14 小暮が嫌いな野郎のタイプと、碇が愛する男のタイプ
「こ、小暮、お前はどうやねん?
普段男勝りなお前やけど、好きな男のタイプとかはあるんかいな?」
「あ?俺か?」
小暮は女の子らしさのカケラもない口調でそう言うと、
腕組みをしてしばらく考え込んだ。
そして段々顔が赤らんで来たかと思うと、やけに怖い顔になって口を開いた。
「好きなタイプとかは、ねぇな・・・・・・
けど、嫌いな野郎のタイプなら、あるな」
「き、嫌いなタイプ?それは、どんなヤツや?」
俺が恐る恐る尋ねると、小暮は俺の事をギロリと睨みつけて言った。
「人の気持ちに鈍感で、思いやりがなくて、
言われたくない事をズケズケ言って来て、
しかもその事にまるで気がついてなくて、
おまけにあんな事までしたクセに、
何も罪悪感を感じていないような野郎が、
俺は、俺は、大っっっっっっっっっっっ嫌いなんだよ!」
その言葉を浴びせられた俺は、
まるで機関銃でハチの巣にされたような気分になった。
キラーパスを出したつもりが、
物凄く強烈なカウンターパンチを喰らったみたいになったぞ?
え?これってもしかして、俺の事言うてんの?
俺ってそこまで小暮に嫌われてたん?
しかも小暮の言う『あんな事』って、
あの時のアレやんな(第二巻参照)?
こいつはあの時の事をそんなに怒ってたんか。
まあ、小暮も女の子やもんな。
好きでもない、ましてや嫌いな相手である俺にあんな事をされたら、
怒るのも当然か。
そう思うと、ちょっとばかり申し訳ない気持ちになった。
するとそんな中遠川監督は、それをサラッといなす(・・・)ように碇に話を振った。
「松山は、聞くまでもないか?」
それに対して碇は、元気一杯にこう答えた。
「はい!僕が愛しているのは昌也君ただ一人です!
それ以外はありえません!」
俺はとりあえず、このモヤモヤした気持ちを解消するべく、
碇にジャーマンスープレックスをお見舞いしたのやった。




