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第1話 総合テスト

ご指摘等ありましたら、是非感想にてお聞かせください。

「ッ、またこの夢か。俺の目標のための大事な夢だが、こう毎日続くと流石に疲れるな」



俺はそう言って、今年で3年通う学園に向かう準備をしていた。



「今日は、確か総合テストがあったな」



総合テストは、2学年までなら、体力 武術 知力のテスト。3学年は、武術のテストの中に体力テストが入り、魔力テストが追加される。それを各テストごとに自分の実力を把握する日だ。

俺は、今までずっと一位を取ってきたが、今回はどうなることやら……


■□■□■□■□■□


学校に入って教室にて



「おはようヴァース」



友人のブラウが近づいてきた。

ブラウとは腐れ縁で、学園に入った頃からずっと仲良くしてもらっている。



「おはよう、ブラウ」


「今回のテストも1位とるのか?」


「どうだろうな。狙いはするけど、先生方がどこに観点を置いてるのかと言うのと、魔術テストが難題だな」


「そうは言うけど、前回のテストで、2位のシエラとだいぶ差がついていただろ」



シエラは大商人の娘で、毎回俺と競い合ってる女の子だ。本名をシルフィード・エル・ラルクといい、長いから皆からは頭文字をとってシエラと呼ばれている。

気の強い女の子だが、陰で努力をしていることを素直に俺は称賛している。



「今回こそ、私が1位を取らせてもらいますわ。なんたって今回は魔術のテストもありますし、勝たせてもらいますわよ、ヴァース」


「うわっ、シエラ」


「シエラ、お手柔らかに頼むよ。魔術テストは俺も結構気になってるんだ」



俺とブラウ、シエラがテストについて話し合っていると、教室のドアが勢いよく開けられた。



「お前ら、席につけ、今から武力テストを行うために第一グランドに移動する。武力テストは、トーナメント形式で行う。

武力テストでは、相手の体に剣を当てるか、相手に降参をさせたら勝ちだ。

禁止事項は、首などの急所への攻撃や、剣以外の道具を使用することだ。

これらのルールは絶対に破るなよ。もうそろそろテストが始まるから今から準備しておけ」



先生がそう言うと、クラスメート達は、ぞろぞろと第一グランドに向かって行った。

俺も試験に向けて、しっかり準備しないとな。



第一グランドにて


俺とシエラはトーナメント決勝まで残った。



「やっぱり決勝はヴァースとシエラだよな。2人とも頑張れ」



ブラウはそう呟いて2人が戦う舞台を見ていた。



「今回こそ勝たせてもらいますわ。ヴァース」


「シエラ、残念だけど今回も勝たせてもらう」


「双方準備はいいな。それでは試合開始」



担当の先生のその言葉の後、シエラが間合いを詰めて来ていた。



「チッ」



突き出された剣を俺は、いなした。そして、一瞬でシエラの後ろに回り込んで剣を振り下ろした。

しかし、その剣はシエラによって防がれていた。


その後、何分経っただろうか、長いような短いような時間を、俺とシエラは攻防を繰り返していた。



「シエラ、次は全力で行かせてもらう。しっかり防げよ」


「望むところですわ」



俺は一瞬でシエラの後ろに回り込んで、剣を振る動作をした後、その動作をやめずに、こちらを見たシエラの後ろに回り込んだ。が振った剣はシエラの背中に当たった。



「そこまで。勝者ヴァース!」



先生のその言葉が聞こえるや否や、周りにいた生徒達の歓声に第一グランドは包まれた。



「2人ともすげぇよ。お疲れ様」



そう言ってブラウが俺とシエラのところに来た。



「やはり強いですわね。ヴァース。武術では負けましたけど、他2種目で勝たせてもらいますわ。」


「お疲れ様シエラ。俺も負けないように頑張らせてもらうよ」



「お前ら次は、知力テストだ、教室まで戻れ」



先生にそう言われて、歓声が徐々に消えて、生徒達は教室に戻って行った。




教室にて


「今から知力テストを始める。160分で行うぞ。科目は国語 魔法学 社会 数学だ。前回同様各100点満点だ。

不正行為をした生徒は、各テスト30点ずつ引かせてもらう。それでは開始だ」


先生がそう言った瞬間、周りから問題を解く音が聞こえてくる。

俺も負けないようにしないとな。

俺は自分のペンを持って、解ける問題から素早く解き、解き直しにも時間を割いた。





「テスト終了だ。ペンを置いて、後ろから回答用紙を回してこい」



先生のその言葉で周りの生徒は問題を解く音を止めてペンを置いた。



「枚数を確認してる間は、黙って座っていろよ。確認次第魔術テストについて軽く説明する」



先生が紙を捲る音がして、すぐに止んだ。



「枚数は確認した。今から魔術テストについて説明する。魔術テストは第2グランドで行う。

今回確認する魔法は、主要4属性だ。

無属性魔法は入らないぞ。

威力、命中力の2つの観点を主に見させてもらう。

AからDまでエリアがあり、それぞれをローテーションする感じだ。

Aエリアは風。

Bエリアは火。

Cエリアは土。

Dエリアは水の試験を行う。

それでは今から15分後に集合を完了するぞ。解散」


魔法には、無属性魔法と有属性魔法があり、今回確認する、風 火 土 水 は、主要4属性と呼ばれる。

他にも、氷や雷、闇、光などの特殊属性と呼ばれる魔法もある。


(やった、今から魔術テストだ。楽しみで顔が緩んでしまう。)


