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水鏡五国志 [第一部 星雲之巻]  作者: 子志
章之弐 炎熱の国
10/76

朱宿

 暑い。

 じっとりと滲む汗の不快感で、私は目を覚ました。見知らぬ部屋だ。ぼんやりとする記憶を手繰りながら、私は視線を巡らせた。

 どうやら寝台に寝ているようだ。部屋はシンプルだが決して粗末ではない。寧ろかなり質が良さそうだ。そんな事を考えていた私は、はっと我に返って飛び起きた。

「どこだ、ここ……」

 確か碧軍が火を使う軍に攻撃されて、私は変な男にさらわれたんだ。私の力がどうとか言っていたが、記憶がはっきりしない。薬を飲まされたんだろう。

 辺りを見渡すが、部屋の中に人はいない。

「春覇、無事だろうか……」

 突然火に囲まれたんだ。碧軍は混乱しただろうし、敵は中軍にいる春覇の所にまで達していた。奪い返せと章軌に命じていたのに、私がどうやら春覇の元にはいないらしい事も不安を煽る。

「おや、目が覚めたかな?」

 不意に扉が開いて、男が入ってきた。赤い袖無しの上着を着て、端に飾り石のついた黒い帯を締めている。その露出した腕を見て、私は暑いと感じて起きた事を思い出した。私はさらわれた時の服装のままで、長袖の上衣を着ている。自覚すると、またじわりと汗が滲み出た気がした。どうやらここは碧よりもかなり気温が高いらしい。ということはかなりの距離を移動した筈だ。いったいどれだけ寝てたんだ、私。

「気分はどうだい?丸三日も寝ていたよ。少し薬が強すぎたかな」

 私がぼうっとしている間に、男が側に歩み寄っていた。

 暗い燕脂色の髪に焦げ茶色の目をした男だ。ぱっと見穏やかに微笑んでいるようだが、なんだか間違いなく腹黒な予感がする。

「暑いだろう?ここは紅だからね。着替えた方がいい」

 男がそう言って、着替えらしい赤い服を側のテーブルに置く。私はぐっと拳を握った。

「お前は誰だ。……春覇は」

 どうした、と言い切る前に顎を掴まれる。仰向かされて、少し首が痛い。

「碧の覇姫なら心配する事は無い。あの女、あの状況から軍を立て直してくれたからね。全く、厄介な相手だよ」

 それを聞いて、ほっとする。春覇は無事だし、軍も大きな損害は受けなかったみたいだ。

 安心した私の様子に気づいたのか、男が眉を上げる。

「ほっとしたかい?君は覇姫と親しいようだけど、彼女の恋人かな?」

 は?

 あまりに何て言うか予想外の言葉にフリーズする私の前髪を、男が空いた手で掻き上げた。膝を寝台に乗り上げてぐっと顔を寄せてくる。

「確かに君は男にしておくのはもったいないような顔立ちをしているしね」

「……ちょっと待て。俺は春覇の恋人なんかじゃない。ただの客だ」

 第一あの春覇が恋人を連れてるなんて想像出来ないぞ。いや、美人だからその気になれば相手には事欠かないだろうけど、何ていうか、春覇はそういう浮いた事とは無縁そうだ。

「そうなのかい?あの覇姫が守ろうとしたからてっきり大切な人間なのかと思ったよ」

 ああ、うん。春覇は見たところ必要無い人間はあっさり切り捨てそうに見えなくもないよね。実際はそんなに冷たい人間じゃないと思うけど。

「それに覇姫があの狐狼以外の者を傍に置いているのは珍しいからね」

 付け加えた男は、興味深そうな顔をして私の顎を軽く持ち上げた。

 ……さっきから距離が近いよ、あんた。

「まぁ関係が無いならそれでいいよ。君は朱雀の宿主、この国の救いだ。美しいに越したことはない」

 そう言って、男は寝台から身を引いた。引き際に手の甲に口づけられて、鳥肌が立つ。

 意味わかんないし、こいつ!

「なっ……」

「そうそう、私は依爾焔。姓が依、名は爾焔だ。君は?」

 無視ですか。

 そしてこんな変な男に名乗りたくない。

 名乗りたくなくて暫く黙っていたら、男、依爾焔は軽く息を吐いた。

「言いたくないのかな?まぁいい。この国での君の呼び名は決まっている」

 予想外の言葉に思わず顔を上げると、爾焔は微笑んでいた。

朱宿(しゅしゅく)

