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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

サプライズなんて大嫌いだ(闇編)

 Xにて#2025南雲皋爆誕三題噺 の企画にて書かせていただきました。


 お題は不意打ち、あめ、笑う


 前作とは全く関係ございません。

「じゃじゃーん! サプラーイズ!」


 この不意打ちも数打たれれば慣れるというもの。

 俺はサプライズが嫌いだ。相手の気持ちを考えもせず善意の押し売りする様子に反吐が出る。テレビやYouTubeを観れば、公開告白やプロポーズ、フラッシュモブなどなどありとあらゆる動画が流れてくる。実際断られたらどうするんだ。当人同士ならまだいい。周りの客にも気を配れってんだ。


 冒頭に戻る。そこそこの偏差値の大学に進んだ俺に初めての彼女ができた。名前はさより。同い年で高校も同じだというが正直覚えていない。全校生徒千人を超えるマンモス校だから無理もないが。彼女は俺と真逆でサプライズが大好きだった。それとなく苦手だということを伝えたが、何かにつけてこのように俺を驚かせる。なんでも普段仏頂面の顔を笑わせたくてやっているのだとか。好意はありがたいので好きにやらせるようにした。


 そんなあるとき、めずらしくさよりからの連絡が丸一日なかった日。いつもなら二十通はあるのに。


『大丈夫か?』


 ひとことメッセージを送るが既読にもならない。まぁ、体調でも悪いんだろ。そう俺は思い直し大学のレポート作成に取り組んだ。



 ピンポーン



 自宅のインターホンが鳴ったのは日付が変わったときだった。誰だ? こんな時間に。ひとり暮らしをしているため家には俺しかいない。面倒だと思いつつ、立ち上がりドアへ目線を向けると……



 ドアの鍵がゆっくりと解錠された。



 すぐさま再び施錠しようとしたが、すんでのところで解錠した主が入室した。俺はそいつを知っていた。


「さより……」


 彼女は長い黒髪を振り見出し、虚ろな目で俺を見る。


「これ、見て……」


 そう言った彼女は一枚の写真を差し出した。恐る恐る受け取るとそこには俺と幼なじみのななみがいた。彼女が口を開くのを空気で感じ取った。


「私だけを好きでいてくれるって言ったじゃない。幼なじみなんて知らない。高校でひとめぼれしてからずっとあなたを見ていたのに……」


 こいつは狂っている。そう思った。早く警察に……


 ドコッ


 ……え?



 痛みから目を覚ますと、俺は手足を拘束され身動きが取れなくなっていた。さよりは俺を跨ぐ形で馬乗りになり大粒の涙を流していた。とめどなく溢れるそれは雨のようだった。どこから持ってきたのか猿轡を俺の口に噛ませ情けない姿だろう。


「殴ってゴメンなさい。あなたが好きすぎて……もうどこにもいかないで……」


 彼女は涙を浮かべたまま静かに笑う。



「サプライズ……だよ」



 だから俺はサプライズが嫌いなんだ。

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