表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
13章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/195

79.死について

 新しく解放された部屋にナルを休ませた。私も自分の部屋へと思ったところで、ロクにリビングの椅子に座らされる。

 私のサイドにはロクとルーパルドが座り、私の前にはイナトが座った。まるでそれはもともと決めていたかのような流れだ。

 イナトは手を組んで厳粛な表情で私を見つめた。


「さて、先ほど死んだら時間が戻ると言っていましたね?」

「うん、言った」

「そして、すでに3回は死んでいる、と」

「説明してもらいましょうか、救世主さま」


 イナトの言葉に続くようにルーパルドは隣で圧のある笑顔で私に詰め寄った。ロクも似たもので、説明求むという雰囲気だ。


 仕方なく死んだ理由を説明することになった。

 1度目の死で私がなぜ未来のことを一部知っていたのか納得してもらえた。また、これについては私が自死したわけではなかったためお咎めはなし。

 

 2度目についてはロクが部屋に入ったことやロクが殺したことを話、ロクは「呪いのせいとは言え、すまなかった」と頭を下げた。イナトは謝罪をしたこと、呪いのせいだと言うことで怒りを抑え込んでいるようだ。手が震えていた。ルーパルドは一部知っていたので苦笑い。

 

 3度目の死は動揺の声があがった。自分の首を掻っ切って死んでいるのだから当たり前と言えば当たり前かもしれない。また、自分達と離れたことで魔族と2人きりにさせてしまったことを謝罪された。なお、魔族から距離を置いてくれたことに対して、イナトは心底嬉しそうにしていた。


「別に皆が悪いわけじゃないし……というかこれで分かったと思うけど、死に戻ったことでいい方向にいってると思わない?」

「開き直るな。反省しろ」

「わかってます〜」


 ロクに叱られとりあえず頷くが、死ぬこと前提で作られているこの世界で反省なんて……と思わなくもない。それを悟られているのか、3人とも私のことを疑いの目で見ている。


「僕がリンの死んだ回数を定期的に教えようか?」


 部屋にいたはずのナルは私達の話を聞いていたようだ。


「それはやめてほしいな〜」

「死なないと宣言したのだから別に問題はないでしょう?」

「……」

「団長、これ絶対死ぬつもりのやつですよ」


 イナトから目をそらし、ルーパルドに言い当てられる。

 死に戻りの話をしても死ぬなと言うなんて、縛り付きのゲームをやらされている気分だ。


「でも、仮に自分が死ぬことで他の人が生き返るなら? 自分だって死のうと思わない?」

「確かに死ぬ可能性は高いかもしれません。ですが、死ぬ前提で進めるのはいかがなものかと」

 

 イナトは複雑そうな表情を浮かべて首を横に振った。

 そういうゲームなんだよと言い難い雰囲気となったリビング。誰もが自分であれば死んでもいいかもしれないと思いつつも、受け入れられない現状。私も私以外が死んで戻れるのなら死んでくれとは言えない。

 結構デリケートな話題だ。

 ゲームだったら特に気にする必要はなかったのに。


「俺としては、死んだら他の人の死を回避できる〜という軽い気持ちで救世主さまに死んで欲しくありません」


 ルーパルドの意見はごもっともだ。私もルーパルドや他の人がもしそう思っていたとしたら、気軽に死なないでくらいは釘を刺していそうなものだ。だが、そんな中、ロクはあっけらかんとした表情で言う。


「俺はそもそも人にそんなに興味がないから、他人のために死を選ばない」

「ロク……お前は黙ってろ」


 イナトはロクの発言に肩を落とした。ロクは「俺、変なこと言ったか?」と首を傾げている。

 私達のやり取りを見ていたナルは腕を組みイナトを見た。


「……僕のおせっかいは、なかったことにした方がよさそうかな」

「いや、頼めるか? 死んだ理由を精査して、死ななくてよかったものについては改めてもらいたい」

「えぇ……そこまでする必要ある?」

「ありますよ。できるだけ貴女には痛みも苦しみも味わって欲しくないのです」


 テーブルの上に置いていた私の手を取り、イナトはまっすぐ私を見つめた。この様子だとナルが言わなくても、定期的に私の状況を聞いていそうだ。真剣な眼差しに私は息を吐いた。


「……死んだら自白するつもりでいるよ」

「そうしていただけると助かります」


 これでまた死にゲーらしさが失われた感は否めない。

 どうにかしてナルをこちら側につけ、死亡回数の隠蔽に協力してもらおう。

 そう私は決心したのだった。



 ◇



「と、言うことで簡単に死ねる方法ないかな」


 部屋へと戻り、ベッドに寝転がってグループチャットへと質問を入れる。すぐにアズミから『ちょっと考えてみる』とだけ返事がきた。

 待ち時間に手持ちの確認をしてみる。持っているのに使わないアイテムが多く存在し、それもこれも頼もしい仲間がいるせいだなと息を吐く。


『さすがにわたしの能力じゃ即死できるような薬とかは作れそうにないよ』

『私の料理も無理そう。逆に即死を防ぐのなら』


 マリエは美味しそうな料理の写真を送ってくれた。これが即死を防ぐ料理なのか。食べてみたいのは山々だが――。

 

「即死級の痛みは耐えたくない!」


 特集にも即死できるアイテムや魔法などの話はなかったらしく、収穫はゼロ。


「何かしらあっても良さそうなんだけどなぁ」


 他の話題となったチャット欄をやり取りをしつつも、ずっとそのことばかりを考えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