表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

一度裏切る男は二度目も三度目も裏切るわよ

作者: 瀬崎遊

ちょっとアダルティで阿呆の子です・・・。

 真実の愛で結ばれた私と第一王子の愛は不滅だと信じている。

 略奪愛?で婚約者から第一王子を私は奪い取ってしまった。

 

「一度裏切る男は二度目も三度目も裏切るわよ」

 そんなふうに母に言われたけれど、第一王子が私を裏切るなんて考えられなかった。

 だって第一王子から私との愛は真実の愛だと言われたから。

 だから私はただ第一王子を信じていれば良いんだと思っている。



 ただ少し、前の婚約者より私の能力は低かった。

 王妃教育で、前の婚約者が十歳で理解できたことが私には理解できない。

 できなくてすぐ泣いてしまう私を第一王子は優しく慰めてくれる。


「いい子だ。私は君が頑張っていることを知っているよ」

 そう耳元で囁いて第一王子は私の中で果てる。

 その時の第一王子の声はとびきり甘くて、身震いしてしまう。


 けどこの間の王妃教育で、王妃は結婚するまで純潔を守らなくてはならない。と教えられたのだけど、私は既に第一王子にこの身の全てを任せてしまっているのだけれどいいのかしら?


 他の人に聞くのは不味いことだと私でも解ったので第一王子に尋ねると「心配いらないよ。今こうやって愛し合っていることが重要だろう?」と言われたので、気持ちいいし、第一王子がいいと言うのだから問題はないのだと思った。


 王妃教育のため、学園にいた頃のようにいつも一緒というわけにはいかなくなったけれど「愛している」と切ない声で毎日第一王子が言ってくれる。それだけでも腰砕けになってしまって、ちょっと嫌だなと思ってもすべて許してしまう。




 いつの頃からか進まない王妃教育に、第一王子が優しく慰めてくれなくなった。

 これみよがしに私を見るとため息を吐くようになった。

 愛してくれる回数も随分と減った。


 凄く嫌だなと思うことを受け入れた時だけ、優しい言葉をかけてくれて「愛しているよ」と言ってくれるようになった。

 本当に凄く痛くて辛いことを我慢している時だけ。


 私なりに王妃教育も頑張っているの。それでも出来ないことはどんなに頑張っても出来ない。

 第一王子はもうため息すら吐かなくなった。

 最近は泣いていても会いに来てくれない。


 凄く凄く嫌なことをするときしか会いに来てくれない。

 最近ではその凄く凄く嫌なこともしてくれなくなって「王妃は側近に下賜されるものなんだよ」と言って、私を好きだと言っていた側近其の(いち)の人に私は下賜された。


 側近其の一の人は第一王子と初めて結ばれたときのように優しく私の中で果てた。

 けれど毎日下賜されていると側近其の一の人も少し嫌だなと思うことをするようになって、凄く嫌なこともするようになって、凄く凄く嫌なこともするようになった。


 そうなると側近其の一の人が側近其の()の人に下賜すると言い出した。

 私は「第一王子の許可が必要だと思う」と言うと、久しぶりに第一王子に会うことができて「側近其の二の人に下賜する」と言われた。それから次からは第一王子の許可がなくても下賜してよいと言われてしまった。

 久しぶりに会ったのに第一王子は指先一つ触れなかった。




 第一王子は優しい声で下賜すると言ったけれど、私はいつまで下賜されるのか不安になった。

 最近では側近ではない人にまで下賜されている。

 そしてそんな人達にも凄く凄く嫌なこともされている。


 意味はよく解らないけど、筆下ろしに便利な女とか、公衆便所とか私は言われているらしい。

 ちょっと意地悪な女の使用人がやってきて、私にそう言ってクスクスと馬鹿にしたように笑って居なくなった。


 多い日には朝、昼、夕、夜と四人の人に下賜される。

 第一王子にはもう何ヶ月も会っていない。王妃教育も最後に第一王子に会った日より前からしていない。

 こんな状態で私は王妃になれるのかな?

 でも王宮から追い出されることもないし、私は第一王子に大切にされているのよね?




 窓の外が賑やかで「何があったの?」と下賜されている時に、相手の人に聞いた。

 その人は「第一王子が王妃を(めと)ったパレードが行われているんだよ」とそんな冗談を言った。

 窓の下を通る屋根のない馬車に第一王子と前の婚約者が乗っていて笑顔で手を振っている。

 久しぶりの第一王子の笑顔にくらくらしてしまう。


 あれ?今娶ったって言った?娶るってお嫁さんを貰うってことじゃなかったかしら?

 窓枠に(すが)り付いて第一王子を見ている私に、背後から凄く凄く嫌なことをされて、その凄く凄く嫌だったことが今は大好きになっていることに気がついた。

 第一王子のことも忘れて夢中になった。

 嫌なことでも毎日続けば好きになるのだと初めて知った。




「ねぇ?私王妃教育が止まっているんだけど王妃になれるよね?」

「はっははっ!!そりゃぁ無理だろう」

「えっ?!どうして?!」

「第一王子は既に王太子になっていて、この間子供の頃からの婚約者と結婚して、婚約者の方が王太子妃になったからな。王太子妃っていうのはそのうち王妃になるんだよ」


「婚約者の方とは婚約破棄したのに・・・」

「あぁ!あの寸劇な!!俺も見たぞ。面白かったよ」

「えっ?寸劇って・・・?」

「芝居だろう?面白かったぞ。王太子も王太子妃もあんな遊びができる人なんだって人気が出たっていうからなー」


 ちゃんと考えなくちゃいけないって思うのに、凄く凄く嫌なことをされて快楽の声が漏れる。

「王妃は下賜なんかされることはないし、純潔でないとならないからな」

「純潔・・・」


 やっと私は第一王子に愛されていないことに気がついた。

 母はいつも正しいのだと。その母にももう長いこと会っていないことに悲しくなった。

 母の言葉を思い出す。


「一度裏切る男は二度目も三度目も裏切るわよ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