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ハリガネベイスボウラーズファイブ!  作者: 椎家 友妻
第五話 決戦!劉庵寺!前半戦
69/100

3 岩佐先輩の立ち上がり

さて、そんな事を言っているうちに、マウンド上で先発投手の岩佐先輩が、

右の打席に立つ珍念に対し、試合開始の第一球を投げ込んだ。

 スパァン!

「ストラィイークッ!」

 岩佐先輩の手元で微妙に変化するストレートが、

珍念の外寄りのコースに決まった。

岩佐先輩は今回の特訓でストレートのスピードも上がり、

クセのある変化にも更にキレが加わったように感じる。

これを最初の打席で打ち崩すのは意外と難しいで。

そして近藤先輩からボールを返された岩佐先輩は、リズムよく第二球を投げ込んだ。

 パシィン!

「ストライクゥッ!」

 これも外角に決まり、あっという間に追い込んだ。

そして次の第三球目。

 バシィッ!

「ストライークッ!バッターアウトォッ!」

 追い込まれた事もあり、珍念は第三球目に手を出してきたが、

そのバットのわずかに先をかいくぐり、

岩佐先輩の投げたボールが近藤先輩のミットに吸い込まれた!

三球三振!

 「わぁっ!」

「岩佐君ナイスピッチ!」

 岩佐先輩のピッチングに、歓声を上げる伊予美と鹿島さん。

確かに俺もちょっとテンションが上がった。

岩佐先輩がバッターを三球三振に切って取る所なんか初めて見るしな。

しかも相手は今年の春の選抜ベスト八の劉庵寺。

やっぱりそれだけ岩佐先輩も進化してるんやな。

小学生チーム相手に打ち込まれたあの頃(第一巻参照)とはまるで別人や!

しかしまぁ、これ以上言うと岩佐先輩に失礼なので、

次のバッターとの対決を見守る事にしよう。

 次に左打席に立ったのは、二番センター、()()(ねん)

その名前自体がどやねんとツッコミたくなるのは置いといて、

体格は細身で小柄ながらも、その構えからは、

隙のない研ぎ澄まされた雰囲気が漂っている。

二番バッターとはいえ、甘い球を投げれば痛い目に遭いそうや。

そんな中、ボール、ストライク、ボール、と続いた第四球目。

 カキィン!

 外角低めのボールを土矢念が捉えた!

打球は速い球足で三塁線を襲う!

が、その打球にサードの山下先輩が鋭い反応で飛びつき、

倒れ込みながらノーバウンドでキャッチした!

 「アウトォッ!」

 三塁ライナーでツーアウト!

今までの山下先輩なら、あんな鋭い打球には反応する事すらでけへんかったやろう。

それだけ今回の山ごもりで鍛え上げられてるっちゅう事やな。

 そして次に、三番セカンドの(もう)観念(かんねん)が右の打席に入った。

果たして『(もう)かんねん』なのか

『もう観念』なのかどっちやねんとツッコミたくなるけど、

ここは関西なので前者でいきたいところや。

・・・・・・とかいうどうでもええ話は置いといて、

この選手は鹿島さんの情報によると、

三番バッターやけども長打力より俊足が売りのようで、

フォアボールや内安打で塁に出てから、盗塁でかき回すタイプらしい。

次の四番レフトの伝念(でんねん)がこのチーム唯一にして関西屈指の長距離バッターらしいので、

毛観念を塁に出してしまうとたちまちピンチになってしまうやろう。

相手の出鼻をくじく為にも、ここはピシャッと三者凡退に切って取りたい所や。

さて、岩佐近藤バッテリは―どう攻めるか。

注目の第一球は、外角へのストレートが決まってワンストライク。

第二球と第三球目は内角をついていずれもボール。

更に次の第四球目も内角へ投げ込んだが、

これに毛観念が手を出して三塁線へのファールボール。

カウントはツーボールツーストライクの並行カウントとなった。

 今のところ岩左近藤バッテリーは、徹底した内角攻めをしている。

今までの近藤先輩なら、

三球も立て続けに内角攻めをさせるような強気のリードはでけへんかったやろうし、

仮にしたとしても、そのコースに岩佐先輩がキッチリ投げ込む事はでけへんかったやろう。

それだけこの二人がバッテリーとして成長してると言う事やな。

俺と碇も負けてられへん。



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