鬼ぼんじゅーる編7
春門は今夜は実家に泊まって翌朝大学があるので早くに帰るらしい。
今日は午後の大学の授業を休んで来たようだ。
なので春門とりっちゃんと一緒にぽつりぽつりと雑談をしながらくつろいでいると慌てた様子で雪門が帰ってきた。
部屋の戸を開けた雪門はいつもはりっちゃんよりも落ち着いているふわふわの髪が走ってきたためか乱れている。
「春門兄さん!?」
「雪門おかえり。学校で勉強してきたのか?」
「うん。春門兄さんおかえりなさい。急だったから驚いたよ。帰って来ていたんだね」
「ああ、私も急に予定を組んだから連絡を入れずにすまない。雪門も座りなさい」
そう春門は言うと雪門は嬉しそうにちょうど空いている場所に座った。
どうやら雪門はだいぶ春門のことが好きらしい。……いや、そっちの方が普通なのかな。
りっちゃんは少し春門に対してぎこちないから二人の差に少し首を傾げる。
僕も帰ってきた雪門に挨拶をした。
「雪門お兄さんおかえりなさい」
「うん、ただいま。モフフくんははじめて兄と会ったんだよね」
「うん」
僕はりっちゃんの横から座った雪門の横に行き、雪門へすり寄りながらこっそりと距離の近づいた春門の様子を窺う。
そんな僕を春門はただ普通に何を考えているのか分からない黒の瞳で見つめた。
「緊張しなくても兄さんは見た目ほど怖い人ではないから大丈夫だよ」
僕が普段よりも大人しいのを見て察してくれたのだろう雪門は何の邪気もない笑顔でそう言った。
いや、はい。怖い人っていうか厳しい人じゃないかなとは思ったけど。
だからいつもより大人しくしていたけど。本人目の前にしてそう言われると僕はどうしていいか困る。
恐る恐る春門を見ると雪門の言葉につっこむ事もなくやっぱり何も言わずに僕を視ている。
うん。雪門にそう言われて何も行動を起こさないなんて男が廃るよね。僕は雌だけど。
僕は恐る恐る春門に近寄る。
春門は鋭い視線で静かにこちらを視る。
僕は春門のすぐ横にお座りする。
春門は静かに僕を見下ろす。
「ゆ、雪門お兄さん……」
僕は無言の圧力に耐えられなくなり耳と尻尾を下げ雪門に振り向き助けを請うた。
すると雪門は口元を押さえて震えていた。
……あっ、これ笑われてる。
僕はちゃぶ台の下をくぐり抜け、りっちゃんの元まで行きりっちゃんに飛びついた。
「はあ?!お前、なんでこっちに来る」
「良いから僕を撫で撫でして労って。今僕とてもりっちゃんに甘やかされたい気分」
「どんな気分だ。ちょっ服をよじ登るな!」
なんかすごく負けた気分がして、僕は誤魔化すようにりっちゃんに無理やりじゃれついた。
りっちゃんは必死に僕を引きはずそうとするけど、気にせず攻めかかる。
そんな僕らを見て春門が訝しがりながら「普段からこうなのか?」と聞くのに雪門は笑顔で「こんな感じ、かな?」と答えていた。




