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乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
12章

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70.ジュ村へ

 救世主専用洞窟をあっさり終わらせた。そうして手に入ったのは救世主のステータスアップ素材だった。

 便利グッズや新しい魔法の取得と比べると地味ではある。しかし、ステータスの振り方によって戦略は大きく変わるのでハズレというわけではない。

 だがやはり地味だ。ステータスアップ素材はすぐに使わず一旦持っておくことにした。


 神殿を出て木の魔物を倒すべく森へと入る。

 木に擬態していることから、なかなか見つからないだろうと高を括っていた。だが、助けたウルフがワンワンと犬のように吠え、誘導してくれたおかげですぐに木の魔物を見つけた。

 以前倒した木の魔物と同じように中を焼き、外を斬りつけることにした。

 私がそうやって倒したことを話した時、ルーパルドは感嘆の声を上げ、ロクは興味深そうに私を見つめていた。私が敵を倒すだけでも好感度がアップしてそうな勢いだ……。

 

 火炎瓶や火の魔法で中身を焼き外側を叩き斬って、こちらもあっさり片が付いた。倒し方を知っていたし、レベルも上がっているのでまあ、当たり前だろう。


「では、ジュ村を目指しましょう」


 そうは言ったものの、心底行きたくなさそうなイナト。顔をしかめ、大きなため息を吐いている。その様子をルーパルドは珍しそうに眺めていた。

 

「俺行ったことないんですけど、どんな感じなんです?」

「……一言で言えば面倒くさい」

「わぁ、団長がそんなこと言っちゃうほどなんだ」


 ルーパルドはイナトの表情や言葉にジュ村への興味が湧いているようだ。少し口角が上がっている。

 その様子を訝しげに見ていたイナトは、ルーパルドとロクを見て釘を刺す。


「僕が対応するから、あまり口を挟まないように。あと、勝手に歩き回るな」


 ジュ村は大半が呪術オタク。それ以外の話題は盛り上がらず、すぐに呪術の話へと切り替えてしまうほどだと言う。

 また、好きなだけ探求し、気が済んだらそのまま研究結果は放置。どこに出すわけでもなく、引き出しにしまって放置してしまう。加えて呪術を学びに行った外部の人間はそのまま居つき帰ってこない場合が多い。それ故に呪いに関してはどの国も疎いのだという。


「村を解体する他なさそうだね」

「無駄ですよ。どうせまたどこか場所を作って似たようなことを繰り返すだけです」


 すでに実証済みのようだ。イナトは忌々しそうな表情を浮かべた。


「まず国境を越え、こちらのワープポイントで移動しましょう」


 イナトは最短距離でジュ村へと行ける道を地図の表面をなぞった。どうやらジュ村にもワープポイントがあるようでワープポイントのマークがついている。

 スタート国の神殿はなかったのに、辺鄙な場所にあるジュ村にはあるのか。少し複雑な気持ちになった。



 ◇



 ジュ村付近まで来て気づいた事がある。

 触ったら危険そうな、魂のようなものが彷徨っている。その魂は青色だったり紫色だったり。また、丸い形が基本だが人型をしていたり動物の形をしているものまである。


「今度は一体何をしているのやら……」


 イナトは私に分厚い本を取り出すよう指示した。見た目は聖書のようなものだが、何をするつもりなのだろうか。

 イナトは私から本を受け取り、ページを開く。1枚ページをちぎり、それに向かって光魔法を打ち込む。すると、周辺が光に包まれ魂のようなものたちはすべて消え去った。


「これ何、消して良かったの?」

「碌なものではありません。人や動物の魂を使った実験ですので」


 恐怖も困惑もしないイナトにルーパルドと私は唖然としていた。ただ、ロクだけは平然としている。どこかで見た事があるのかもしれない。


 ジュ村に入るための門を通り抜けると、すぐに眼帯をした男が歩み寄ってきた。


「イナト、来て早々に何故勝手なことをする?」

「お前こそ歓迎の仕方が悪趣味だろう」


 すでに頭が痛そうなイナト。だが、その表情を見ても眼帯の男は反省してる様子はない。不服そうな顔をしている。

 私と目が合った男はこちらに大股で寄ってきて私の顔をまじまじと見た。

 男は大きめの眼帯をしており、顔が半分ほど隠れている。それでもわかる美形顔。目は灰色。白色の髪は結んでいるもののかなり長い。髪を切ることすら面倒なのかもしれない。


「君が救世主か。ふむ……」


 ベルトポーチにつけていた小瓶を1つ取り出し蓋を開けた。独特な匂いのする桃色の液体をひと匙掬い、私の口元へ――となる前にイナトが私の前に出て男を睨んだ。


「救世主様を実験体にするために連れてきたわけじゃない」

「なら対価を寄越せ。解呪魔法を学びたいのだろう?」

「これを受け取れ」


 大きな鞄を男に渡し、男はすぐさま中身を確認した。すべて確認を終えた後、男は鞄を側で控えていた者に渡して頷いた。


「最初から出せば良いものを……。さて、救世主にはワタシが直々に教えよう。イナトや他の者は――お前達に任せる」


 ローブを身に纏い顔を隠している人々。眼帯の男の指示を受け、イナトとルーパルド、ロクの背後へと立った。

 

「わかりました。ではこちらへ」

「待て。なぜわざわざ分ける必要がある」


 イナトは私を1人にしまいと思ったのだろう、眼帯の男に質問を投げかけた。

 

「救世主は見たところ呪いを受けた事がないようだ。呪いを受けた者と受けていない者で解呪魔法の取得方法は変わる。それだけのことだ」


 あまり口を挟むな。面倒くさい。と男は気怠そうにイナトを見た。

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