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ハリガネベイスボウラーズファイブ!  作者: 椎家 友妻
第二話 宗太の苦悩と、親父の壁
29/100

8 大京山のキャッチャー事情

「それが、そううまくも行きそうにねぇんだよ」

 「何でやねん?お前の性格が悪すぎて、

監督にもチームメイトにも嫌われてるからか?」

 「(ちげ)ぇよ!ウチは完全実力主義だから、

一年だろうが監督に嫌われていようが、実力のある選手ならレギュラーになれる。

だけど、こう言っちゃ何なんだが、今の大京山は、

その、キャッチャーが、弱いんだよ」

 「キャッチャーが?そう言えば、

この前大京山のキャプテンが来た時も、そんな事を言うてたなぁ」

 「そうだ。今の正捕手は捕内(とれない)さんという人なんだが、

この人は、あまり言いたくないんだが、キャッチングが下手で、

肩が弱くて、リードが悪い。

そして何より、テレビゲームのソフトを貸すと、全然返してくれないんだ」

 「確かにゲームソフトの(くだり)もこの前キャプテンが言うてたけども!

それは野球と関係ないやろ⁉」

 「先月捕内さんに、『ロー○ランナー』と『ポー○ピア連続殺人事件』を貸したんだが、

『そのうち返すって』を繰り返すばかりで、全然返してくれねぇんだよ」

 「何でファミコンのソフトを貸しとんねん⁉機種が古いねん!」

 「おかげでチーム内は、

捕内さんにゲームソフトを返してもらえない部員があふれ、

険悪な雰囲気になっている」

 「そんな奴にゲームソフトを貸すなや!

っていうかメチャメチャどうでもええわ!

それより野球の話をせぇや!

そもそもキャッチャーとしてもそんな大した事ない人が、

よくレギュラーやってられるなぁ?

他にまともなキャッチャーは()らんのかえ?」

 「他にキャッチャーは二人居るんだが、

キャッチャーとしての実力はどっちも似たり寄ったりだ。

おまけに一人はいつもキャッチャーマスクと間違えてひょっとこのお面をかぶるし、

もう一人はキャッチャーのプロテクターと間違えて、

金太郎の前掛けを体に着けて試合に出ようとするんだよ」

 「そんな奴ら今すぐ退部させろや!絶対真面目に野球やるつもりないから!」

 「そんな訳で、今の大京山はキャッチャーが弱点なんだ。

だから、例え腹黒くて、顔も悪くて、頭も悪いが、

キャッチャーとしての実力は、

ウチのキャッチャー達よりはほんの少しばかりマシなお前に、

大京山に入ってもらえねぇかと思ったんだよ。

どうだ?今からでも考え直す気はないか?」

 「ないわ!何でスカウトする相手に対して悪口ばっかり並べ立てとんねん⁉

そんな事言われて『それなら行くわ!』って気分良く言うと思うんか⁉」

 「ブラッ○サンダーおごってやるから」

 「いらんわ!一個三十円程度のチョコレート菓子で釣ろうとすんな!

そんなモン自分で買うわ!

というかそもそも大京山には行かんって前から言うとるやろがい!」

 「フン、お前がそう言うから、

今のチームに俺のボールをちゃんと捕れるキャッチャーは居ないんだよ。

おかげで俺は実力の半分も出せねぇまま、一人で黙々と練習するしかねぇんだ。

どんなに凄い魔球を投げようが、

それをちゃんと捕れるキャッチャーが居なきゃ、

ピッチャーは成り立たねぇからな」

 「そ、そうか。強豪チームとはいえ、お前はお前で大変なんやなぁ」



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