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第4話 村の流行り病

前回、短かったのでちょっと長めに……

ご指摘等ありましたら、ぜひ感想にてお聞かせ下さい。

俺は中央都市【ヘルコン】を出て、少し経った時にそのことに気がついた。


あれ?なんか知らない能力が追加されてる


俺が気がついた知らない能力とは《スキル》と言われるものだ。


《スキル》とは、神々が定めた一定以上の水準を超えた生物のみが獲得することができる。

それに善悪は無く、Sランク以上の魔物は7割ほど使用することができる。

スキルは、1つの生物が複数個獲得してる場合もある。


因みに今回俺が手に入れたスキルは《観察眼》


《観察眼》とは、目の前にある物体及び生物に使用可能である。その物体及び生物に、どのような力があるか、どのような状況かなど。様々な情報を得ることができるスキルだ。


俺は試しに目の前にある草に《観察眼》を使用してみた。


名称:ヒール草


用途:傷薬に使用される。薬を作る薬師によって、その効力は左右される。



俺は思わず声が出てしまった。



「すげぇ。これが《観察眼》か」



そして、新しい力に期待を込めて、近くの村に向かった。


■□■□■□■□■□


近くの村[タルク]にて


タルクに入ってしばらく歩いた俺は、違和感を覚えた。


流石に、どれだけ小さい村でも、人が行き交っている物ではないのか?

それに、前来た時はもっと人が居たはずだが……?


