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私的な思い
その日の晩、私は自室で横になりながら古い教科書を眺めていた。たしかに、すごくいいものだ。わかりやすいだけじゃなく、あの時こうすればよかったのかと確認できる。
その中でも特に目を引いたのは気術の部分だった。発動方法だけ練習すれば、だれでも使える夢のような異能だった。
最強世代は、全員がこれを使いこなし今の地位までのし上がったらしい。少しだけではあるが九か月後にある年度末の大会で上位に食い込めるかもしれないという希望が見えた。
正直、大会に出たところで何も変わらないのではという思いは確かにあった。
心のどこかで無理だという思いがぬぐえなかった。素質があるといわれ続けてそれでも龍と契約できなかった私に何ができるのかわからなくなっていた。
でも今は違う。手段があるし道筋が見える。そうだ、明日お母さんに相談しておこう。
私が契約できないと知ったとたんに交際を絶ったあの二人にそしてあのアカハラ教師にも一泡吹かせてやる。
これは、とても私的で小さな復讐だ。