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ハリガネベイスボウラーズファイブ!  作者: 椎家 友妻
第七話 決戦!劉庵寺!後半戦
83/100

6 碇と勝負

そして左の打席に登場したのは、さっきの打席で同点ホームランを放った碇。

碇は気負う様子もなく打席でバットを構えると、

俺の方に向かって

『見ててね昌也君♡僕は君の為にこの打席でもホームランを打つよ♡』

とでも言いたげな熱のこもったウインクをして見せた。

やめんか気持ち悪い。

それにしても、あいつにはプレッシャーとか気負いという概念はないんやろうか?

ピッチングの時もバッティングの時も、常にいい感じに力が抜けていて、

ここ一番の場面でも平常心で実力を発揮する。

俺は逆にこういう場面で打席に立つと、気合が入り過ぎて空回りする事が多い。

もしくは、敬遠ばっかりされるとか・・・・・・。

そういう所は碇を見習いたいのやけど、これがなかなか簡単にはできまへんのや。

 さてそんな中、マウンド上の難出家念がセットポジションに入る。

守り易い形を取ったとはいえ、ワンナウトランナー満塁で、

打席にはさっきホームランを打っている碇。

劉庵寺からすれば、状況的には絶体絶命。

今まで涼しい顔をして投球を続けていた難出家念も、

ここは流石に心臓バクバクの場面やろう。

劉庵寺バッテリーはどう攻めてくるか?

流石にさっき仕留められたカーブは投げにくいやろう。

そうなると、外へのストレートかスライダーか。

そう考えながら碇への第一球に注目していると、

難出家念が投げ込んだボールは意外にもカーブで、

意表を突かれたのか碇もそれを見逃し、

ほぼど真ん中に決まってワンストライクになった。

碇の奴も、さっき自分がホームランにした球種を、

初球のど真ん中に投げ込んでくるとは思わず、手が出んかったのやろう。

こうなると次はどう来るか?

長打を避けるなら、外角低めへのストレート。

ストライク先行やからボールでも良し。

ストライクを取れたらラッキーと言うくらいの厳しいコースを狙う。

碇もその辺りに的を絞るやろうか?

しかし劉庵寺のバッテリーが次に投げ込んだのは、碇の内角へのスライダーやった。

 バシン!

「ストライクッ!」

 これが内角一杯に決まってツーストライクナッシング。

俺と同じく裏をかかれたのか、碇もこの二球には全く手が出ない。

いずれもギャンブルに近いような意表を突いたリード。

それを要求するキャッチャーの阿歩海もさることながら、

そこにキッチリ投げ込む難出家念も、

流石は奈良の超名門のエースを張るだけの事はある。

が、碇はまだ打ち取られた訳やない。

相手もそう甘い球で勝負はして来んやろうから、ボール球を見極めて、

甘い球をしっかり仕留めて欲しい所や。

手柄を持って行かれるのは正直本意ではないけど、

俺が突破口を開いたこのチャンスをしっかり活かせよ碇!



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