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第3話 旅立ち

今回は戦闘シーンもあんまり無く感動シーン多めです。だからいつもより短いかも……


校長先生から学園卒業を告げられた次の日。

俺はブラウとシエラを探しに学園に来ていた。

そして、卒業することを伝えるために……



「と、いうわけで無事試験は終了して、晴れてこの学園を卒業したんだ。応援してくれてありがとうな2人とも」


「卒業おめでと。ヴァース。この2年間半長いようで短かったな。俺らも後半年すれば卒業だ。お前の後を追って頑張るぜ。明日もう一回この学園を訪れてくれ。その時に渡したいものがある」


「卒業おめでとうございますわ。ヴァース。貴方に負けっぱなしなのは腹が立ちますが、ずっと私よりも上の順位にいてくれたことで目標とできましたわ。この2年間半ありがとうございましたわ。私からもブラウと同じで明日もう一度学園に来てもらいたいですわ」


「2人とも今まで楽しい日々をありがとう。明日もこの学園に来て、先生達やみんなに挨拶をする予定だよ」



そう言って、俺は最愛の友2人と別れた。

俺にとって大事な2人だ。

いつも笑わしてくれて、一緒に喋り尽くしたブラウ。

いつも俺と競ってくれて、俺を高めてくれたシエラ。

2人に別れを告げるのはとても辛いが、やらないといけないことがあると割り切り俺は、街の中に消えていった。


その後俺は、旅立つために必要な、薬類や食料を買いに街に出掛けた。



「必要なものはとりあえずこれくらいかな」



俺はそう言って、自分の寮に戻った。


■□■□■□■□■□

翌日


再び、学園にて



「失礼します。校長先生」


「何かようかね?ヴァース君」


「もうそろそろ旅立つので、お世話になった先生方に挨拶をと思いまして」


「そういうことかね。君は本当に優秀な生徒だったよ。今まで、たくさんの苦悩があったと思うが、よくそれらに耐え切ってここまで頑張ったものだと先生は思う。だからこそ、前交わした約束は絶対に違えないでほしい」


「今まで、本当にありがとうございましたッ」



俺はその瞳に涙を溜め込みながら校長室を後にした。

やっぱり、この先生は毎回刺さる言葉を言ってくるけど、生徒思いで、贔屓がないいい先生だ。




その後俺は、今まで担当してもらった先生方全員に挨拶に向かった。

普段授業で教えてもらっている先生からテストの時に全体的に移動や説明をしてくれていた先生や、土 水 風の魔術担当の先生。

各々の先生から帰ってくる言葉は、全て暖かかった。



「そういや、火の魔術担当の先生はどこにいるんですか?」


「彼は、あの時校長先生が呼んだ臨時の先生だよ。俺達先生も深くは知らない人だけど、あの校長先生のお墨付きの先生だから、特別に試験の際に参加してもらっていたんだ」


「そうだったんですか」


フレンドリーだったし、アドバイスもしてくれたから、挨拶をしたかった相手だった。

ヴァースはそう思ったが、居ないならしょうがないと思い、教員室を後にした




最後は教室だな。

ブラウやシエラ、みんなとも別れを告げる時だ。


俺は2年間半ともに学んできた仲間達に別れを伝えることを悲しく思いながら、それでもと決心して、教室へと向かった。


俺が教室に入ると、その教室は普段勉強してる時の面影はなく、色とりどりに飾り付けられていた。



「あっ、ヴァース」



ブラウが俺を見つけて近づいてきた。

そして、その声を聞いてクラスメート達も俺のもとに近づいてきた。



「ヴァース。卒業おめでとう。なんでもっと早く教えてくれなかったんだよ」


「私たちだってプレゼント用意したかったのに」



俺は状況を理解する事ができなかったが、徐々にクラスメートの発言で理解した。


先生が俺の卒業を伝えたんだ。

そして、みんな残って飾り付けしてくれていたんだ。


俺は涙が溢れそうなのを堪えてクラスのみんなを見渡した。

今まで1番いい日になりそうだ。

俺が泣きそうになりながら感謝の言葉を述べる。



「みんな。ありが」


「まだその言葉は早いぜ?ヴァース」



しかし、俺のありがとうと言う言葉はブラウによって遮られた。

そして、ブラウとシエラが箱を持ってきて、俺に手渡した。



「ヴァース、これは俺からだな。お前が今まで使ってたのは確か、小さかっただろ?これ、新しい剣だ。使ってくれ」



ブラウが俺に渡したのは、先が鋭く光っている銀の剣だった。



「ヴァース、次は私からよ。あなたが今まで私にくれた分、ラルク家として返させてもらうわ。

私の家で、最も冒険者向きで、その中でも価値が高いものを選ばしてもらったわ。

この袋は、時空間に干渉してる袋で、中に10tまでのものが入るのよ。そして、この中では時間が止まってるのよ。冒険に使ってちょうだい」



シエラがくれたのは、重い荷物を入れておける袋だった。すべてその袋の中に入っても、重さはその袋の分だけしかないと言うラルク家の超高額な商品だった。



「2人ともプレゼントありがとう。そして、みんな、教室を飾り付けて、祝ってくれてありがとう」



俺は堪えていた涙を溢れ出させ、めいいっぱいの感謝をクラスメートに送った。

俺はこのような優しい人たちに包まれていて、自分は幸せなんだと改めて感じた。



俺は、2年間半世話になった、校舎にも礼をして、学園を去って行った。




その次の日、中央都市【ヘルコン】を出発した。

ブラウとシエラから貰ったプレゼントと、仲間達のこれ以上ないと言う声援や思いを胸に託して。




■□■□■□■□■□



校長先生は今日も虚空に喋りかけていた。



「彼は今日出発しましたよ」


「了解した。校長先生」


「彼は、大丈夫なんですか?」


「それは俺たちにはわからんよ。道を決めるのは彼自身だからな」


「私は、あなた方を信用しています。それ以上に、生徒達を愛しています。もし、あの子に何かあれば、私はあなた方を許しませんよ」


「わかってるよ。エドワード。何かある前に俺らが必ず助けに入るからお前は安心して、校長先生をしてろ」


「そうですか。わかりました。それではまた連絡致します」


「あぁ」



そして今日も虚空から返ってくる声と、話し合っていたのであった。

話している内容が、ヴァースのことであると言うことを、彼はまだ知らない。

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