そう、俺が覚えた違和感とは、村に入ってから、一度たりとも村人に会っていないということだ。


どうしたものかと困った俺は、1番大きな建物に小走りで向かった。

走って5分ほどして、ヴァースはその建物についた

2階建ての綺麗な建物だが、周りからのゴミやチリ、腐敗臭などで、あまり美しく見えなかった。


親は話を聞くために、その建物のドアを軽くノックした。



「誰かね?こんなときに訪ねて来たのは」



と、ドアの向こう側から、痩せ細った声が聞こえて来た。

声が弱々しいのも気になる。少し中で話を聞きたいな。



「すいません。ドアを開けてもらいたいんですが」


「ならぬっ!!」


「どうしてですか?」



ドアの向こう側から聞こえてくる声に、俺は違和感を覚えていた。

開けてもらいたいのに、拒否されることに。

俺は、何度か声の主と話した。

幾度となく会話をしていると、その老人が何があったか話してくれた。



「最近この村で、感染症が起きたのじゃよ。私はまだ軽い方じゃが、村の人々が徐々に弱っていっておるのじゃ。悪いが、君もここを早く出たほうがええ」


「その感染症に何か効く特効薬は無いのでしょうか?」


「1番早くに村の薬師がかかってしまったので、特効薬は見つかっておらんのじゃよ。なんの病気かわかれば特効薬は作れると思うんだが……」



俺は、村長とのやりとりをしてる間に1つだけ希望を見出していた。

先程手に入れ《観察眼》を、使用すれば、が何という病気かを知ることができるのでは無いかと。

俺は、そのことを村長に伝えて一瞬だけ顔を合わせてもらおうとした。



「君は、《スキル》を持っているんじゃとな。今からドアを開けるから待っていてほしい」



《スキル》を持っていることは、やはり神から実力を認められている為、信用が高いのだ


ドアが開いて村長が出て来た。



「早く、病原菌が中に入らないように急いで入れ」



そう言われて俺は、開けられたドアを素早く通った。


俺が中に入ると、村長さんが少し戸惑っていた。

なるほど、多分俺の年齢が15歳そこらだからだろうな。

しかし、俺に対してしっかりと会話をしてくれてるあたり、《スキル》持ちであることに信用を置いてることがわかった。



「それで、君の持っている、スキルはどのようなものか教えてほしい」



村長のその言葉に、俺は軽く頷いて説明した。



「成る程、生物や物体を詳しく調べることができる《スキル》か。一度私を観察してもらっていいかね?」



俺はその言葉に軽く頷いて、スキル《観察眼》を村長に向けて使用した。



個体名:アルバ


種族:人間。


称号:タルク村の村長


スキル:無し


状態:悪魔族によってばら撒かれた、“エレガー”にかか

   っている



俺は観察を終え、病気についてアルバに伝えた。



「エレガーと言う病原菌にかかっています。どうやら悪魔族が関係してるみたいです」


「ほう。そこまでわかるのだな」



アルバさんは、俺は興味深そうに見ていたが、自分の村の危機を思い出して、俺と話し始めた。



「ふむ。悪魔族の病原菌か。私は薬に詳しくないのだが、隣の家の婆さんは薬師じゃ。婆さんなら特効薬の作り方がわかるかもしれん」


「分かりました」


「じゃが、先程言った通り、薬師である、隣の家の婆さんが1番初めに発症していたから、婆さんはすごい弱っておる。できるだけ急いでくれ」


「ハイッ!了解しました」



俺は村長の家を出て、すぐ横にある怪しげな家にノックをした。



「すいません。村長のアルバンさんから言われて来た、ヴァースと言います。少しお話を聞いてもよろしいでしょうか」


「ゲホッ。何用かね、若いの……ゲホゲホ」


「今回、この村で蔓延している病気についてです」



中から、掠れてる上にすごく弱々しい女性の声が聞こえてきた。

俺が蔓延している病気がわかったと言うと、薬師のお婆さんは、残り少ない体力を振り絞って、俺に問いかけた。



「なんじゃと!なんという病気じゃ」


「エレガーと言う、悪魔族が振り撒いた病気だそうです。薬、作れますかね?」


「ふむ。エレガーか。ゲホッ。生憎薬を作ることはできるのじゃが、その材料がこの村には不足しておる……」


「俺がとって来ましょうか?生息地はわかりますか?」


「おぉ。お主は優しいねぇ。

エレガーの特効薬となるメルチ草は、近くの森の奥に生えておる。しかし、その付近にはトレントが沢山居てとても困難じゃ。

心優しい若者よ、決して無理はするで無いぞ。

ワシらの為にその身を呈することは無いんじゃからな」


「分かりました。お心遣いありがとうございます」



俺はそう言って、薬師のおばあさんの元から離れた。

一度村長の家に戻って、森に行くことを伝えてから、俺はタルク村を出た。




森に付くと、ブラウからもらった剣を手に持ち、全速力で森の中を駆け巡った。


流石に少し足場は悪いけど、余裕で走れる


俺は、故郷の村で生活していた時から、今まで毎日ずっと特訓をしてきていた。

山の中を走ったこともあれば、持っている剣をひたすら振っていたこともある。

