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ハリガネベイスボウラーズファイブ!  作者: 椎家 友妻
第四話 衝撃の事実と、山ごもりの特訓
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5 甲子園にさえ出場すれば

「なるほど」

 と、言ったのは遠川監督やった。

遠川監督は腕組みをしたまままっすぐ前を見据え、

迷いのない口調でこう続ける。

 「つまり私達張高野球部が甲子園に出場するような実績を残せば、

もしかすると張高の廃校は撤回されるかもしれないと、そういう事ですよね?」

 「へ?ま、まぁ、そんな事になれば、

張高の野球部に入りたいという生徒も増えるだろうし、

世間にも注目されるし、廃校の話は、なくなるかもしれません」

 「よし」

 下積先生の言葉にそう言って頷いた遠川監督は、

俺達野球部員の面々を見渡して言った。

 「皆聞いたか!要は今度の夏の大会で甲子園出場を決めれば、

張高の廃校の話は撤回に持ち込めるかもしれない!

こうなってしまった以上、私達の全ての力を尽くして、甲子園出場を目指そうじゃないか!」

 「そうやな!ここでウジウジ言うててもしゃあない!

今、俺達にできる事は、甲子園目指して全力を尽くす事だけなんや!

やったろうやないか皆!」

 そう言って立ち上がるキャプテン。

が、近藤先輩が不安そうな声を上げる。

 「そうは言うけど俺ら、大阪大会で一回戦すら勝った事もないんやで?

それがいきなり甲子園出場なんて、あまりにも無謀な話やないか?」

 「何を弱気な事を言うとんねん⁉

無謀やろうとなかろうと、それしか張高野球部が生き残る道はないんやぞ!

それならそれがうまく行こうが行くまいが、

全力でその道を突き進むしかないやろうが!

それでアカンかったらその時初めて落ち込めばええんじゃ!

それを何もせんうちから無理やと決めて落ち込んでどないすんねん⁉」

 流石キャプテンはいい事言いはるわ。

しかし近藤先輩が、

 「でもなぁ、俺、自信ないわ・・・・・・」

 と不安そうに言うので、それにカチンときた様子のキャプテンは、

近藤先輩の首を両手で絞め上げながら声を荒げる。

 「絶対の自信を持ってる奴なんかこの世に()らんのじゃい!

そやから皆努力するんやろがい!

何の不安もなく自信満々に生きてる奴より、

自信がなくて不安を感じながらも、

そこから逃げずに乗り越える努力をしてる奴の方がよっぽど偉いわ!

おい!聞いとんのか近藤⁉」

 キャプテンは熱い口調で近藤先輩に問いかけるが、

当の近藤先輩は首を絞め上げられたショックで白目をむいて気絶していた。

なので向井先輩と俺が慌てて止めに入る。

 「おい東倉!近藤はもう気絶してるって!とりあえず手を放せ!」

 「そうですよ!俺達もキャプテンと同じ気持ちですから、

とにかく一旦落ち着いてください!」

 しかしキャプテンは近藤先輩の首から手を放したものの、

興奮冷めやらぬ様子でこう叫ぶ。

 「うるさい!俺の事はキャプテン谷口と呼べ!」

 何でやねんな。アカン、キャプテンは完全に頭に血が上ってしもうとる。

これはしばらく取り押さえとかんと、また暴れ出しそうな勢いや。

と、その時、背後に居た碇が俺に声をかけてきた。



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