表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜  作者: 勿夏七
3章 スタート国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/195

13.マルチ相手とは基本仲良く

 スタート国に入国を済ませた私たちは、さっそくアズミのいる村へと歩く。

 

 その時にやっと私も戦闘に参加させてもらうことができた。

 敵は想像していたよりもずっと弱く、数回攻撃を当てるだけで倒せてしまった。

 きっとこれは、2人がゲムデース国で倒した経験値のおかげで力がついているのだろう。

 戦いも楽しみたい私にとっては"おかげ"というよりも、"せい"と言った方がしっくりくるが。


 敵を難なく倒し、見覚えのある地形まで辿り着いた。ここまでスムーズに事が運ぶと死にゲーということを忘れそうだ。

 村が見えてきたところでルーパルドが口を開いた。


「お、あそこがアズミという方がいる村ですね?」

「ルーパルド、失礼のないようにな」

「えぇ……。俺、リン様にも失礼してなくないですか〜?」

「してないしてない。大丈夫だから」


 釘を刺されて不服だったルーパルドは、私にすがりつく。

 その様子をむっとした顔で見ていたイナト。怒らせそうだと思った私は、すがりつくルーパルドを避けて村のワープポイントを解放する。

 これでこの村にも帰りやすくなった。


「おお、救世主様ではありませんか。わざわざワープポントの解放に来てくださったのですか?」

「はい。それとアズミさんに会いたいのですが、部屋にいますか?」

「アズミなら今は畑にいますよ。働かざるもの食うべからず。ですからねぇ」


 救世主ではなくなったアズミは、どうやら今はこの村で働かされているようだ。

 村長はニコニコとしながらアズミのいる畑まで案内してくれる。

 

 畑は広く、たくさんの人が種を蒔いたり水をやったりしている姿が目に入る。

 だが、アズミの姿はない。


「おや? アズミはどうしたんだ?」

「アズミならあそこで寝てますよ」


 村長がアズミを探す中、村の人が少し畑から離れた場所を指差す。

 布が敷かれた場所で1人突っ伏しているアズミ。

 スタミナ切れだろうか。


「アズミさん、大丈夫ですか?」

「おかしいな、リンさんの声がする……幻聴?」

「幻聴じゃありませんよ。お久しぶりです、アズミさん」

「おおおお!? お、お久しぶりです。見苦しい姿を、お見せしました……」


 畑仕事の疲れと私が突然現れた驚きのせいだろう。

 アズミは顔を真っ赤にしている。

 後ろで畑の手伝いを始めているイナトとルーパルドに気づいたのか、アズミは私を見て小さめの声で聞いた。


「リンさん、あの人はもしかして新しい仲間の……?」

「はい。ルーパルドです」

「よろしくお願いしますね。アズミさん」

「わ、わわ……。よ、よろしくお願いします」


 自分の名前を呼ばれたことに気づいたルーパルドは、すぐにこちらに来てアズミに挨拶をした。

 だが、アズミはなぜか私の背後に隠れ、ルーパルドに聞こえたか分からないほどのか細い声で返した。


「アズミさんは恥ずかしがり屋さんですかね……?」

「まぁ、そんな感じ。アズミさん、以前、通信機が作れるって話してましたよね?」


 ルーパルドには畑に戻ってもらい、私はアズミと会話を続ける。

 渋々戻っていくルーパルドの背を申し訳なさそうに見ていたアズミだったが、私の問いに答えるように頷いた。

 

「はい。確かに言いました……けど、素材がどこで手に入るかがわからなくて」

「ワープポイントにそれらしい素材があったので買っておいたのですが、見てもらえますかね?」


 購入の際表示されるメッセージに通信機が作れる〜とか書いてあったので買っておいた素材。

 その場に並べると、アズミは1つ1つ確認していき目を輝かせた。


「これです! まさかワープポイントに売ってあっただなんて……盲点だったなぁ」

「それならよかった! それで……私のスキルじゃまだ作れないみたいなんです。アズミさんなら作れたりします?」

「大丈夫です。これなら2つは作れそう」

「そうですか。ならあと1つはマリエさんのところで買うことにします。そしたら3人で通話ができますね」


 私が笑顔で言うと、アズミは目を大きく見開き顔を引きつらせた。

 

「え? も、もしかして……1つはわたし用、ですか?」

「そうですよ。せっかく同じ世界から来てるんですし、仲良くしたいな〜と思って。だめ、でしたか?」

「そんなことは……!ただ、電話、苦手なんです。せめてチャットとかだったら」

「なるほど。チャットならいいんですか?」

「はい、そう……ですね」


 私が眉を下げたため失言したと思ったのか、顔を伏せその場で素材をつなぎ合わせ始めたアズミ。

 少し馴れ馴れしすぎたかと私は謝ろうと口を開いたが、アズミが「できました!」と私の目の前に通信機を突き出した。


「これ、チャット機能があるみたいです。だから、その……わたしの力が必要な時は呼んでください」

「ありがとうございます!」


 照れ臭そうにするアズミを思わず抱きしめると、アズミは「ひゃっ!」と甲高い声で鳴いた。

 慌てて体を離すと、アズミはさらに真っ赤になった顔を手で覆う。


「ご、ごめんなさい。こういうの、慣れてなくて……」

「こちらこそいきなりごめんなさい! あの、よかったら今後は敬語なしでいきませんか?」

「い、いいんですか!? 馴れ馴れしくなりますよ?」

「その方が嬉しいです」


 こうしてアズミとの距離を縮められた。

 この調子でマリエとも仲良くなるべく、2人を呼んだ。

 早く2人のために通信機を準備したい。

 村の人たちの挨拶も程々に、村を出発したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