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1 連れて来られた先は・・・・・・
あれからリムジンで三十分くらい走った後、
俺達はとある和風の屋敷へ連れて来られた。
そこはまるで老舗の高級旅館を思わせるような立派な建物で、
ちなみに俺は以前、この場所に来た事があった。
ここは遠川監督の実家で、『遠川組』というヤの付く組織のお屋敷なのや。
あの時は遠川監督を張高野球部の監督にスカウトする為、
遠川組長に直談判しにここに来たのやけど、
まさかまたこの場所に来る事になるとは思わんかった。
という事は、あの黒スーツの男達は、遠川組の組員の人達やったんか。
そやけど何でいきなりこんな強引に連れて来られなアカンのや?
まだこの状況が飲み込めない中、屋敷の女中さんに案内されたのは、
以前遠川組長と直談判をした大広間やった。
あの時は部屋の中に遠川監督の御両親である組長と女将さんと、
組員が百人ほどひしめき合っていたけど、今回はそれらの人達は居らず、
その代わりに、俺のよく見知った人達が居た。
それは張高野球部の面々で、
俺達と同じでいきなりここの組員に連れて来られたせいか、
色んな意味でバラバラの格好をしていた。




