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乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
4章 霧の森

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27.森からの脱出

 甘い匂い……もとい毒花を探すべく、森をうろうろ。

 だが、出会うのは魔物ばかり。その度に倒してまた倒して――これでは体力がいくらあっても足りない。


 やはり自分が1度死んで、リセットしたほうがいいのではないか。そう思うが、死のうとしているのを見られたらきっと止められるだろう。

 正直、痛い思いは私もしたくない。


「スタート国って序盤の国じゃないの……」

「序盤というのはわかりませんが、この森は濃霧がある分、人が寄りつきません。迷い込んだ者は大半帰らぬ人となると言われています」


 昔は霧はなく、魔物も少なかった。しかし、霧の魔物が住み始めたことで森の状況は一変。

 濃い霧に包まれ、ゾンビ系の魔物が増えていった。

 次第に人が寄りつかず討伐依頼もされなくなった分、生き生きと魔物が育ってしまったのだそう。

 濃霧かつ魔物が育っていることから、進行方向の村などは隔離も同然だと言う。

 一応伝書紙のおかげで連絡は取り合っているそうだが、隔離されている側はどこも苦しい日々を送っている様子。

 ワープポイントの解放ができれば、他の地域の物資なども購入できる。少しはマシになるだろう。


「いっそ焼き払うか」

「せめて俺達が出られてからな」

「ルーパルド……ダメに決まってるだろう? せめて国に許可をもらってからだ」

「それでも燃やす気満々……」


 この森のせいで疲れ果てている男達。私だってそうだが、皆が燃やしたいほどこの森を嫌になっているとは思いもしなかった。

 これは箱に入って休めないことも起因している気がする。

 皆私が帰ったらきっと箱の存在が欲しくなることだろう。罪なことをした。

 


 ――どのくらい歩いただろうか。

 さっきとは打って変わって、魔物にも無害な動物にも遭遇しない場所まできた。

 元々静かな森はさらに静けさを増し、不気味さも倍増。


 話す気力も失くしている私達は、場の雰囲気を明るくしようとか雑談を交えようとか悠長なことは考えられない。

 ただひたすらに息を吸い、甘い匂いに神経を尖らせていた。


「……甘い匂い、しない?」


 私の発言で全員が大きく息を吸った。

 なんだかとてもシュールな場面だ。

 イケメンが揃いも揃って鼻をスンスンと鳴らしているのだから。


 早くここから出たい私達は、どの方向から漂っているのか調べてから行動する。

 間違えてまた逆戻りなんてことはうんざりだ。


「やっと、やっと出られる可能性がでてきましたね……」


 ハライノカタマリの在庫がなくなり1番ヒヤヒヤしていたルーパルドは、大きく息を吐いた。

 イナトもロクも安堵した顔をしており思わず私も顔が緩む。

 しかしまだ森を抜けたわけではない。安心するのはまだ早いのだ。


「安心するのは森を抜けてからね」


 甘い匂いが濃くなっていく方向へと迷わず進み、毒花を探す。今回は解毒薬を作っておいた。

 この花の毒に効くのかはわからないが、ないよりかはマシだろう。

 解毒薬を握りしめたまま奥へと進み、開けた場所に目を向けた。

 そこには私が見た花の絨毯がある。

 霧が薄く開けた場所。私が前回辿り着いた場所と同じのようだ。

 

「毒花見つけたよ!」

「リンが何故わかる?」

「えっと、夢で同じものを見たからそうかと……」


 ハハハと乾いた笑いを浮かべると、ロクは追求せず「そうか」と一言だけ。

 もういっそ1回これで死んだことがあることを暴露したほうがスムーズなのでは?


「予知夢は便利ですね。きっとリン様特有の能力なのでしょう」


 ……やっぱり黙っていよう。

 説明しようとして開けた口を閉じ、尊敬の眼差しを向けてくるイナトに愛想笑いを浮かべる。


 さっさと出ようとロクは先陣を切る。

 花の絨毯があるひらけた場所には足を踏み入れず、避けるように移動する。

 私達もロクに習って着いて行き、木々の隙間から漏れ出る光に思わず走り出しそうになった。


「やっと出られましたね!」


 興奮気味のルーパルド。

 安心した表情を浮かべるイナト。

 疲れて眠そうなロク。


 久々の空に太陽、外の空気。全てが新鮮な気分だ。

 

 だが、目が潰れそうなほど眩しい太陽に思わず目を瞑り、露出している肌を焼く熱い刺激に慌てて影を探す。


「いや、あっっつ。……何?」


 1番背の高いルーパルドの背に隠れ、私は顔を歪めた。イナトはそんな私の問いに答えてくれる。


「この地域は暑くて有名なんです。はい、どうぞ」


 イナトに手渡されたそれはひんやりして気持ち良い。

 暑さを感じなくなり、先ほどまで痛かった目や肌も痛みが引いた。


 イナトはロクにも手渡し、ロクは軽く会釈をした。そして、ひんやりとした青く氷柱のような宝石をまじまじと眺めていた。


「ルーパルドは暑くないの?」

「俺と団長はこの地域に1度来てましたからねぇ」


 ルーパルドはポーチから宝石を取り出して見せた。イナトもやはり同じものを見せてくれた。


 どうやらイナトとルーパルドはこの地域に来て魔物討伐をしたことがあるらしい。

 私たちが苦しんだ森はもちろん入っているはずだが、その時は荒れていなかったため問題なかったと言う。


「ところでこの宝石は作れたり……?」

「これは鉱山から取れるものを綺麗に加工しただけですよ。ゲムデースの鉱山で取れるものなので、ゲムデースに戻った時にでも買いましょう」


 鉱山にも様々な種類があるだろう。早くゲムデースで確認したい。が、スタート国のワープポイントの解放が優先だ。

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