの小暮がいい場所に中継に入り、扇多先輩からの送球を、

ベースカバーに入ったキャプテンに返したおかげで、

毛観念を一塁ベースに戻す事に成功した。

小暮には、見えない部分でいつも助けられるで。



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