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乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
8章

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49.血での解呪

 イナトとルーパルドは急用ができてしまったと朝から2人して出かけてしまった。

 なので今は箱でロクと2人きり。相変わらず私が近くにいると背後から抱きしめてくる。

 

 昨日のうちにロクには解呪魔法が手に入らなかったことを話している。

 ロクは気にしていない風だったが、私が側にいれば、絶対と言っていいほど抱きしめにくる。

 痛みや苦しみを和らげる行為とは言え、少々抱き締める時間も頻度も高すぎるのではないだろうか。

 そう思うものの、行為を拒否するわけにも痛みに苦しんでいる姿を放置するわけにもいかない。

 

 1度私の部屋へロクが侵入し襲われそうになった事件があったが、それはあの1回きりだ。

 どうしているのかと聞けば、夜は事情を知っているルーパルドに自分の部屋を全て施錠してもらっているのだとか。

 もし解除されればルーパルドがわかるようになっている仕組みだという。


「私が知らない間、そんなことしてたんだ……」

「あの金髪の男に追い出されるのはごめんだからな」


 私から追い出されるのならまだしも、別の人に追い出されるのは不本意なのだそう。

 まぁ、私が雇い主だしな……。


「1つ聞いていいか?」

「いいよ。1つと言わず何個でもどうぞ」

「あの男の呪いはお前が解呪したんだろ?」

「……え? いや、してないしてない。魔法は手に入らなかったって言ったよね?」

「だが、あいつの呪いは消えた。あいつの呪いが消えたのは、お前の部屋で何かしらしたからだろう?」


 繰り返し言うが、今は2人きりだ。暴露して私の唾液を提供して終わらせることだってできる。

 だが、私のモラルが邪魔をするのだ。きっとゲーム画面であればここで躊躇わず行為に及んだだろう。

 魔法がなくたってこれで治るんだから、と。


「そ、そうだ。ご飯作ろう。私のご飯を食べればもしかしたら呪いが薄れるかもしれないし――痛っ」


 ロクから離れ、台所に立ち、適当な食材をまな板に置き、包丁をつかむ。

 動揺した私は包丁で指を切ってしまう。まず消毒も兼ねて舐めようとズボラな私は指を口へと運ぶ。

 だが、その指はロクの口へと含まれることになった。

 指を引き抜こうと腕を動かすが、がっちりとロクに手首を掴まれていてびくともしない。


「ロク! 汚いから離して」

「治療だ」


 ロクが私の指を口に含んだ。指に意識が嫌でも集中してしまい、体が火照ってきてしまう。

 鼓動が早まり息苦しい。そんな私の様子を見て、ロクは少しだけ口角をあげた。

 ロクの胸を強く押し、なんとかロクから離れ昂ぶった熱を冷ます。


「血でもいいのか」


 口の端についた血を舐め取る。

 ロクはステータス画面を覗くことができないので、体が軽くなったからかそう口にしたのだろう。

 私もステータス画面を開いてみる。そこには呪いの文字は消えていた。ロクの首も念のため確認したが、痣も消えている。

 

 ロクは満足したのか、呪いが完全に解けたのかいつもよりスッキリした表情に見えた。

 仮にこれで呪いが解けたとして、イナトやルーパルドにはなんと説明すればいいのか。

 ルーパルドに関しては、呪いの解き方を身を以て体験している。

 呪いが解けていることが知られれば、誰とでもキスする女というレッテルが貼られることだろう。


 念のため改めて呪いの状態を確認すると、状態異常の欄にあった呪いの文字はすっかり消えていた。

 呪いが解けたことは喜ばしいことだが、どう伝えればいいのか悩むところだ。

 首にはロクの噛み跡が残っているだろうし――。


「そうだ、傷は回復魔法で治そう。回復薬と違って傷口も瞬時に跡形もなく消えるし」


 いそいそと回復魔法を唱え首に指を当てる。

 痛みと、ロクが噛んだという記憶のせいか体がビクッと跳ねてしまったが気にせず治療を終わらせる。


「見せつければよかったのに」

「……もう呪い解けてるんだから引っ付かないでね」


 当たり前のように抱きしめようとするロクから距離を取った。

 心臓が何個あっても足りない。

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