2 女子のギャラリー、増加中
「よぉし!今日の朝練はここまでだ!」
遠川監督の掛け声で、張高野球部の面々は
「アリガトウゴザイマシターッ!」
という掛け声とともに、その場にへたりこむ。
それは無尽蔵のスタミナを誇る碇や、
その碇に勝っても劣らない体力と根性を持ち合わせている小暮にしても同じで、
それほどに遠川監督の特訓はキッツイのや。
それでも誰も怪我をせぇへんのは、
監督がうまい事考えながら鍛えてくれているおかげやろう。
ホンマにこの人が張高野球部の監督になってくれてよかった。
この調子で特訓を続けて行けば、俺達みたいな弱小野球部でも、
甲子園を目指せるような実力を身につける事ができるはずや。
俺は本気でそう信じてる。
俺が確かな手ごたえを感じる中、
今日もグランドのギャラリーに集まった、
碇や小暮や遠川監督目当ての女子生徒どもが、
三人に手を振りながらキャーキャー言っている。
「キャーッ!松山くーん!」
「小暮く(・)ー(・)ん(・)!ステキーっ!」
「遠川監督ーっ!こっち向いてくださいーい!」
ちなみに小暮は下の名前を双菜といい、
見た目や性格や腕っ節は男そのものというか、
それ以上なんやけど、中身は確かに女や。
それは俺が不可抗力な事故(※第二巻参照)
で確認したので間違いないんやけど、それをあの女子生徒達は知らない。
そして碇にしても、
あいつは一見女と見間違うほどに整ったルックスの美少年なのやけど、
中身は完全なホモで、しかも、その愛は俺に向けられている。
それをあの女子生徒達は知らんのやけど、これらの事実を知った時、
彼女達はどんな反応をするのやろう?
というか、ついこの前までは、
ギャラリーの女子生徒は俺達と同じ張高の生徒ばっかりやったのやけど、
最近は他の学校の制服の女子生徒も増えた気がする。
それほどに碇や小暮、更には遠川監督の人気は凄い。
遠川監督は明らかに女性というのは分かるはずやけど、
まああれだけ美人で野球がうまくてカッコよかったら、
同性から見ても憧れるのやろう。
女っちゅうのは異性やろうが同性やろうが、
自分が憧れる存在にはキャーキャー言いたくなる生き物らしいからな。
ちなみに、これらのキャーキャー言う女子生徒どもの中には、
俺に対してキャーキャー言うてくれるヤツは一人も居らん。
この物語の主人公であるにもかかわらず、や。
まあ、決して、その事に対して不満を持っている訳ではないのやけど、
あんまりキャーキャー言われると練習の妨げになるので、
俺は今まで何度か、とても紳士的な態度で、
彼女達に注意をした事があった(第三巻と第四巻を参照)けど、
それに対する彼女達の態度は極めて冷たいモノやった(第三巻と第四巻を参照)。
そやけど今はもう、そんな彼女達の冷たい態度も、
俺に対してキャーキャー言うてくれへんのも、全く気にならへんくなった。
それは何故かと言うと・・・・・・。
「昌也君、お疲れ様♪」