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ハリガネベイスボウラーズファイブ!  作者: 椎家 友妻
第一話 浮かれる昌也と、怪しき下積
8/100

1 遠川監督の猛特訓

カキィン!カキィン!カキィン!カキィン!

 燦々(さんさん)と輝く陽の光の下、矢継(やつぎ)(ばや)に金属バットの打球音が響く。

ここは早朝の(はり)(がね)市の市営グランド。

我が張高野球部のホームグランドと言ってもいいこの場所で、

俺達野球部は、今日も甲子園目指して練習に励んでいた。

その打球音を響かせているのは、張高野球部の監督である遠川沙(とおかわさ)()さん。

かつて関西大学野球の超名門、浪速(なにわ)(くに)体育大学野球部に所属し、

卒業して色々あった末に、この野球部の監督になってくれた。

この人は女性でありながら、

その辺の男の野球経験者よりもはるかに野球選手としての実力があり、

身体能力も高く、指導者としての能力も備えている。

おまけに家が『遠川組』というヤ(・)の付く組織で、

遠川監督はその組長の一人娘という事もあってか、

本職の極道、いや、それ以上にキモ(・・)が座っていて、

生粋(きっすい)の大和撫子を思わせる端麗な容姿とは裏腹に、

その目つきは名工に鍛え抜かれた日本刀のように鋭く、

そこから放たれるオーラは、阿修羅のごとき迫力がある。

そんな彼女の指導は生半可なものではなく、

俺達は大袈裟ではなく、日々、命の危険にさらされ・・・・・・

あ、いや、命懸けの特訓に鍛えられていた。

 今、やっている練習は、遠川監督の十八番(オハコ)とも言える『マシンガンノック』で、

ノックを受ける野手に対し、休む間もなく連続で打球を打ちまくるという、

文字通りマシンガンのようなノックなのや。

しかもその打球はノックを受ける野手が追い付けるかどうかの所に的確に、

かつ前後左右に打ち分けてくるので、

ノックを受ける野手は本当に必死こいて打球にくらいついていかなあかん。

そしてそのノックで時間内に根を上げようものなら、

遠川監督のハリセンによるお尻十叩きの刑が待っている。

最初は竹刀で行われとったんやけど、

それでは流石にかわいそうだという遠川監督の思いやり(?)により、

最近ハリセンに変わった。

そやけど、そもそも男顔負けの腕っ節の遠川監督なので、

竹刀だろうがハリセンだろうが、

シバかれたら死ぬほど痛い事に変わりはなかった。

なので俺達は否が応でも必死にその特訓に食らいついて行くしかないんやけど、

元々Mッ気があって、なおかつ遠川監督に密かに

(SMの女王様的な意味合いで)憧れている、

市長の息子の山下(やました)先輩や、

色白で病弱な()古山(こやま)先輩、

センター分けの髪型に命を賭ける(せん)()先輩などは、

遠川監督にハリセンでオケツをシバかれる事に、

少なからぬ快感を感じているみたいやった。

それはまあともかく、このマシンガンノックを始め、

遠川監督の練習メニューは、

どれをとってもシャレにならんほどキツイやつばっかりなので、

俺達張高野球部は、心身ともに鍛えられているのやった。



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