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乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
10章 カジ村

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56.突然の結婚パーティー

 言われるがままにその場で正座をさせられた。足元は石でできているため、結構痛い。しかし、私以外は平然としている……。

 イナトとルーパルドは「またか」と言いたげな表情。私とロクはわけもわからず首をかしげる。

 男はまず全員の武器を取り上げ1つ1つ丁寧に状態を確認していく。

 確認後、傷がある場所を指差しながらルーパルドを睨む。どうやら武器に傷があることが許せないらしい。


「何したらこんな傷ができるんだ?」

「受け身を槍で取ればそうもなりますよ」

「俺だったらこんな傷は作らない」

「それは俺と違って勇者に匹敵する実力があるからでしょ〜」


 男は勇者の生まれ変わりではないかと言われるほどの実力者なのだそう。

 だが、自分は戦うよりも武器や防具を作る方が性に合っているとこの村に篭りっきり。

 女遊びをせず出世に興味もない。ただひたすらこの村で師匠に鍛治について学び受け継いできたのだと。

 ゴツく目つきが悪い。だが、かなり整った顔。彼女や嫁の気配もない。

 悪い男やワイルド系が好きな女性はきっと好きなタイプだろう。


 ルーパルドを終え、次はイナトと順々にやりとりが終わるのを待っていると、突然目の前に男の顔のドアップがあった。


「呆けてんな」

「うわっ! ……ごめんなさい。えっと――」

「自己紹介がまだだったな。俺はクロノダだ」


 ゴリマッチョの男……もといクロノダは私の武器を見て私を見て、頭をぽんぽんと軽く叩いた。

 ごつごつした大きな手に撫でられて、私は何が起きているのか反応できずにいた。


「良い使い方をしてるな」

「ええ!? 師匠が女の人褒めてる!」

 

 心底信じられないようで、弟子は慌ててクロノダの家を出て行った。逃げ出したくなるほどのことなのか? 疑問に思ったが聞けるわけもなく、その姿を見送った。

 

 クロノダは呆れた表情を浮かべた後、私の腕を掴み強制的に立たせる。

 訳もわからず立っていると、クロノダは近くにあった柔らかなソファへと私を座らせた。さらに訳がわからない。

 イナトは流石ですと尊敬の眼差しを私に向けていて、ルーパルドは驚きで何度も目を瞬かせている。

 どうやら丁寧な扱いをしていれば、丁寧なおもてなし? になるようだ。

 褒められて悪い気はしないが、正直なところ私の武器は他の人のものとは違い、簡単な手入れ方法がある。それはオート機能で済ませられてしまうのであまり関係はないが。


「ロク、お前は使い捨ての武器を主に使ってるんだってな」

「そうだ」

「未使用でも手入れは必要だ。初回だから今日のところは咎めない。だが、次俺のところに来る時は覚悟しやがれ」


 このやり方でやれと厚めの紙の束から数枚抜き出し、それをロクに渡した。ロクはそれをめくり読んでいく。読了後、クロノダに「わかった」と頷く。

 

 全員への面談のようなものを済ませた後、クロノダは早速修理に取り掛かった。

 イナトとルーパルドは村長へ挨拶に行くと言い、ロクは私に許可をもらった後に村の探索へ。

 イナトとルーパルドと一緒に行こうかと思っていたが、「村長に会わせたくないので、ここで待っていてください」とイナトに言われ置いていかれてしまった。


 仕方なく私は1人でクロノダの作業を眺めている。

 動きは早いが丁寧に傷や歪みなどを直していく。意外と見ているのも楽しい。


「見てたって面白くないだろ」

「いえ、結構面白いです」

「へぇ、あんた変わってんな」


 危ないからそれ以上近づくなよ。と言われたので少し遠くから見てると、視線を感じ振り返る。

 すると窓や扉から顔を覗かせている人々。顔を赤らめている人や目を輝かせている人、ハラハラしている人。様々な表情に私は師匠の作業を見るだけでも感情は多種多様なのだなと感心した。


 あっという間に全ての武器の修理を終わらせ、クロノダは汗を指で払う。


「リン様、リン様」


 肩を突かれ振り返れば、先ほど家から出て行った弟子だった。タオルと冷たい水を私に持たせ、なぜかウインクをされた。小首を捻ると、弟子はクロノダの方向へと背中を押す。

 やっと理解した私はクロノダへタオルと水を差し出した。


「クロノダさん、これ――」

「ああ、サンキュ」


 バスタオルほどの大きなタオルで顔や体を拭き、側に来た弟子と思われる男に渡す。

 そして1リットルくらいの水を受け取り一気にそれを飲み干した。大変いい飲みっぷりだ。


「宴じゃー! 宴の準備をするんじゃあ!」


 突然外からそんな叫び声が聞こえ、私はクロノダを見た。しかし、クロノダも初耳らしく怪訝そうな表情を浮かべている。


「突然何言ってんだジジイ」


 家を出て、村の中心で騒いでいる老人に向かってクロノダは問いかける。

 髭や眉毛で顔が覆われており表情が一切わからない老人は、それでも嬉しさが伝わってくるほどの雰囲気。クロノダの横腹を肘でつつきながら「ワシがなんとかしてやるからの」と質問に答えず浮き足立っている。

 訝しげなクロノダを他所に、老人はマッチョ達に指示を出し、村の真ん中に椅子やテーブルを出していく。嬉しそうに老人の指示に従うマッチョ達。歓迎パーティーか何かなのだろうが、それなら私達が来る前に準備を終わらせていそうだ。

 となると、突然必要になった何かがあるはずだが、クロノダの家にいた私にはわからない。


「なんのパーティーをするんですか?」

「お主の結婚パーティーじゃ」

「はい??」

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