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ハリガネベイスボウラーズファイブ!  作者: 椎家 友妻
第一話 浮かれる昌也と、怪しき下積
10/100

3 赤ジャージの天使

と言いながら、俺に真っ白なタオルを差し出してくれる、

赤ジャージを着たお下げ髪の女子生徒が一人。

俺の幼なじみで片想いの相手の、小白井(こしらい)伊予(いよ)()や。

あれは今から六年前の小学四年生の時、

伊予美が言った

『甲子園に出る人って、かっこええなぁ~』

という言葉がキッカケで、俺は野球を始め、甲子園を目指すようになった。

物心ついた頃から想いを寄せている伊予美に、

カッコいいと思ってもらいたい。

そして、伊予美を俺が所属するチームのマネージャーに迎え、

甲子園に出場を果たす事が出来た時に、俺は伊予美に晴れて告白をする。

伊予美は甲子園に出るような男が好きなのやから、

甲子園出場を決めてから告白をすれば、絶対にフラれる事はない!

俺はそう信じ、こうして日々頑張っているんや。

そしてこの前、ついに伊予美をマネージャーに迎える事が出来た。

あとは甲子園目指して一心不乱に練習あるのみや!

よぉし!やるでぇ!

俺が伊予美から受け取ったタオルで顔を拭きながら、

一人で燃え上がっていると、そんな俺に伊予美が、

グランドに舞い降りた妖精のような笑みを浮かべながら言った。

 「朝からすっごい気合入ってたね。

毎朝こんなに激しい練習をしてるなんて、ウチ知らんかった」

 「遠川監督がウチの監督になってから、

練習内容もグッと内容が濃くなったんや。

おかげで俺らは朝も夕方もヘトヘトになるけど、

その分格段にレベルアップができてる。

それに、鹿島(かしま)さんと伊予美ちゃんがマネージャーになってくれたから、

俺は、いや、俺達は百人力やで!」

 俺は鼻息を荒くしながらそう言ったが、

伊予美は肩をすくめながらこう返す。

 「そう、なんかなぁ。

確かに鹿島先輩は元々新聞部で、他の学校のデータとか、

情報分析とかが出来て凄くチームの役に立てるけど、

ウチなんか野球のスコアブックの付け方も分からへんし、

できる事と言えば、ユニフォームやタオルの洗濯とか、

練習の後片付けのお手伝いくらいだけ。

そんなウチが百人力やなんて大袈裟やよ」

 「何を言うてるんや!それだけやってくれれば充分百人力やがな!

伊予美ちゃんのサポートのおかげで、

俺は、いや、俺達は甲子園目指して頑張れるんやで!」

 「そう?そう言ってもらえると、ウチもやりがいがあるなぁ」

 そう言って照れくさそうに笑う伊予美。

うん、その笑顔を間近で見られるだけで、俺にとっては百人力やで。

と、思わず口から出そうになる所を何とか飲みこんでいると、

伊予美は「じゃあ」と言ってこう続けた。



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