 耳に馴染まない言葉が、爾焔の口から発せられる。

「朱雀を宿す者……君の役目だ」

 私は何も答えられない。彼が何を言っているのか、さっぱりわからなかった。ただ、どうやら大層なことに巻き込まれたようだということだけがはっきりと脳裏に浮かぶ。

「さぁ、着替えなさい。後で王に目通りして貰うからね」

 そう言って、爾焔は出ていった。

 王に目通りって……王!?え、紅王に会うのか!?そんな偉い人に会った事なんて無い……あるわけない。何だか面倒な臭いがぷんぷんして嫌なんですが……。

 私はとりあえずのそのそと起き出して着ていた服を脱いだ。寝台の側に置いてある湿らせた布で汗を拭い、新しい衣服を身につけていく。ズボンは白く比較的ゆったりとしていて、足首だけが絞まったものだった。靴も薄手だ。上着は襟が高く、着方は碧で着ていたのと同じようだけれど、肩の半ば辺りからは布が無くて、脇下に掛けてかなりゆったりと袖口の開いた作りになっている。鮮やかな赤に黄色の縁取りがしてあって、帯も黄色だ。端は琥珀色の石で飾ってある。

「そもそも何者なんだ、あいつ」

 ここまでのやり取りを見る限り変な奴だとしか思えないけれど、王に謁見出来る立場にいるって事だよね?

 認めたくないが、どうやら碧軍を攻撃したのも私をさらうためにあいつが軍を動かしたみたいだし。

 そんな事を考えて何となく嫌な気分になりながら、着替えを終えた私は寝台に座った。ひょいと目を上げると、赤い精霊が漂っている。

 この赤いのが火の精霊らしいと、私は理解し始めていた。春覇が火を消すのに使った青いのが水精霊だろう。春覇の周りには緑っぽいのも居たし、無色に近いのがふわふわしているのもよく見たが、ここは圧倒的に火の精霊が多い。

 多分、爾焔のせいだろう。

 どうやらあいつは火を使う方士みたいだし。

 ぼうっと赤い精霊を眺めていると、部屋の戸が開いた。変人もとい爾焔が顔を出す。

「あぁ、よく似合うね」

 そういうことを男に言うな。

 エスコートするように差し出された爾焔の手を、容赦なく叩き落とす。

「で、わざわざ軍を動かしてまで俺をさらってきた理由は?」

「俺」を強調しつつ、わざとらしく手の甲をさする爾焔に話を促すと、奴は一瞬真面目な顔になって、それから口角を上げた。

「この南方を守護する土地神、朱雀は弱っていてね……君が必要なんだ」

 朱雀……って、どこかで聞いた事がある気がする。私が必要ってどういう事だ?

 問い返す前に、爾焔に腕を取られ、立たされた。

「詳しい事は王の御前で。行こう」

 問答無用に歩かされる。部屋から廊下を経て更に大きな扉から外に出ると、強い日差しが瞳孔を灼いた。

「眩し……っ」

「ああ、済まない。慣れない君には辛かったね」

 思わず目を閉じると、爾焔が振り向く気配がして、光に照らされて赤かった目元が掌に覆われた。同時に腰に手が回り、目元から離れた手は膝にかかってあっと言う間に抱き上げられる。しかも横抱きだ。

「なっ……」

「おとなしくしていなさい。それでは歩けないだろう」

 確かにこの光は辛い。

 辛いが、何が悲しくてこの変人に姫抱きにされなきゃならないんだ!

 一般的に姫抱きは女の子の夢と言われているが、状況のせいか嬉しくもなんともない。

 非常に不本意だが、目が開けられない状態では満足にもがく事も出来ず、結局私はそのまま爾焔に運ばれてどこかの建物に入った。若干ひんやりとした空気を感じた所で床に下ろされ、恐々と目を開ける。

 さすがに屋内にあの暴力的な日差しは無く、装飾の施された廊下が青っぽい視界を満たした。

「さぁ、おいで」

 爾焔に促され、歩き出す。

 やがて大きな扉の前に行き着いた。衛兵らしき兵士が二人、両脇に控えている。

「これは依宰相」

 兵士が丁寧に会釈をする。やっぱ偉いのか、こいつ。

「王にお目通りを。例の者を連れて参った」

 爾焔が言うと、兵士が声を張り上げる。

「宰相依爾焔様の来朝!」

 扉の向こうで、別の声がそれを復唱するのが聞こえた。ややあって、内側から扉が開く。爾焔は躊躇うことなく中へ入って行った。当然、私も続く。

 中は玉で飾られた広間になっていて、奥の一段高い場所にある椅子に男が座っていた。中年で髭を生やした小太りの、まぁ王らしいといえばらしい感じがするかも知れないおっさん。ただ、あまり賢そうには見えない。正直、この暑い国で目にしたくはない感じの風貌だ。

