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乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
3章 スタート国

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14.通話やチャットができるのは便利

 ファースト街に着いてすぐにワープポイントに手をかざした。

 光を放つワープポイントは何度見ても慣れない。光の調整を頼みたいほどだ。


 イナトの案内でマリエの家へと行こうとしたところ、マリエと恋仲であるスミスと出会った。

 スミスは私を見つけるなり笑顔で駆け寄って来てくれた。


「お久しぶりです、救世主様!」

「スミスさん、お久しぶりです」

「ワープポイントの解放に来てくださったのですか? ワープポイントはいろんな素材が買えるので嬉しいです」


 ピカピカと輝いているワープポイントを見て、スミスは目を輝かせた。

 スミスは筋肉隆々の人とは思えないほどの可愛さを振りまいている。

 別に女性的とかオネエの部類ではない。だが、雰囲気が柔らかく、ふわふわした感じではある。


「買える素材はぜひワープポイントを活用してください」

「もちろんです。ワープポイントのものは比較的安いですからね」


 ありがたく使わせていただきます。とにこにこ笑顔でスミスは深くお辞儀をした。

 顔を上げた後、ルーパルドを見て会釈をする。


「おっと、新しい方がいますね。はじめまして、僕は鍛冶屋を営んでおります、スミスです」

「ご丁寧にどうもどうも。俺はゲムデース国の騎士、ルーパルドです。今は救世主様の護衛やってます」


 スミスは名刺交換でもするのではないかと思うほどペコペコ頭を下げ、2人は握手を交わした。

 

「ところで、マリエさんは家にいますか?」

「はい。今でしたら家で編み物をしている時間かと。僕も戻る予定でしたので一緒に行きましょう」

「ありがとうございます!」


 スミスに案内してもらい家まで歩く。その間、「救世主様だー」「期待しています!」など声援を貰った。

 アズミのいる村よりも人が多く、街自体が広いこともありわらわらと人が集まってくる。

 まるでもう世界を救ってきたかのような感覚になってしまう。


「まだ何もしてないんだけどなー」


 手を振りながら、私は苦笑。まだ悪い魔物を倒したわけでもないし、街を救ったこともない。

 それなのにここまで期待されている。

 寄り道したり強敵を倒したりとのんびりと世界を救いたいと思っていた私としては、少し申し訳なくなってくる。


「これから救うんですからいいでしょ。……というか団長と一緒に迷いの森の魔物を倒したと聞いてますよ? 立派な功績では?」

「そうかなぁ」

「そうですよ。リン様のおかげであの森は迷いの森とは呼べなくなりましたからね」


 迷いの森と呼べなくなったものの、後から名前を変更するのもということで、元迷いの森と称しているらしい。なんて適当なんだ。

 イナトはそれ以降も私の活躍した話をルーパルドに語ることで、私は褒められることをしたんだなと思わざる得なかった。

 

 

 ――スミスに案内され2人の家へ。

 家に入ろうとしたところでイナトとルーパルドは、街の様子を見に行くと言い出した。

 通信機を渡してそのついでに少しマリエとスミスと話す程度なのだが、隙間時間も無駄にはしたくないようだ。

 さすがは騎士というべきなのか。2人の背中を見送った後、改めてスミスと一緒に家へ入ることに。

 

 スミスが「ただいま」と扉を開ければすぐに「おかえりなさい」とマリエの声が聞こえてくる。

 鉤針や毛糸を置く音、椅子を引く音が聞こえ、隣の部屋からマリエが顔を出す。

 そして私と目が合った途端、目を大きく見開いた。


「リンさん!?」

「マリエさん、お久しぶりです」

「ど、どうしたんですか!? もしかして旅がキツかったとか!? 大丈夫です。ここなら誰も貴女のことを責める人なんていませんよ! 私が癒しますのでどうぞゆっくりしていってください!!」


 私が救世主を辞めて戻ってきたと思ったのだろう。

 バタバタとテーブルへお菓子やお茶を用意し、癒し効果のある匂い袋を持たされた。

 そんなマリエの肩に手を置いて、スミスは和かに言う。

 

「マリエ、落ち着いて。救世主様の旅は順調だそうだよ」

「よ、よかったぁ」


 へなへなとスミスに寄りかかり息を吐く。

 

 どうやらマリエはずっと私のことを心配していてくれていたようだ。

 知らない人しかいない世界へ最初に飛ばされたマリエの方が大変だっただろうに。

 とても良い人だ。


「マリエさん、これを貴女に渡したくて来たんです」

「これはなんですか?」


 通信機を渡すと、目を瞬かせじっと眺める。

 だが、変に弄らず私の回答を待っていた。


「通信機です。これで私やアズミと通話やチャットができるようになるんです」


 電源を入れて、通話ボタンやチャット欄を見せるとマリエは通信機に釘付けだ。隣でスミスは口を大きく開けて驚いていた。

 

「そうなんですか!? それは便利ですね。……でも、私が貰っても良いのですか?」

「もちろんです。同じ世界から来た者同士ですし、仲良くなりたかったので」

「嬉しい……。私も仲良くなりたかったんです」


 涙目になったマリエは、通信機を持っていなければ両手で私の手を取り喜びそうなほどだ。

 その隣では羨ましそうに通信機を眺めているスミス。

 通信機はこの世界で高価らしく、あまり出回っていないものらしい。アイテムの説明欄にそう書かれていた。

 

「スミスさんも何かあれば連絡してください。素材が欲しい〜とかでもいいですし、あの2人に相談したいこととかでもいいですしね」

「ええ!? 僕も使って良いんですか!」

「ぜひぜひ」

「ありがとうございます。ありがたく使わせていただきます。……でも、直接お話もしたいですし、時々家に寄っていただけると嬉しいです!」

「わかりました。手土産持って帰って来ますね」

「楽しみだなぁ。ね、マリエ」

「ふふ、そうね」


 仲睦まじい2人。自分たちの世界に入りそうな雰囲気だったため、2人に声をかけてから家を出た。

 甘い雰囲気が嫌いでなわけではないのだが、どうしても目の前でそう言った雰囲気になられると居た堪れない。


「さて、ここの用事も済んだし、アズミのところに戻って私の通信機も作ってもらわないと」


 その前にイナトとルーパルドを見つけないとな。数歩進んだところでイナトが目の前に現れた。

 どうやら私が来る前に街の状況を確認し終えていたらしい。


「リン様の通信機、僕に作らせてはいただけませんか?」

「……え?」

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