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乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
4章 霧の森

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24.便利な道具にもデメリットはある

 目標の森に到着。

 森は実際に濃い霧に包まれていたこともあり、一同驚きの表情を隠せない。


「本当に霧がかかってますね〜。これは霧払いのお世話になるなぁ」

「流石です、救世主様」


 イナトは私を褒めるタイミングを見逃さない。

 ルーパルドとロクは霧に気を取られていると言うのに、イナトはどれだけ私を褒めれば気が済むのやら。


 そんな様子を見ていたルーパルドは、ハライノカタマリを握りしめたまま乾いた笑いを浮かべている。

 その隣ではロクが風魔法を一度試し、すぐにまた霧に覆われたのを確認していた。

 

「こうも濃度が高いと入った途端、視覚を奪われた感覚になりますね」


 感情の切り替えが早いイナトは、私から霧に視線を移し、鬱陶しそうに眉間に皺を寄せた。


 森の中を覆い尽くすように、中にだけ濃い霧が立ち込めている。

 油断している者はここで霧に翻弄され殺されてしまう。……私のように。


「この森にもボスがいたり?」

「霧の魔物は存在する。だが、人間の前に現れないと聞く。倒すのは難しいんじゃないか?」


 ルーパルドがハライノカタマリを投げ「ハライタマエ!」と言っている隣で傍観を決め込んでいるロク。

 ルーパルドを見て少し笑いそうなところを見ると、馬鹿にしているのだと思われる。

 ……じゃんけんでルーパルドが負けたんだから仕方ない。


「すごい。あんなに濃かったのに」

「と言っても俺たちが見える範囲で、しかも10分程度ですからね? ……今度は誰がやります?」

「ええ、ルーパルドがずっとしてくれないの?」

「なんかこれ、すごーくダサくないです!? せめて投げるだけで良かったりは!?」


 あるだけ渡されていたハライノカタマリを握り潰しそうな勢いでルーパルドはロクを睨んだ。


「投げるだけでいいぞ」

「はぁ!? 渡者、なんで最初に嘘ついたんだ!?」


 さらりと言ったロクに対し、ルーパルドは怒っている。だが、本気の怒りというわけではなさそうだ。

 やれやれと言いたげに息を吐いた。


「……なら俺がやりますよ。投げるだけなら問題ない」


 ルーパルドはハライノカタマリをすべてベルトのポーチに入れ込む。また時間が迫ったらルーパルドがハライノカタマリを投げてくれるだろう。

 一安心だ。


「こんな霧だとはぐれる可能性があると思うんだ。だから準備しておきました! 通信機!」

「救世主様!? ……いつのまに作れるように?」

「イナトの真似して作ってみたの。ただ、何故か私としか繋げられなかった不良品なんだけどね」


 言ってくれれば作ったとに……と言いたげな表情のイナト。だが、通信機を受け取った後、イナトは大事そうに丁寧にポーチへと入れた。

 ルーパルドも似たようなもので、鎧に当たって傷ができないように慎重にポーチへと入れていた。

 そんなにやわじゃないと思うんだけどなぁ。


「俺ならこれがなくてもリンの元へ行ける」

「ロクはね。じゃあ、いらない?」

「いる」

「いるのかよ」

「会話できるのは便利だ」


 ローブを着ているロクはどこに入れているのかわからないが、繊細に扱うことなくあっさり収納した。



 ◇



 視界が開けていることもあり、誰ともはぐれることなく森の奥深くへと進んだ。

 しかし、森からは抜けられず、ボスにも遭わず。

 かなりの時間歩いた気がするが、外の様子がわからず時間感覚も狂ってしまっている。

 

 また、この森はゾンビ系の敵が多く、光魔法で倒す必要があった。

 イナトと私は光魔法を持っていたが、ルーパルドとロクは持っていない。

 そのため、光魔法を持っている2人でトドメを刺す必要があり、なかなか時間がかかった。

 

 その積み重ねで私達はかなり体力を消耗していた。


「箱って、ここでも使えるのかな……」

「使ってみないことにはわかりませんね」

 

 森やダンジョンで使ったことがなかった。

 いつも森やダンジョンを出てから、といったキリの良いところで外で使っていたのだ。

 

 疲弊し切った私達は早く休みたいと思い箱に入ろうと試みる。だが、"アップグレードが必要です。"と表示されてしまう。


「嘘でしょ!? マップ以外でも召使さんに会わなきゃダメなのかな?」


 必要素材を確認すると、スタート国のワープポイントのどこかで買える素材の記載があった。

 見た記憶はないため、まだ該当のワープポイントを見つけていないのだと思われる。

 召使にアップグレードしてもらう必要は特に記載はない。

 ただの素材不足かもしれない。


「救世主さまの初野宿ってことですね」

「せめてもっとのどかな場所で野宿体験したかった……!」


 箱がある時点で野宿を考えていなかった私にとって、相当なアクシデントだ。

 キャンプ用のテントなど用意していないしどうしたものかと思っていると、イナトは私に優しく微笑みかけた。


「僕が野宿に必要なものは全て持って来ていますよ。お手数ですが、ご確認ください」

「さすがイナト! 取り出すからちょっと待ってね」


 全員分のアイテムはすべて箱で管理されている。

 私達が箱に入れなくとも、箱から取り出すことは可能。

 ただし、箱を使えるのは救世主の私だけ。

 男達のプライバシーなんて、私の前では存在しないのだ。


 箱を指で軽く押し、タッチパネルを表示する。

 イナトが所持している一覧が見られるページを開き、テントを探す。

 その時、私はあるものに視線を奪われた。

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