そうしていると、ブラウが当たり前のように俺のところに来た。



「知力テスト解けたか?俺ダメな気がしてヤバいわ。

次の魔術テストも怖いんだけど。これで得意魔法が無いとかなったら泣く自信あるぜ」


「知力テストは多分できたと思う。俺は魔術テスト楽しみだよ。」


「だろうな。顔が語ってるわ」


「じゃあ移動しようか」


「OK」





第2グランドにて


「次、ヴァース。Cエリアからスタートだ。行ってこい」


「呼ばれてるぜ。行ってこい。楽しみにして待ってるわ」


「おう。頑張ってくるぜ」




「今から土の魔方テストを始める。一応改めて説明するが、先生達が作った、あの的に目掛けて打つことが基本で、どれだけ真ん中に当てれるか。どれだけ強い威力かを確認するのがテストだ。それでは準備ができたらやってくれ」


「はい。わかりました」


「ったく、なんで急に魔術テストなんて始めたんだ」


先生がボソッと言った言葉が俺には聞こえてしまった。


このテストは先生達も予測していなかったテストだったのか。


ヴァースはそのことを気に留めず、テストの準備をしに向かった。



「お前の土魔法は、威力があんまりだった。しかし、コントロールだけはほぼ満点だ。次は水魔法だったな。

行っていいぞ。頑張ってこい」



同様に水魔法、風魔法とテストをしたが、どちらも土魔法と同じようなものだった。最後に火魔法のテストとなった。


「よろしくお願いします」


「よろしくね。じゃあ、火魔法を俺が作った的にぶつけてくれ。」



そう言われて打ち出した火魔法は、今までよりも格段に強いものが出来上がった。

自分が習ったところに確実に飛んでいたし、そこそこ大きな魔法が使えた気がした。



「テスト結果は、威力、魔力量、コントロール全部満点。火魔法については、このまま精進すれば良いんじゃ無いかな」


「ありがとうございました」


「だけど、この火の力を悪用しないようにね。君はあんまりそういう生徒には見えないけどね」


「分かりました。俺も火には嫌な思い出があるので、そのようなことが起きないようにします」



俺がドアを開けて外に出ようとした瞬間。火属性担当の先生が何かボソッと呟いたように見えたが、何を言ったのか俺には聞き取れなかった。


「これは報告しないと。この俺が力を込めなかったとはいえ作った的を破壊できる子がいるとはな」


火魔法。俺が忌々しいと思っていたそれが、俺の1番得意な魔法になるなんて、これと向き合うのが大変だな。テストは結果がわかるまで、向き合わないとダメだな。


■□■□■□■□■□


数日後


「お前ら。席につけ。今回のテストの結果を返す。先に1位発表だ。学年1位はヴァース。

武術100点、知力380点、魔術70点の550点だ。

おめでとう。

他の生徒はヴァースを超えることを目標に頑張ってくれ」



先生のその言葉の後、クラス中が歓声に包まれた。



「また負けてしまいましたわ。ヴァース。次に何か競い合うことがあれば、今度こそ私が勝ちますわ」


「シエラ、何かあったらまた互いに頑張ろうな」



和気藹々と喋っていると、先生に呼ばれた。



「ヴァース。今から校長室に向かってくれ。校長先生から少し話したいことがあるそうだ」


「わかりました」



■□■□■□■□■□

校長室にて


「失礼します」


「よく来たねヴァース君。まずは3連続トップおめでと

う」


「ありがとうございます」


「それで、君に提案が1つあるんだよ」


「なんでしょう?」


「実は、3連続トップを取った生徒のみ、3日後に行われる試験に参加できるのだよ」


「なんの試験でしょうか?」


「他の人よりも早く卒業できる試験でね。

冒険者の人もついているのだが、基本的に君の実力を見て、衛兵の人がOKを出した場合。

数ヶ月他の生徒よりも早く卒業できるのだよ。どうだい。やるかな?」


「ハイ!やらせてください」



(街を炎の海にしたアイツを殺すためにも、早く卒業して力をつけないと……)



「そうだ、君がなぜそんなに焦っているのかはわからないが、自分の身を投げ捨てるような事しないでくれたまえ。

君が死ぬと私だけでなく、周りの生徒達が大勢悲しんでしまう。

さらに、私が君を見る目が無かったみたいでとても嫌だからね。

だから絶対死なないことを約束して欲しいんだよ」


「わかりました」



校長先生にそう言ったものの、アイツに会ったら、俺は理性をなくして、アイツに飛びかかってしまう……

どんな奴にも負けないためにも、もっと力をつけないと。俺はそう決心した



「では、3日後、衛兵の人たちとこの都市の北門で落ち合ってくれ。時刻は9時だ。遅れないようにしてくれたまえ」


「わかりました」



俺は、校長先生に礼を告げ、校長室を後にした。

その後、ブラウとシエラに卒業試験のことを話した。



「と、いうわけでもう少ししたら俺は2人より少し早く卒業することなる」


「そりゃ、ねーだろ。もうちょっと遊びたかったのに。まぁまだ、3日後の試験受かるもわからないからな。すげぇ複雑な気持ち。頑張れよ」


「ヴァース。私もブラウと同じで複雑な心境ですが、応援してるわ。頑張って下さいまし」


「ありがとう2人とも」



その後他愛もない会話を2人と交わして、俺は最後になるかもしれない学校生活を楽しんだ。




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