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ハリガネベイスボウラーズファイブ!  作者: 椎家 友妻
第四話 衝撃の事実と、山ごもりの特訓
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10 特訓の締めくくり

そんなこんなで俺達張高野球部は、自分達でも信じられない程に、

心・技・体、を最大限に鍛えられた。

(技に関しては、野球以外の技がほとんどな気もするけど)

恐らくここまで厳しい特訓は大京山といえどもしてないやろうし、

それをクリアーした俺達は、あいつらとも互角以上に戦えるやろう。

それほどの気迫と自信が、今の張高野球部の面々にはみなぎっていた。

 さて、そんな中迎えた特別強化合宿の最終日。

この一カ月寝泊まりさせてもらった民宿を後にした俺達は、

遠川監督に連れられ、今まで命懸けの特訓をしてきた山奥へと向かっていた。

そして『ドーベルマンダッシュ』を死ぬほどやって来た山道の前で立ち止まった遠川監督は、

俺達に向かって声高らかに言った。

 「皆、これまでの一カ月、一人の死・・・・・・

いや、脱落者も出さずによくここまで頑張った!」

 今、死者って言いそうになった。絶対なった。

が、遠川監督は気にする事なくこう続ける。

 「そして今日はその締めくくりに、ある強豪校と練習試合を行う!」

 その言葉に、山下先輩が手を挙げて尋ねる。

 「ある強豪校って、どこですか?」

 それには遠川監督の右隣に立つ伊予美が答えた。

 「奈良の『(りゅう)(あん)()高校』です」

 「劉庵寺っていったら、この前の春の選抜ベスト8の、奈良の超強豪じゃないか!」

 驚きの声を上げる向井先輩に、

遠川監督の左隣に立つ鹿島さんが頷いてこう返す。

 「そうやで。その時は準々決勝であの大京山と対戦して、

三対二の大接戦を演じ、紙一重の所で敗れた。

劉庵寺高校は、ホームランや外野の頭を越えるような長打を放つ事は少ない一方、

ヒットやフォアボールで出たランナーを、盗塁や送りバント、

スクイズなんかで確実にホームに返す堅実な野球が売りのチーム。

そして守備の方も、エースピッチャーの『難出家(なんでや)(ねん)』を中心に、

固い守備でそうそう簡単に点を取らせてはくれない。

この前対戦した鉄壁高校の超強化版と考えて間違いないよ」

 「そ、そんな強豪とやるんかいな。俺達、ボコボコにされるんとちゃうんか?」

 鹿島さんの言葉を聞いた手古山先輩が顔色を悪くしながらそう言ったが、

(この人はいつも顔色が悪いけど)

そのひょろっとしたなで(・・)肩に図太い腕を回しながら千田先輩が口を挟む。

 「何を言うとるんや!俺らはこの山奥で、

ホンマに冗談抜きで死ぬような特訓をいくつもくぐり抜けてきたやろがい!

例え相手がこの前の春の選抜ベスト8やろうが関係ない!

今の俺達ならどんな強豪でも蹴散らせるはずや!」

 「そうだぜ!地獄の猛特訓をやり遂げた俺達に敵はねぇ!」

 「ガンちゃんの言う通りや!」

 岩佐先輩が両拳を握りしめてそう叫ぶと、隣に立つ近藤先輩もそれに続く。

そして盛り上がる張高野球部の熱気を更に燃え上がらせるように、

キャプテンが声を張り上げた。

 「よっしゃ!この一カ月の地獄の特訓で鍛え上げられた俺らの力、

劉庵寺の奴らに見せつけたるぞ!」

 「おっしゃぁっ!」

 「やったるどぉっ!」

 キャプテンの声に、拳を突き上げて答える張高野球部の面々。

 張高野球部の山ごもりの特訓の最後を締めくくる練習試合が、

今、始まろうとしていた!



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