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約束
序章
1999年12月24日
雪が降っていた。
息は白く、震えるほど寒い。
ぱらぱらと舞うように小さな公園へ。
黄昏時だが、空は曇り薄暗い。
公園にいるのはまだ幼い、少年と少女。
少女が言った。
「ねぇ、約束しよう」
やくそく?と少年が首を傾げた。
「そう約束。小指を出して」
少年と少女の小指が絡まる。
「私はここに来るのは難しいの。今日あなたに会えたのもたまたまだから」
「じゃあ、次いつ会える?」
「わからない」
だから、
「約束するんだよ。あなたにもう一度会ってみたいから。……それともあなたはもう私と会いたくな
い?」
それは。
「……会いたい」
その答えに少女は、
「じゃあ……何時になるかわからないけど、」
小指に力を込め、笑ってくれた。
「いつかまたここで会おうね」
雪の降る中そう言って繋いだ小指は涙が出るくらい暖かかった
それは、かつての記憶。
少年と少女の始まり。
叶わぬ再会を願った二人に残ったのは繋いだ小指だけだった。
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