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私と彼氏のほのぼの事件簿  作者: 優樺
春の章
5/6

事件簿ファイル3:お嬢様、彼氏を追って

今日も良い天気。小鳥たちのさえずりが楽しげで、零花の心をくすぐりました。


「お嬢様、病院のほうからお電話が……」


心に逆らうなんて、やはり無理があったみたいで、わたしはお手伝いさんから電話を受け取りました。


「………わかりました。」


えっ…陽榊(ようき)が消えた?

今朝、ナースが部屋に行くと失踪していたと聞かされて……。


(……捜しに行こう。)


*


「……お腹が空いたわ。」


朝食抜きで家を飛び出して来てしまった。空腹が極限まで達すると、自分がお腹が空いているのかわからなくなるものらしいのです。零は22歳になって初めて『空腹』というものを経験しました。


「……食べてくれば良かった。」


(お金を初めて見たのは、 陽榊(ようき)と付き合い始めた頃、17歳だったわ。)


それまで、クレジットカードをお金だと思っていて、お金がペラペラの紙や、丸い物だなんて知らなかった。

恐らく、零一人では食べ物を調達できないでしょう。


(買い物のお支払…したことがないのよね。)


「……あら、どうしたの?」


困り果てていると、屋敷で飼っているゴールデンレトリーバーがこんな所まで来ていました。

口にくわえているのは大きなバスケット。

中には食べ損ねた朝食と、白い紙切れが一つ。朝食が入っていることに安堵を覚えながら、白い紙切れの内容に零は首をかしげたのでした。



『謎は解けた。ルビーを貴女に。大事なものは月が咲く花畑にあり…?』



(月が咲く花畑…何かしら?)


どうやら、失踪した彼からの挑戦状のようです。けれど、そこだけ何故か引っ掛かりました。


(何かの花……かしら?)


「……食べましょう。ありがとう、ワンコさん♪」


(ルビーは伊勢海老ではないわよ?)


そう思いながら、何故か伊勢海老に埋め尽くされたお弁当を零は食べたのでした。

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