「例の子どもを連れて参りました」

 手を組み合わせて膝をつき、丁寧に礼をした爾焔が言う。私は慌てて爾焔に倣った。確か普通こういう偉い人に会うときは、目を上げてはいけない……筈。

「それが……まことに、朱雀を宿せるのか」

「私の占にかつて狂いがございましたでしょうか」

 王の問いに、爾焔が自信ありげに答える。ふむ、と頷いた王は、私に言った。

「面を上げてみよ」

 私はやむなく顔を上げた。どこを見ていいのかわからなくて何となく王の胸元に提げられた赤い玉の飾りを眺める。

「ほう……」

 まじまじと見られると居心地が悪いんですが。

「これは美しい……どうじゃ、わしの妾にならんか」

 えぇと。

 とりあえず、殴っていいですか。

 しかし私が拳を固める前に、爾焔が涼しい顔で言った。

「お言葉ですが王よ、美しくとも彼は男です。況してや神の依り代となる者にございますれば……」

 丁寧にもっともらしい理由を述べているが、私には奴の本音がわかってしまった。というか目が語っている。「ふざけてんじゃねぇぞこの色ボケ親父が」って!

「ふむ……ならば致し方無い」

 おっさん、あんたも気付こうよ!絶対こいつ今あんたの事心の中で罵ってた!寧ろ顔に出てるよ。いいのか!?

「さっそく儀式にかかりたく存じます。神殿のお人払いを」

 爾焔がそう言って、退出を切り出した。王の名残惜しげな視線を感じながら、私はさっさと広間を後にする。

 しかし結局よくわからなかったんだが。爾焔は私に何をさせる気なんだ?

 尋ねようにも、爾焔はどんどん歩いていく。私は慌てて追った。

 爾焔は建物の奥へと進み、何やら荘重な扉の前で立ち止まる。そこでようやっと追いついた私の手を取った。

「これより先は神の居場所……さぁ、行こう」

「ちょ……待てって」

 扉を開けようとする爾焔を、私は呼び止める。

「結局何なんだ」

 私が問うと、爾焔は目を伏せて扉をなぞった。

「知っての通り、南方にある我が国の土地は朱雀の守護を受けている」

 知りませんがね。

 だがそれを言うとややこしくなりそうなので黙って続きを促す。

「しかし朱雀は五百年前の事件の折、詳しい事はわからないが他の守護神と揉めたらしくてね。……白虎と玄武に鎮められた時の傷が癒えず、今も苦しんでいる」

 守護神同士の争い。歴史書には書かれていなかった。人間の歴史とはまた違う、方士だけが知る事情なのかも知れない。

「傷を癒すにはまだ時がかかる……しかしこのままでは我が国は十分な加護を受けられず敗れるだろう」

 爾焔はそう言って、私の目を見つめた。

「今の朱雀が力を発揮するには人の助けが必要だ……朱雀をその身に宿らせる事の出来る、強い霊力を持った人の助けがね」

 それが、私?

 瞳を揺らがせる私に、爾焔は微笑んだ。

「怖がる事は無いよ。ただ君は朱雀の力を手に入れるだけだ」

 力強く私の手を引いて、爾焔が扉を開け放つ。火の気配がわっと溢れだした。

「朱雀よ……依り代を見つけて参りました」

 爾焔はそう言うと、私を部屋の中央に設えられた壇に(いざな)った。石造りの、五十畳ほどの部屋だ。火の気配がするが、中には何もない。でも、近くにいる。

 爾焔に促されて、私は壇上に座った。爾焔が一歩下がり、私に向かって拝礼する。

「我らが土地の守り、朱雀」

 爾焔の声が、金属質な響きを帯びて広がった。

「今その拠り所を献じん。この者に宿りてその力をいや増せ」

 言霊に応えるように、背後にぶわっと気配が盛り上がる。振り向くより早く、私の背中を熱が貫いた。

「ぅあ…っ」

 胸に到達した炎の気配から、何かが流れ込んでくる。

 ――どうして。

 これは、何だ?

 ――奴のせいだ。奴が彼女を守れなかったのに……何故、奴を罰しない!我は……

 これは、思いだ。誰かの、強い恨みと……哀しみ。

 ――我は……!

「あぁあっ!」

 渦巻く想いと体を灼く熱に、私は叫んだ。その視界の隅に赤い翼が映る。

 ――圭裳。

 そこで、私は意識を手放した。



 目が覚めた時、そこはもうあの部屋ではなかった。

 柔らかい感触に再び眠りに落ちかけて、それが前回目覚めた時と同じ寝台だという事に気づく。違うのは、何かが私の頭を撫でているということだ。

「目が覚めたかい?」

 その声に、私は飛び起きた。寝台に腰掛けて私の髪を撫でていたらしい爾焔が目を見開く。

「貴様、何して……っ」

 しかし、爾焔はこちらの抗議など聞かぬげに私の瞳を覗き込んだ。

「どうやらうまくいったようだね」

「は?」

 眉を寄せた私は、目の前に差し出された鏡を見て息を飲む。

 普通に日本人としての黒い色だった私の瞳が、燃えるような緋色に変わっていた。

「なん……」

「君の体内に朱雀がいる」

 事も無げに、爾焔が言う。私は胸を押さえた。

 それじゃあひょっとして、あの想いは、朱雀の……?