イノシシなどの獣を狩ったこともあれば、滝にひたすら打たれるだけの修行もしてきた。


そんな彼にとって、少し足場が悪い程度では、走れなくなる理由にはならないのだ。



数分走り続けると、ヴァースの目の前に動く木が見えた。


あれは、トレント。観察眼を使用して、勝てそうなら戦闘を挑もう。



個体名:無し


種族:トレント


スキル:無し


自分の葉っぱを飛ばして攻撃してきたり、根の部分を伸ばして攻撃してくる。

また、風魔法を使用してくる個体もいる。

衛兵たちの間で定められたランクはC。



ギリギリ倒せるかどうかってところかな


俺は自分と相手の力量差を見極めて、勝てると判断した。

その為、トレントとの間合いを徐々に詰めていき、ブラウから貰った剣をトレントに向かって振り下ろした。

しかし、トレントもCランクの魔物と言われるだけあって、その剣に反応して、根を伸ばしてきた。

トレントの根が俺の剣を止めた。

さらに、トレントは自分の葉っぱを刃物のように鋭くして飛ばしてきた。

俺は一枚だけ受けたが、それ以外は剣で弾き飛ばした。

受けた一枚も少々頬を掠った程度なので、致命傷にはならなかった。

しかし、トレントに攻撃が入らないことに焦りを覚えていた。


チッ。火魔法を使うと、前回みたく記憶が飛んでしまう可能性がある。他にもトレントが来たらもう最悪だ


俺が、何か良い手は無いかと模索していると、その昔魔術学の授業の時に先生が言っていた言葉を思い出した。



「魔力を持っている生物は、必ず無属性魔法を使用できるのです。覚えておいて下さいね。自衛の手段にでも」



そうだ、無属性の魔法はそれ以外の有属性の魔法に比べて、消費するエネルギーが少ないんだ


俺は、トレントと距離を空け、深呼吸をした。



「無属性魔法『身体強化』」



そう唱えた瞬間、俺は体のあらゆる機能が強化されたことを感じた。


改めて、俺はトレントと向き合った。

ブラウからもらった剣を強く握りしめ、再びトレントとの距離を縮めた。

先程と同じ様に距離を詰めてきた俺がに対して、トレントは根をヴァースに向かって伸ばした。

しかし、トレントが伸ばした根は、俺が振り下ろした剣に、一瞬で切断された。

根を切り落とされた俺は、不味いと思い思ったのか葉っぱを飛ばしたが、俺がはそれら全てを弾き飛ばした。

そして、俺はそのまま一直線にトレントに向かい、トレントの前で大きく剣を横に振った。

俺が繰り出された技は、トレントの体を、真っ二つに切り落とした。


俺がは安堵の表情を浮かべながら、森の中を進んでいった。

進んでいる途中、ゴブリンやスライムといった低ランクのモンスターと出会ったが、それらの魔物を一掃して行った。


俺が一定の時間森の中を進んでいると、徐々に森の中の植物が見たことないものに変わっていった。

俺は、薬師のおばあさんから教えてもらっていた、形質に当てはまるものを探して、観察した。


名称:メルチ草


効果:エレガーに対する能力を持っている。

   メルチ草は薬師が調合すれば、その薬師の上手下手関係無く、平等の効果が与えられる。



……やった。見つけたぞ。早く村に持って帰らないと


俺は付近にあるメルチ草をできるだけ多く回収して、シエラから貰った袋の中につめた。


俺が帰ろうとしていると、周りの空気がガラッと変わった。

トレントが10匹ほど俺の前に現れたのだ。


……1匹でも厄介なのに、10匹なんて……逃げようにもあの数から逃れられる気がしない


俺は正々堂々戦う道を選ぼうとしたが、ふとあることを思いついた。


……一定の距離を逃げて、ついてきた1.2匹を倒せば、10匹倒し切れるのじゃないか


俺は自分が考えたことを即座に実行に移した。

全力で森の中を走り回り、トレントを引き離し続けた。

しかし、2匹ほどずっと付いてくるトレントが居たので、俺は即座に振り返り、そのトレント達と対峙した。


……大丈夫、無属性の魔法を使えば……さっきだって軽く1匹倒せたんだから


俺は先程と違って自分が今から使う部位だけを強化した。

間合いを詰める時は、『速度上昇』。

攻撃する時は、『腕力強化』『斬撃強化』。

攻撃を受ける時は、『守備強化』。

『身体強化』と違って、全部を一度で強化できないが、強化する時間と強化の幅は『身体強化』よりも、大きかった。


俺はそれらの強化系を使用しつつ、ボロボロになりながらも、初め10匹いたトレントを9匹まで倒してみせた。


しかし、最後の1匹は強化した手で攻撃してもダメージが少なかったし、守備能力を強化したのに、今まで以上に重いダメージが入った。


……何かおかしい。俺が弱体化したってことよりは、アイツが特殊個体なのか?


そう思い、俺は《観察眼》を使用した


個体名:トーラ


種族名:トレント


スキル:無し


魔法:風魔法の使用が可能


衛兵が定めた基準では、Bランクに達することもある魔物。



……名前有りか。だから他の個体よりも強いんだ


名前有り(ネームド)とは、その個体よりも強い生物から、その個体が名前をつけられていること。また、その魔物のことを指す。一般的な魔物よりも強く、衛兵基準のランクが上がっていることもある。


