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乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
15章

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95.パーティーの終わり

 デボラに聞いたところ、エマが趣味で描いている私が気の強そうな顔をしていたと。しかもそれが1つ2つではなくかなりの数を描いていたのだと言う。

 どれも男と抱き合っており、挑発的な表情をしていた。そのため、デボラはそんな女にイナト様を取られるわけにはいかないと殺意が高かったようだ。

 一応エマは自分の趣味であって本人と会ったことがないと言っていたそうだが、聞く耳を持たず暴走していたのだとか。人の趣味のせいで嫌われることが何度もあるとは、趣味も侮れないものだ。

 

 なお、実際私と出会って、考えを改めたそうだ。と言ってもイナトを渡したくない気持ちは変わらず、また殺したい気持ちがすべて消え去ったわけではないと言われてしまった。少し前は私にくっついてデレデレだったのに……。


「あの人、ミマとまだ小説を作っているのね」

「はい。今も作ってますね」


 今は実験のためアデル用に1作品作っているはずだ。進捗は知らないのだが、きっと完成したら私にも報告が来るだろう。

 

「ゲムデースから追放されたのに懲りないわね。……お兄様と貴女の恋愛小説でも書いてもらおうかしら」

「ええ……せめてお兄さんに許可取ってからにしてくださいね?」

「あら、貴女はいいの?」

「もう諦めてます」


 すでに何作品も作られている私と誰かの恋愛物語。ミマさんの呪いが付与される可能性は高いが、デボラがその物語を読むことで私に敵対意識がなくなるのならむしろ万々歳だ。

 デボラは私の様子をじっと眺めた後、扇子を閉じ私の額を小突いた。


「救世主様も大変なのね。少しくらい手伝ってあげるわ。これ、あげる」


 握らせられたそれは、小さなダイヤのついた指輪。デボラが言うには魔力量を増やしてくれるアイテムなのだそうだ。

 自分はもっと良いものを持っているから勘違いするなというツンデレを発揮してくれた。ツンデレ少女はさぞ可愛かろうと他人事でいると、ルーパルドが顔を出す。

 

「やっと見つけた。主催も主役も消えるのは良くないって言ったばっかりじゃないですか。会場戻りますよ」

「ええ、戻るわ。……あなた達は後から来なさい」


 私達を置いて歩き出したデボラ。なぜかルーパルドにウィンクをして去っていった。ルーパルドは苦笑してそれを見送っている。

 私には浮気するなとか言っていたのに、まさかデボラと何かあるのか? 私はニヤニヤと横っ腹を突いた。


「浮気?」

「違う違う。俺はこう見えて一途だって言っただろ」


 そう言いつつルーパルドは私を抱き寄せた。突然のことで私は抵抗する前に顔面をルーパルドの胸に押し付けることになった。とくとくと心音が聞こえてくる。


「ねえ、本当にこの世界救ったら帰っちゃうの?」

「帰るよ。皆と離れるのは寂しいだろうけど、元の世界に置いてきた寂しさだってあるんだから」

「……そ。最近俺、どうすればあんたをこっちに縛りつけられるか考えてるんだけど……」

「穏やかじゃないなぁ」

「幻滅した?」

「しないよ。ただ、それだけ愛されてることに疑問は覚える」

「そこは嘘でも幻滅したって言わなきゃダメだろ。俺のこと受け入れてくれるせいだって気づいてくれよ」


 ルーパルドは体を離し、私の肩を持った。私を見つめる瞳は熱っぽく本気であることが嫌でもわかる。揺らぎそうな心に、これはゲームだと何度も唱える。

 そして、キスでもしてきそうな雰囲気に耐えかねた私はルーパルドの頬を両手で抓る。


「ちょっと、人が真面目に話してるってのに」

「だから困るの」

「……なるほど。世界救済までに口説き落とせればよさそうですね」


 そう解釈して満足したルーパルドは、「ほら、俺達も戻りますよ」と腕を引っ張り会場へと足を進めた。



 ◇



 襲撃があったとは思えないほど順調にパーティーは進み、お開きの時間。

 名残惜しそうな人や疲れた表情を見せる人。私に労いの言葉をかけてくれる人々や賄賂だろうか、色々と物を渡してこようと来る人までいた。


「つっっかれた……」

「さっさと帰って休みましょう」


 そう口にした矢先、デボラがドレスのまま走ってきた。イナトのこととなるとデボラはかなりアクティブなようだ。


「お、お待ちになって! 今日はうちでお休みになられませんか?」

「いえ、お構いなく。客人がいたら休まるものも休まりませんよ」


 間髪入れずにイナトはデボラにそう言い放つ。だが、デボラは良い方に解釈したようで感嘆の声を漏らした。


「イナト様は本当にお優しい方……。どうかデボラに貴方の疲れを癒すお手伝いを――」

「必要ありませんよ」


 またもや即座にイナトは笑顔でそう返した。その様子をデボラの後ろから見ていたゼヴリンはため息を吐いている。


「デボラ、やめなさい。皆様、本日は妹のワガママに付き合っていただき誠にありがとうございました」

「とんでもないです。素敵なパーティーにお招きいただきありがとうございました」

「お気遣いいただき恐縮です。そういえば、デボラからリン様と私の恋愛小説を作ると言っていたのですが、問題ありませんか?」

「え、ここでそれ聞くんですか……」


 すでにデボラには許可を出しているし、改めて聞かれると思っていなかった。3人からの視線が痛く感じるのはなぜだろう。これではまるで私が悪いことをしているようではないか。


「は、はい。問題ない、です」

「それを聞いて安心しました。許可をいただきありがとうございます」


 一瞬ゼヴリンの口角が上がった気がしたが、もしかしてわざとだったのだろうか。

 この3人をあまり刺激しないでほしい。

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