晴天の霹靂とはこのこと7
「セグラルド!」
「うおぁ!!...ってギールかよ...脅かすなよ」
後ろを振り返ると、友人のギールが驚いた顔でこちらを見ていた。
「いや、驚いたのはこっちだって!朝いきなり変な奴らに連れてかれて、んでいつの間にか戻ってきてるし!」
「あー....いや、わりぃ。まぁ色々あったんだよ」
「だろうな。時間あるんだったら聞かせろよ」
「ああ....あっ!!いやそれどころじゃないんだ!また今度な!!」
明日にはこの国から出なくてはいけない上に、親父に聞きたいことが山程ある。今日はギールとは話をする時間はないのだ。
急いで踵を返すと、とにかく全速力で家へと向かう。その姿をギールがどんな眼で見ていたなど、セグラルドにはまるで分からなかった。
細い路地を抜け、ほんの少し開けた場所に数件家が立ち並ぶ一角に、セグラルドは勢いよく入っていった。木で出来た扉が軋む音を立てながら、勢い良く開かれた。
「親父!!!」
薄暗い部屋の奥で、何やら作業をしている白髪の肌が浅黒い初老の男がいた。手を動かしたまま、声のした方角へと向ける視線はとても鋭く痛い。
「おい、セグラルド。俺を親父と呼ぶなと言っただろう。師匠と呼べ」
親父ことゴウキリと呼ばれる男は、やけにセグラルドに線を引きたがる。頑なに自分は父親ではないと、幼少期から言い聞かせられてきた。が、セグラルドは気を抜くと親父と呼んでしまう。そのたびに注意をされてきた。
「あっ!す、すみません...じゃなくて!なんかっ..もう、色々聞きたいことがありすぎてっ」
ワタワタと中々頭の中を整理出来ないセグラルドを横目に、ゴウキリはぶっきらぼうに落ち着けと言い放ち、椅子に座り直した。
「とりあえず、もう夕暮れ近い。暗くなる前に夕餉を作るぞ。話はそれからだ」
腰をゆっくり上げ、そのまま厨房へと消えていったゴウキリをセグラルドはぼーぜんと見つめていた。