「君はこの国の守護神だ」

 私は何も言えなかった。



 翌日、私は朝廷で王の横に立たされた。すぐ側に、爾焔が控えている。

 私は一晩考えて、全てを割り切る事にした。嫌がっていても仕方がない。私の体に朱雀が入ってしまったのはどうやら事実のようだし、爾焔や国王が気に食わないと言っても、紅だって人の暮らす国だ。守護して悪い事は無い。私に求められるのがそれなのなら、甘んじるしかないだろう。

「長らく傷ついていた朱雀が、人に宿る事で力を取り戻した」

 爾焔が集まった臣下達に言う。ざわめきが広がった。

 戸惑いと、疑い。

 それはそうだろう。いきなり現れた小童に、国の守護神が宿ったなんて言われても、にわかには信じられないはずだ。

 けれども、疑っている人々に邪推されて臣下が割れては国が乱れる。

 そう考えた私は、深呼吸して背中に意識を集中した。実は一日この身で過ごしてわかったのだが、普段朱雀は眠っているらしく、その時は私が朱雀の力をある程度扱える。まだ大規模なのは試していないが、群臣にこの現象を信じさせるくらいならたやすい。

 ざわっ、と広間にどよめきが走った。私は目を開けて、群臣を見下ろす。

 私の背中には、炎を纏った赤い翼が生えていた。

「……何か異見のある者は」

 爾焔の問いに、誰も声を上げない。私は翼を一度羽ばたかせ、消した。

「朱雀の力は俺の中にある」

 群臣を見渡して、私は言う。

「この力で、俺はこの国を守護しよう……この国が守護に値する限り」

 爾焔が軽く眉を上げるのが見えた。

 無理もない。これは殆ど脅迫だ。守護に値しないとみれば見捨てると言っているのも同じ。しかし、今の私にはこのくらいの虚勢は必要だった。何が何だかわからない世界でうまく生きていく為に、利用できるものは最大限に利用してみせる。

「……火の精の加護よあれ」

 爾焔が硬い声で締めくくって、朝廷は閉じられた。



「まったく、君はなかなか強かだね」

 私を元の部屋に連れ戻した爾焔が苦笑混じりに言う。私はふんと鼻を鳴らした。

「当然だ。俺を利用するなら可能な限り利用し返してやる」

 私はこの世界では無力だ。でも、今は朱雀という力を手に入れた。その事で、少し元の調子を取り戻したようだ。

 無力でも何でも、私は生き抜いてみせる。ただで利用されてたまるものか。私は私が生きていくのに不利にならないよう動くまでだ。

 私の態度に不快を示すかと思われた爾焔はしかし、楽しげに口角を上げた。

「なるほど……そういう考えは嫌いではないよ」

 あやすような物言いに眉を寄せた私の頬を、するりと撫でる。

「だけど朱雀を宿しているとはいえ君の肉体は生身の人間であることを忘れないで欲しいな」

 爾焔の指が首の脈に触れ、何か小さく呟くのが聞こえた途端、不意に体の力が抜けた。膝から崩れ落ちそうになった私を、爾焔が抱き留める。

「え……?」

 腕が、足が、言う事を聞かない。私はそのまま椅子に座らされた。全く力の入らない体をだらりと背もたれに預け、私は眼だけを動かして爾焔を見た。

「何を……」

「朱雀は大抵眠っている。君の体を拘束するくらいわけないことだよ」

 爾焔は目を細めてそう言うと、私の顎を持ち上げた。

「強気もいいけどね、立場は弁えておいて貰うよ」

 笑みに込められた不穏な気配に私が背筋を震わせた時、扉を叩く音がした。

「依宰相!王がお呼びです」

 爾焔がすっと目を細め、手を離す。

「脅えなくていい。だけど、忘れない事。いいね」

 爾焔の手が再び私の首筋に触れると、体が動くようになった。

「では私は行くがこの部屋から出てはいけないよ」

 私は黙って頷いた。逃げたって逃げ切れないことは、私にもわかっている。

「わかったから行け。王が待ってるんだろう」

 辛うじて虚勢を張り続ける私に楽しげな笑みを見せ、爾焔は部屋を出ていった。

 さすがにあの若さで一国の宰相にまでなった男だと言うべきなのか。言うことに従わなければ、どうなるかわからない。そういう薄ら寒さを、私は初めて感じた。

 無謀な事をして危険を冒すより、部屋の中で暇を持て余している方が遥かにマシだ。

 多少不機嫌になった私は、その辺にいる火の精霊をつつき回して暇潰しとストレス発散の手段にする事にした。

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