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乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
13章

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78.死に戻りの巻き込まれ

 私の死亡回数を言い当てた少年は自分をナルと言った。

 理由はわからないが、私が死んだ時にナルも死に戻りに巻き込まれ、また同じ時間を過ごしたのだと言う。それが3回発生。

 戻ったタイミングで周りの人に尋ねたが誰もそんな記憶はない。自分だけ記憶がある状態で巻き戻っているのだとそこで知る。

 戻るタイミングに規則性はなく、ナルは誰かが引き起こしている可能性があると考えていたのだと言う。


「リンさんが死んだタイミングで僕も戻っているみたいだし、死に戻りはある」


 証言者が現れたことで、3人は認めざるを得なくなった。だが、イナトは「そんなことがありえるのか?」といまだに半信半疑。ルーパルドは「俺も記憶を持ったまま死に戻りたい」とどちらかと言うと願望を吐いている。ロクだけは口元に手を当て無言のままだった。


「多分リンさんとしては死んででも巻き戻したいことがあった。そうだよね?」

「まあ、大半はそうだね。……まさか私の死に戻りに巻き込まれている人がいるなんて……」


 死に戻るのは救世主の特権。また、記憶保持も救世主のみだと思い込んでいたこともあり、私は驚くしかない。

 神も特に特殊な体質の人がいるという話はしていなかったし……。私の死ぬ回数が別の誰かにバレていると死ににくい。今後はあまり頻繁に使えそうもないな。


「ごめん。何か不都合なことなかった?」

「別に、ないよ。いつでも巻き戻したいと思ってたし、むしろ好都合だったよ」


 特に気にしていない様子に私は安堵した。だが、3人からの視線が痛い。きっとすでに3回死んでいることがバレてしまったからだろう。

 素直に死んだ理由を話した方がいいのかもしれないが、過去のことなので許してほしい。

 

「君達の旅に僕を連れて行ってくれない?」

「ナル、君は戦えるのか?」


 イナトの問いにナルは首を横に振った。

 

「戦えないとダメ?」

「救世主の旅は戦闘を避けられない。君を守りながら戦うことは、それだけリスクを伴う」

「でもイナト、私の死の抑制にはなるんじゃないかな?」

「自分でそれ言います? まさか、何か企んでたり?」


 ルーパルドはすぐに突っ込み、疑いの眼差しを向けてくる。死に関してこれまで一度も話したことがなかったからだろうか。全然信用されていない。

 

「違う違う! ほら、私が死んだらナルに迷惑がかかるし、一緒にいた方が私も死なないように気が引き締まるというか、なんというか……」


 実際はナルに3人へ私が死んだことを言わないよう口止めをしたり、死に戻った時に色々と共感や共有ができれば嬉しいと思ったからだ。

 死ぬ前提の思考のため、3人には口が裂けても言えないのだが。

 それでもイナトは戦えない者を側に置くことは反対のようだ。

 ナルに「守れる自信がないんだね?」と煽りのような言葉を投げかけられたが動じず、「そうだが?」と堂々とした態度だった。

 ルーパルドも「自分と救世主さまで手一杯だからなぁ」と言い、唯一ロクだけ「俺は守れる」と言っていたが、2人から無視されていた。

 ロクは個人で好きに戦うタイプなので信用ならないんだろうな……。

 

「僕には行く宛がないんだ。それでも僕を見捨てる気?」

 

 ナルに行く宛がないことがわかったイナトは、騎士学校に行くことを提案。お金のことはイナトのポケットマネーから出すことになった。衣食住があるのならいいかとナルは頷き、事は収束した。私としては少し残念だが、私のせいでナルや3人が怪我をするよりかはマシだと納得することにした。


「ひとまず、今日はもう箱で休みましょう。ナル、君も今日のところは僕達と一緒にいよう」

「箱で休むってどういうこと?」

「この箱に入って休めるんだよ。あ、他の人には内緒にしてね」

「……わかった」


 白い箱をいろんな角度から眺めていたナル。見ても何も理解できなかったからだろう、不思議そうな表情を浮かべたまま私の言葉に頷いたのだった――。

 


「これが箱の中だって言うの?」

「信じられないだろうけどそうなんだよ。自由に見てくれて構わないからね」


 ロクほどではないが、興味がある様子のナル。辺りを見渡し畑や鍛冶場へと足を運ぶ。


「これって勇者の剣のレプリカだろう?」

「知ってるの?」

「僕の知り合いが取り扱ってたんだ」


 勇者の剣を少し簡略化したおもちゃが以前いた街で流行っていたらしい。場所はゲムデースだと言っていた。


「お前まさかあのオネェのいる店にいた奴か?」

「……なんでバレたの?」


 どうやらナルは以前、そのオネェがいた店で世話になっていたらしい。ルーパルドは勇者の剣のレプリカの作成ついて許可を出す側だった。そのため、オネェとは頻繁に会っていたのだとか。その時にナルとは顔を合わせていたのだと言う。とは言っても、髪は黒色に染めていて顔も仮面でほとんど隠しており、ナルとしては覚えているはずもないと考えていたのだと。


「もしかして俺達に近づいたのは、本物の勇者の剣を奪うためか?」

「確かに最初はそうだった。でも、あんたは剣を持っていないようだったし、死に戻りの方が僕としては興味があったからもう狙ってないよ」

「実際俺の手元に本物の剣はない。むしろ誰か見つけてほしいもんだ」


 ルーパルドは肩をすくめ、そう愚痴のように言葉をこぼした。

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