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あーかい部! 38話 鬼

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「鬼……おに……、」


「きはだちゃん?」




白ちゃんは部室で1人、『鬼』と呟くきはだに不気味さを覚えつつも声をかけた。




「白ちゃ……おに?」


「大丈夫?主に頭。」


「いきなり辛辣だねぇ……。」


「開口一番人のこと鬼呼ばわりする子の顧問だからね。」


「大変だぁ〜。」


「で、今日は鬼のこと考えてたの?」


「うん。昨日おにごっこしてる子ども達を見かけてねぇ。」


「おにごっこなんて、懐かしいわね。」


「そこできはだちゃんは考えたんだよぉ、『おにごっこって鬼要素ある……?』ってね。」


「確かにおにごっこって、交代で追いかけ回すだけでキャラクターを感じる要素ないわね?」


「でしょ〜?ツノも生やさないし、丸腰だし、パンツも替えないよね。」


「ツノは生えないし、武器は危ないし、パンツ着回すのは正気の沙汰じゃないものね。」


「なんか今日の白ちゃん辛口だねぇ……。」


「あ!辛いと言えば『鬼殺し』も鬼ってつくわね。」


「めちゃくちゃつよ〜いお酒でしょ?」


「そうそう。」


「白ちゃん飲める?」


「え?割と好きな方だけど。」


「じゃあ鬼じゃないかぁ〜……。」


「私、鬼だと思われてるの?」


「厳しい人とか怖〜い人を『鬼!』って罵倒するよねぇ。」


「私は割と甘い方だと思うけど。」


「自分にねぇ……。」


「人のお腹凝視しないっ!///」


「白衣越しでも?」


「白衣越しでもっ!」


「でも食生活には気をつけてねぇ?」


「はいはい。」


「……じゃあ鬼じゃないかぁ〜。」


「まだ言うか。」


「白ちゃんって今……おっと失礼。」


「何聞こうとしたのよ///」


「いや〜、流石に下着の柄を聞くのはダメかなぁって。」


「残念だったわねぇ……私の下着は縞柄じゃないわよ?」


「じゃあ鬼じゃないかぁ〜……自己申告だけど。」


「鬼じゃないわよ。」


「はぁ……結局鬼ってなんなんだろうね?」


「鬼ねぇ……。日本の伝統行事なんかだと厄災とか悪しきものって感じで扱いが結構ふんわりしてるわよね。」


「鬼沢さんとか鬼瓦さんとか、名前にもなってるよねぇ。」


「初対面で怖がられちゃう奴ね……。」


「…………玉ねぎ

「は関係ないでしょ、英語だし。」


「そんな鬼の正体を突き止めるべく、子どもたちは鬼ごっこに明け暮れるのであった……。」


「そんな哲学的な遊びだったかしら……。」


「考えてもごらんよぉ。みんなに避けられる哀しみを背負った子が、自らの業をなすって次の瞬間には他の子と次の鬼を忌避するんだよぉ?」


「そんな卑屈な所業じゃないでしょ。」


「そして業をなすりつけられた鬼は次の鬼に哀しみを背負わせるんだ。……自らが哀しみから解放されるためにねぇ。」


「哀しみの連鎖ね……。」


「そう。おにごっこは悪しき『鬼』をなすりつけ合う社会の縮図なのさ……。」


「子どもたちをみる目が変わっちゃうじゃない。」


「強くなれよ、子どもたち……。」


「きはだちゃんは誰目線なのよ……。」






あーかい部!(4)




きはだ:投稿〜


あさぎ:お疲れ


白ちゃん:なんか、どっと疲れちゃったわね……


ひいろ:そんなに激しかったのか?


白ちゃん:誰が


きはだ:今日は哲学だったねぇ


あさぎ:哲学?


白ちゃん:鬼ってなんだろう?って話してたのよ


あさぎ:鬼って言ったら


ひいろ:鬼殺し

あさぎ:鬼殺し

きはだ:おにごろし


あさぎ:だよね?


白ちゃん:あなたたち本当に高校生よね?


きはだ:ニヤリ


あさぎ:こんな無邪気な笑顔、(すさ)んだ大人にできるわけないでしょう!?


白ちゃん:えぇぇ……


きはだ:計画通り……!


白ちゃん:あ!?今荒んだ!


きはだ:あはは白ちゃん面白〜い♪


ひいろ:よし、今日もきはだは純粋だな


白ちゃん:こいつら……!


あさぎ:本当の鬼は、人を疑ってしまう己の心の弱さの写し鏡なのかもしれませんね


白ちゃん:それっぽいこと言ってシメようとするな


ひいろ:まあつまるところ、鬼っていうのは厄災や病気、不運なんかのネガティブな事象や心持ちを偶像化したものなんだろうな


きはだ:アニミズム!

あさぎ:そういう意味だと西洋の悪魔とかとも大差ないのかもね


ひいろ:鬼の記録が増えたのもちょうど日本で大規模な疫病が流行った時期くらいじゃなかったか?


白ちゃん:そうだこの子ら勉強はできるんだよなぁ……


きはだ:バカだけどーー!


あさぎ:馬鹿じゃなーーい!

ひいろ:馬鹿じゃなーーい!


白ちゃん:こんなのが部活平均順位トップだなんて信じたくない……


きはだ:ほんとだよおぉ?↓


白ちゃん:うるせえ


あさぎ:平均の闇だよね


きはだ:平均下げてるやつがなんか言ってらぁ


あさぎ:1科目でも主席取ってから言ってもらおうか?


白ちゃん:こら喧嘩しない!


ひいろ:でも1番美味しい思いしてるのは白ちゃんだよな


白ちゃん:そうよ?これからも私が楽をするために、あなた達には頑張ってもらわないとなんだから


あさぎ:鬼だ……

きはだ:鬼め

ひいろ:鬼だな

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