2 またまた来た宗太
「おい、昌也」
と、声をかけられたのでそちらに振り向くと、
そこにスラッと背が高く、端正な顔立ちのイケメン
(周りがそう言うだけで、
俺はまっっっっっっっったくこれっっっっっっっっぽっちも思うてないけど)
が立っていた。
俺と伊予美の幼なじみで、
今は大阪屈指の強豪である大京山高校の野球部に所属している、荒藤宗太や。
今日は練習を終えてからそのままここに来たのかして、
大京山のユニフォーム姿のままやった。
そんな宗太に、俺は右手で頭をかきながら言った。
「お前なぁ、最近しょっちゅうここに来てる気がするけど、
ちゃんと練習には出てるんか?
どうせ控えピッチャーのままやからってスネて、
練習をサボッてるんとちゃうか?」
それに対して宗太は、今にも殴りかからんばかりの勢いでこう返す。
「んな訳ねぇだろ!お前ん所のヘッポコ野球部より、
百倍くらいキツい練習を毎日やってるわ!」
その言葉にカチンときた俺も、宗太に頭突きをせんばかりの勢いで言い返す。
「ああん⁉ウチの部も今の監督になってから、
毎日ホンマに死ぬような猛練習をやっとるんじゃ!
ちょっと甲子園で優勝したからってテングになって
調子に乗ってるような名門野球部とは、必死さが違うんじゃい!」
「ああ⁉そういうセリフはウチの練習を見てから言え!」
「お前こそいっぺんウチの練習風景を見学さしたろか⁉
そして遠川監督にハリセンでケツをシバいてもらえ!」
「何でハリセンでケツをシバかれなきゃいけねぇんだよ⁉」
「ウチではそれも練習の一部なんじゃい!」
「そんな事してるから府大会で一回戦も勝てないんだろうが!」
「それは去年までの話や!今年はお前ら大京山もブッ倒して、
俺達張金高校が甲子園に行く!そして伊予美ちゃんに告白をするんや!」
「馬鹿言うな!
甲子園に出て伊予美ちゃんに告白するのはこの俺だ!」
「いいや俺や!」
「俺だ!」
「俺や!」
「うぬぉおおおっ」
「ぐぬぁあああっ」
憎しみに満ちた目つきで睨みあう俺と宗太。