俺は考えたが、無属性の魔法を使用して、打撃をし続けても、勝てないと思った。



……仕方が無い、火魔法を使用するか。一応保険として、無属性魔法で強化しよう


ヴァースは自分が倒れることを加味して、最大限保険をかけた



「無属性魔法『魔力量増加』『火魔法強化』」



ヴァースはそう唱えてから、次に打ち出す火魔法の準備をしていた。



「中級火属性魔法『ファイアーランス』」



ヴァースが唱えた、ファイアーランスは一般的に使用されてるファイアーランスとは大きさも威力も異なるものだった。

繰り出されたファイアーランスは、トレントの体に大きな穴を空けて周囲を焼いた。

焦げた臭いがあたり一帯に漂っていた。


……今回は、なんとか意識を保ててる。早く村に帰らないと


ヴァースはそう思いながら、フラフラとした足を村に運んだ。




俺は村についてすぐ、薬師のおばあさんのところに向かった。

ドアをノックすると、お婆さんがヨロヨロと外に出てきた。



「無事に戻りました。お婆さん。これ、メルチ草です」


「あんた、無事じゃ無いでしょ。体中から血が出てる。無茶しよった。家の中の傷薬を適当に漁って行きなさい。メルチ草感謝するよ」



俺はお婆さんの家の中に入り、傷薬をもらった。

傷薬をつけた直後、酷い頭痛に襲われたため、俺はその場に倒れ込んだ。



「ったく。無茶するんだから最近の若者は……ボロボロの姿で帰ってこられた時は、それにびっくりして私の心臓が止まるところだったじゃないか。

ヒェッヒェッヒェ」



おばあさんはちゃっかりと、俺が持って来た、メルチ草を調合して、元気な姿に戻っていった。

俺はその姿を見て、安心して眠りについた。



「さて、村のみんなにも配布してやるかね。ついでにこの子のことも話してあげないと」



そうして、俺の頑張りにより、タルク村には活気が戻って来たのであった。



「うっ。ここは」


「おはよう、心優しき少年よ」


「薬師のお婆さん。病気は大丈夫なんですか?」


「心配するで無いぞ、少年。私含めて、村の住人全員にメルチ草を含んだメルチ水を配布しきったさ」


「それはよかったです」


「今日は一日この村に残っていくのがええ。村のみんなも感謝を伝えたかったみたいじゃぞ」



俺はそう言われて、別に良いのにと、微笑んだ。



「少年。取り敢えず村を歩いてみるとええ」


「わかりました」



その後、お婆さんと幾度か言葉を交わしてお婆さんの家を出た。



俺が、村を歩いて数分すると、ところどころから、お礼の言葉が飛び交った。



「君が今回薬を取って来てくれたんだよね。有難う」


「もし良ければ店に来てみない?」



など、俺に投げかける言葉は暖かいものばかりだった。

俺は沢山の人からかけられる言葉に嬉しく思ったが、勧誘目的の言葉も多かった為、煩わしくも思った。



「ヴァース君は少し私と話があるので、みんなまた今度礼の言葉は投げかけてくれ」



村長は、俺が少し苛立ってるように見えたのか、一度自分の家に招こうとした。



俺は村長と一緒に、村長の家に向かった。



「ありがとうございます。村長。さっきは助かりました」



呆れたような声で、村長に謝礼の言葉を述べた。



「いやいや。こちらこそ本当に助かってると思ってるよ。君が居てくれたおかげでこの村が助けられた」



村長は俺に深く頭を下げて、礼の言葉を述べた。


それから俺と村長は、他愛もない話をしながら、時間を過ごした。



「今日は私の家で一夜を明かすと良い。出発は明日の朝早くにすればええ」


「ありがとうございます」



村長は、村を助けてくれた恩人に最大限のもてなしをしたいと言って、俺を一晩過ごさせた。


翌朝、村の住人が起きる前に、俺は村を出た。



「助かったぞヴァース君。何かあったらまた頼って欲しい」


「感謝するぞ。少年よ。何か薬が欲しいときは私を頼ればええ」


「お二人ともありがとうございました。何かあれば遠慮なく頼らせてもらいます」



そう言って、俺は村の中枢を担っているだろう2人と挨拶を交わして、タルク村を出た。




お読みくださり有り難うございました。

正直、途中から自分の言葉遣いがあやふやになってることがあって困っております(笑)

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