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乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
9章 フクロウとの対決

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51.森への再来

51.森への再来

「こ、ここが例の森……」


 アズミは森の手前で佇み、魔法の杖を両手でギュッと握り震える声で言う。森を外から観察し、何かをメモしている。「この距離なら」「魔力は」「効果は」など呟いている。

 全て書き記した後、アズミはメモを眺め熟考。

 そして、アズミは意を決したように森へと足を踏み入れる。私達も続くように入った。


「ちょっと待ってね」


 アズミは入ってすぐ杖を地面に刺し詠唱を始める。すると、アズミの周りは光が漂い、その光は四方八方に広がり道しるべのように線を作った。少しずつその光の本数は減っていき残ったのは、白い光が3本。赤い光が1本。緑の光が1本。

 

「見つけた。ギミックは3つあって白い光の方向。リンの言ってたフクロウが赤色の光の方向だよ。緑はセーブポイント……休憩場所」

「その光辿れば全部解決しちゃうってこと?」

「そうだよ。ギミックはわたしが全部解いてみせるから安心してね」


 わたしの唯一の得意分野なんだから。と意気込みを見せるアズミ。イナトは流石だと褒め、ルーパルドとロクは感心の表情を見せた。

 照れるアズミだったが、「時間経過で消えちゃうから早く行こう」と足早に1本目の光を追いかけ始めた。


 皆で光を辿り、最初のギミックはすぐに見つかった。木に埋め込まれているボタンを押すとパネルが浮かび上がる。

 パズルゲームのようで、異世界から来た私やアズミにとっては馴染み深いものだった。

 楽しそうにパズルを解き始めたアズミ。やっと満たされると顔が語っている。

 

 3人もアズミの手元を見ていたが、何をしているのかよくわかっていない様子。

 パズル自体が見えていないのか、パズルの仕様が不明なのかは見ただけではわからない。

 試しに解けるか聞いてみたところ、3人ともパズル自体は見えているが、何をしているのかさっぱりだと答えた。


「異世界から来た人にしか解けないものなんですね」

「救世主にさせるためのギミックってことか」


 興味深そうに見つめているイナトとロク。

 ちなみに、ルーパルドは頭を使った作業は得意じゃないから〜と少し離れた場所で使えそうな素材を探している。

 霧が晴れている範囲のため、何かあってもすぐに対処ができる程度の距離だ。

 

「皆も仕様さえ理解したらできると思うよ」

「わ、わたしの仕事をとらないで……」


 パズル中にも関わらず、アズミは慌てて私を止めた。

 問題を解くのが好きなのだろう。指を忙しなく動かしどんどんと問題を解いていく。まるでわんこそばの如く解いているが、どれほどの問題を解かせるつもりなのか。私だったらすでに飽き飽きしそうな問題数を、アズミは飽きる様子もなく淡々と解いている。


「――終わったよ。合計50問」

「何その数。しかもそれをものの数分で終わらせたの!?」

「えへへ、本当は制限時間内に5問解ければよかったんだけど、張り切っちゃった」

「頼もしすぎる……!」


 私が褒めるとアズミは顔を真っ赤にして照れている。だが、ロクに見つめられていることに気づくと赤みは引き、目をそらしてしまった。

 ロクはいろんなものに興味があるタイプだ。きっとパズルにも興味を持ったのだろう。だが、アズミに聞ける様子もなくロクは代わりに私へと話しかける。


「あれはお前のいた世界では皆解けるのか?」

「得意不得意はあるから皆解けるとは言いにくいけど……遊び方は知ってると思うよ」

「そうか」


 アズミが解いていたギミックパネルをまじまじと見つめた後、ロクは満足したのか何も言わなくなった。

 いつの間にか私の背後に隠れていたアズミは小さく息を吐き、影からロクを見た。


「意外と子供みたい」


 アズミはそう言葉をこぼした後、急いで口を閉じロクの様子を見た。しかしロクは別のことに興味が移っているようで、こちらを見ることはなかった。

 


 ――残り2本もパズルゲームだった。だが、どれも違うパズルゲームで、「やりがいがある〜」と笑顔のアズミ。

 それらも数問解けば終わるものだったが、アズミは熱中して問題を解いた。指の速さもそうだが、問題を解くスピードをずっと眺めていたロクは目を回してしまった。

 スッキリした顔で終わらせたアズミを、ロクは化け物を見るような目で見ていた。しかし、アズミはその視線に気づかずにイナトや私にギミックについて熱く語っていたのだった。


 ギミックを解いたからだろう。次第に霧は晴れ、全貌が見え始めた。

 木にはたくさんのフルーツが実っている。つい最近知ったバナイップルもある。

 木が絡まり合っているからか、フルーツは場所を選ばず実り放題だ。

 地面には小動物が所々を歩いていたり、木の実がまとめて置いてある切り株も目についた。


「あれ、食べてみたいなぁ」


 アズミは上を眺め、生唾を飲んだ。

 アズミがいた村では高級品だったため、食べる機会がなかったそうだ。興味が湧くのもおかしなことではないだろう。

 

「ゾンビとかいたし、もっと寂れたところだと思ってたよ」

「死体のおかげで育っている可能性がありますね」


 ゾンビが地面に身を潜めているのだから、育つよりも腐っていくのではないかと思っていた。

 しかしイナトが言うには、ゾンビは自身が食べないにも関わらず人や動物を襲う。食べられなかったその死体で木が育っているのだろうと推測したのだ。

 アズミはその話を聞いた途端、顔を青くし俯いた。

 

「あ……一気に食べたくなくなっちゃった」


 そんなアズミが可哀想だったので、森から出たらもらったバナイップルを一緒に食べる約束をしたのだった。

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