5 ゴウソッキュウと、コウソクスライダーの勝負
「昌也君と結婚したのはこの僕だ!昌也君は渡さないよ!」
俺はホンマに頭が痛くなってきた。
アカンわ。
多分こいつらには何を言っても通用せんのやろう。
そう思いながら諦めモードになる俺をよそに、碇と宗太の言い争いは続く。
「ふざけんな!そもそも昌也との付き合いは俺の方がはるかに長いんだぞ?
だから俺の方が昌也の結婚相手に相応しいだろうが!」
「だけど僕は昌也君と一緒に甲子園で優勝したもんね!
昌也君との絆の深さなら、僕の方がはるかに上。
だから昌也君の結婚相手に真に相応しいのはこの僕だ!」
「何ぃ⁉俺だ!」
「僕だよ!」
「俺だって言ってんだろ!」
「僕だって言ってるじゃないか!」
俺を取り合い、ヒートアップする宗太と碇。
嬉しくない。
男同士で俺の取り合いをされても全っ然っ嬉しくない。
するとそんな中碇が、
「よぅし分かった!じゃあこうしよう!」
と言い、こんな事を言い出した。
「今から昌也君と愛の契りを交わし、
より昌也君を深い快楽に導く事が出来た方が、
昌也君と結婚できるという事でどうだい⁉」
おいおい何を言い出すんやこいつは?
それに対して宗太。
「望む所だ!」
いやいや望む所やあらへんがな。
俺を深い快楽に導くってどういう事やねん?
とメチャクチャ不安な気持ちになっていると、碇が物凄く血走った目で言った。
「昌也君の尻の(チャー)穴は、僕の白濁液で完全試合だよ!」
アホかこいつは⁉
俺の尻の穴をキャッチャーミットと表現するな!
そして白濁液を剛速球と読むな!
それに対して宗太。
「馬鹿を言うな!昌也の尻の(チャー)穴は、俺の精液で五回コールド勝ちだ!」
こいつもアホやろ!
どうやったら精液を高速スライダーって読めるねん⁉
おまけにそれで完全試合とかコールド勝ちとか意味が分からん過ぎるわ!
なので俺はこのアホな二人の間に入って声を荒げる。
「どっちも落ち着けやバカタレ!
さっきから何をトチ狂った事を言うとんねん⁉
俺はどっちとも結婚なんかせぇへんし、もちろん愛の契りも交わさへん!
俺が結婚したのは伊予美ちゃんなんやからな!」
しかしそんな事で止まる様子のない碇は、声高らかにこう叫んだ。