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乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
12章

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73.おまじない

 やっとの思いで取得した解呪魔法だったが、素材問題で気軽に使える魔法ではなかった。

 誰もがここまで足を運んだ意味はあったのか? と思っているようでなんともいえない雰囲気が漂っている。


「こればっかりはしょうがないね。呪いについてはアデルさんに頼もう」

「アデル頼りというのが癪に障りますが……救世主様のおっしゃる通りですね」


 眉間にしわを寄せたイナトだったが、さすがに呪いについては専門外のようで大人しく引き下がるようだ。

 

 ワープポイントの解放を再開することになった私達は、ジュ村を離れ1番近いワープポイントへと向かっている。

 いつの間にか私もゲムデーズの魔物とも戦えるようになっていた。強すぎず、弱すぎず。これも経験値を積んできた成果だ。今ならあの時イナトとルーパルドの反対を振り切って戦わなくてよかったと思える。もちろんゲームだったら迷わず突っ込むのだが。


「そういえば俺ミマさんに貰ったクッキー、ジュ村の人にあげちゃいました」

「呪いを感じるとか言われていたな」


 ロクはその時ルーパルドの近くにいたのだろう。ロクは無表情のままルーパルドの話に反応した。

 

「そうそう。休憩の時に食べようと思って持ってきてたのになぁ」


 無意識に呪い込めてるのこえーよ。とルーパルドは苦笑い。

 ミマからもらったクッキーは念のため貰ってすぐに確認した。だが、その時に呪いが付与されているという記載はなかったはずだ。私はルーパルド以外のクッキーを持ち物欄から探し当て、もう一度内容を確認してみた。しかし、特に呪われているという表記は一切ない。ジュ村の人はどうやって呪いがあるとわかったのだろうか。


「やはり呪いがかかっていたか……」


 イナトは食べなくて正解だったと胸をなでおろしている。

 

「クッキーの説明欄には何も載ってないんだけどなぁ」


 今手元にある全員分のクッキーの説明欄を確認したが、どれも同じ内容で呪いの話は1文字も載っていない。

 ……と思ったが、おまじないの文字を見て私は漢字を思い出す。お呪いと書いておまじないと読む、と。


「恋が実りやすくなるおまじないを込めているって書いてあるんだけど……そういうこと?」

「ということは、それを食べれば意中の相手に好かれるような呪いが込められていたってことですかね?」

「そう、かも? わからないけど」


 ルーパルドは食べときゃよかったかな〜と少し残念そうな表情を見せた。その様子をロクとイナトは真顔で見つめている。これはルーパルドに対して引いているのか、ミマの呪いに引いているのかどちらだろう……。

 

「アデルさんがミマさんを知ったら、調べさせろ〜とか言いそうだね」

「会わせてみましょうか」

「え!? 絶対拒否されると思ったのに」

「ミマさんの呪いについて何かしら情報が得られるのはありがたいです。また、ミマさんはアデルで何か書きたがるかもしれませんし、ついでに本の呪いについても調べてもらえれば一石二鳥ですよ」


 イナトは悪い笑みを浮かべている。相殺とは言わないが、どちらについても問題が解消されるかもしれない。そう考えるとイナトにとっては悪くない話だ。もちろんイナト以外の人にも悪くない話だ。

 

「でも、どうやって会わせるんです? 2人ともあまり外に出歩かないじゃないですか」


 ミマもアデルも自分の部屋にこもって出てこない。特に没頭し始めると食事もまともに取らないという。

 それだけ小説の執筆や呪いの研究が好きということなのだろう。

 

「それなら大丈夫だよ。召使さんがアデルさんに瞬時に私の場所に移動できる道具を渡してるから」

「え? それは、アデルが救世主様に近づき放題ってことですか……?」

「なんか語弊ある言い方だなぁ」


 イナトは動揺し、私に詳しい説明を求めた。

 道具には時間や回数に制限があることを話した。また、言い忘れていた定期採取についてもついでに説明をした。すると、イナトは憂鬱な表情に早変わり。


「僕に話を通してからにしてほしかったですね」

「ええっと、ごめん」

 

 イナトはまるで私の保護者のようだ。いや、この世界では強ち間違っていないのかもしれないけれど。


「あのクッキーはなんだ」

「ちょ、いきなり出てこないでください」


 ルーパルドのすぐそばから突然現れたアデル。

 右手には羽の形をした宝石を、左手にはクッキーが乗っている皿を持っている。欠けていることから、成分を確認したのだろう。


「ミマという女性の作ったクッキーだ」


 イナトは動じずアデルへと返答する。

 

「ほう? その女性はどこにいる」

「スタート国の水の町にいるが――」

「連れて行け」


 唐突にクッキーを食べ始めたアデル。呪われてしまうのではないか? そう思ったが、アデルは私に紅茶を飲ませるために自分も飲んでいた。だが、呪いにはかかっていない様子だった。耐性があるのかもしれない。


「そう言うと思ったよ……。ミマさんに連絡するから少し待て」


 イナトは伝書紙を用意する。その周りではイナトを急かすようにアデルが行ったり来たり。

 イナトの鬱陶しそうな顔とアデルのわくわくした表情の対比が面白い。

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