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乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
14章

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84.男爵令嬢からのお誘い

 目を覚ますと隣にいたはずのリムはもうすでにいなかった。

 体を起こして伸びをする。隣のミニテーブルに視線を向けると、手紙が置いてあった。リムの字だろうか、『起きたら水を飲んで隣の部屋にいらっしゃい』と丸みのある字で書かれている。

 指示通り、置いてあった水を飲み隣の部屋へと入る。すると、そこにはリムとイナト達が神妙な面持ちでテーブルを囲んで座っていた。


「皆、どうしたの……?」

「上手く避けていると思っていたんですけれどね」


 イナトは頭を抱え、難しい顔をしている。ルーパルドもうんざりしているような表情。ロクとリムはあまり表情自体は変わっていないが、よく思っていなさそうだ。


「リムさんから聞いているでしょう? 救世主さまの命を狙っていた奴を」

「あ〜、そうだね」


 私があまりにも危機感がないためか、一同ため息を吐いた。そこまで警戒する必要がある人物なのだろうか。その、イケメン好きの令嬢というのは。

 確かにかなり高価なものを使って私を殺そうとしたのは事実だ。たが、敵なのだから殺そうと攻撃をした時点でいつもの回避通知が出るはずだ。……メカクレオンの時のように反応が遅れさえしなければ問題ない。また、何度も言っているがこれは死にゲーの世界で何度も死んで知識をつけてクリアするものだ。どうしてもこの世界にいる人には受け入れてもらえていない状態ではあるが。


「男爵令嬢デボラ様からお手紙です〜」


 従業員である女性がリムやイナトに手紙を渡す。街中で買い物をしている際、デボラのメイドと名乗る者から受け取ったそうだ。

 手紙の内容に目を通した2人は目を合わせた。


「……救世主様誕生のパーティーをしたいそうです」


 ここにいる全員が招待されているらしい。イナトはどうしたものかと顎に手を添えている。


「アタイ初めてあの令嬢に招待されたんだけど、もしかしてあの渡者を退けたから?」

「おそらくそうでしょうね。令嬢は貴女に取り入ろうとしているのかと」


 デボラは自分を害するものは徹底的に排除、または手駒に加えようとするらしい。とはいえ、そこまで力があるわけでもないので、失敗することが多いと言う。あまり手強いとは言えないようだが、それでも警戒はした方がいいのだろうか……。

 私が疑問に思っていると、ルーパルドが口を開く。


「弱そうとか思ったかもしれませんけど、もしデボラ令嬢の兄が出てきたら別ですよ」

「弱そうまでは思ってないよ! というかお兄さんは強いってこと?」

「平民から男爵になれたのは兄の功績あってこそなので。そうそう妹に力を貸すとは思えませんけど、警戒は必要です」


 兄が事業を始め成功。そのあともたくさんの功績を残し侯爵の位をもらったのだそうな。どのようにして爵位をもらうとかは正直私にはわからないのだが、すごいと言うことだけはわかる。

 なお、優秀なのは兄だけで、両親も妹も兄に依存して生きているのだとか。

 

「おい、なぜワタシにも手紙が来る」


 夢避けの香と強く握りしめてぐしゃぐしゃになった手紙を持ってアデルが現れた。私に夢避けの香を渡した後、イナトに詰め寄るアデル。イナトはお前ももらったのかよと言いたげな顔をしている。


「救世主様を呪ってもらおうと思っているのかもな」

「なるほど……ま、いくら積まれても無理な話だがな」


 納得したように頷くアデルに私は安堵した。解呪の研究を進めてもらえなくなれば私の負担はもちろんだが、人様に血や唾液を与えなければいけなくなってしまう。

 

「アデルさんに裏切られたらすっごく困ります」

「ワタシもお前を手放したらかなりの大損だ。だから心配するな」


 ぐしゃぐしゃにした紙を伸ばしながら、アデルは息を紙へと吹きかけ元通りにした。


「お前らは行くんだろう? ワタシは呪いにかかったとして欠席するがな」


 そう言い残しアデルは消えていった。


「嵐のような人ねぇ」

「アデルは自分中心だからな」

「それより、それが夢避けの香? アタイのところでも取り扱ってはいるんだけど、夢を見たい人ばっかりで売れないのよね」


 見せて欲しいと頼まれリムに渡す。興味深そうに眺めた後私へと返しながら、自身で作った夢避けの香を確認する。

 アデルの容器のデザインはかなりシンプル。リムの容器はパステルカラーを使った可愛らしいデザイン。中身は私にはわからないが、リムが言うには効果が高いのはアデルのものらしい。売り物でないからだろう高価な素材を惜しみなく使っており、効能があるのは当たり前だと言った。


「それにしてもあの男、どうしてこんなに高価な素材を持っているの? 貴重な物まであるじゃない」

「ああ、それなら僕が渡しておいた物だろう。巡り巡って救世主様のためになったのならよかった」


 最初にジュ村へ訪れる際に渡した素材が使われていたらしい。イナトは満足そうに頷いている。


「それで、侯爵令嬢のパーティーにはもちろん参加するのよね? だって救世主一行だものね」

「僕に対してだけなら断れましたが、さすがに救世主のためのパーティーとなれば欠席できるわけがありません」

「そうよね。それで、あなた達って正装は持っているのかしら?」


 イナト以外がリムから目を逸らしたのは言うまでもない。

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