お祭り1
疲れた
本当に妹の命令は無理やり過ぎる。
内容もそうだが、タイミングも。
どうも妹は、俺に対する道理というものを知らないらしい。
今日だってそうである。
夏祭りについてこい、そして荷物持ちをしろとのことであった。
タイミングも悪かった。夢のさなか、まさしく物語の“展開”といえるところで、急に叩き起こされたのだった。
そして今、俺は片手に、いつか俺が世話をすることになる金魚と、一日で遊び終わるであろう水風船、そしてもう片方の手には、アニメのキャラクターの柄の入った袋につめてある、綿菓子を持っていた。
その本人はというと、片手にみたらし、もう片方の手は、友達の右手とつながっていた。
さっきからふたりでまわっているが、
「そろそろ少しくらい荷物持てよ。」
すると妹が、「ダメよ、これからまだ射的とか当てもん屋いくのよ。あんたここで荷物もたなかったら、来た意味ないじゃない。」
兄貴という存在を、こいつに叩き込みたい。すると隣にいた美少女が、
「すいません荷物ばかり持たせちゃって。少し持ちます!」
あなたはいいんですよ、どうぞごゆっくり。問題は隣のくそ女ですから、
「だいじょうぶよ、こいつなんか100、200キロ持っててもつぶれないわ。」
こいつ、おれを重量上げ選手と勘違いしているのではないだろうか。てか、きたからには俺も何かしたいんだが。
「おい、おれにも何かさせてくれないか。」
「なにしたいのよ。」
荷物をもってもらっている人に言う口調ではない。
周囲を見渡すと、たい焼き、カステラ、甘栗、チョコバナナ、、、、
って、このエリアアクティビティな屋台ねえのかよ。